特定技能2号は、特定産業分野で高度な技能と経験を持つ外国人に与えられる在留資格です。
2019年に始まった特定技能制度では、当初2分野のみが対象でしたが、2023年には対象分野が11分野に拡大され、その中に外食業も新たに追加されました。
この制度は、日本の飲食業界で深刻化している人手不足を解消し、優秀な外国人材の長期的な活躍を促すことを目的としています。
本記事では、特定技能2号「外食業」の試験概要や、合格に向けた学習方法を解説します。
特定技能2号「外食業」とは
特定技能2号は、特定の分野で高度な技能を持つ外国人が長期間日本で働ける在留資格で、外食業もその対象に含まれています。
特定技能2号「外食業」の資格を持つ外国人材は、在留期間の制限なく安定して働くことが可能になり、キャリアの継続も見込めます。そのため、依然として人手不足が深刻な外食業界では、この制度の活用が注目されています。
ここでは、特定技能2号「外食業」について詳しく解説します。
特定技能1号と2号の違い
特定技能1号と特定技能2号の主な違いは、在留期間や雇用の安定性、求められる技能レベルにあります。特定技能1号は最大5年間の在留期間が設定されており、その後は帰国する必要があります。
このため、企業は5年ごとに新たな人材を採用し、その人材に対して新たに教育を行う必要があります。
一方、特定技能2号は在留更新に期限がないため、長期間の雇用が可能であり、企業は人材を安定的に確保できます。
また、特定技能1号の外国人材には、登録支援機関による生活オリエンテーションや定期面談などの支援が義務付けられていますが、2号ではこれらの支援が不要です。そのため、企業の負担やコストが軽減されます。
さらに、特定技能2号を持つ外国人材は、より高度な技術や知識が求められ、店長補佐や指導役として活躍できるため、企業にとってより価値の高い人材となります。具体的な違いとして、以下の特徴があります。
※特定技能制度の最新情報は、出入国在留管理庁のWEBページで確認できます。
特定技能2号「外食業」に移行するために必要な試験
特定技能1号と特定技能2号では、外国人材が従事できる業務の範囲が異なります。そのため、特定技能2号では特定技能1号よりも高度な技能水準が求められます。
特定技能2号を取得することで、外国人材はより専門的な業務に従事できるようになり、日本での滞在期間も長期化するため、雇用の安定につながります。
特定技能2号「外食業」の資格を取得するためには、一定の技能水準を満たす必要があります。具体的には、外食業における調理技術、接客スキル、衛生管理の知識などを評価する「外食業特定技能2号技能測定試験」に合格しなければなりません。
なお、特定技能2号「外食業」では、技能試験だけでなく、「日本語能力試験(JLPT)」N3以上に合格する必要があります。
N3レベルは、日常的な場面での会話や文章の理解ができる程度の日本語能力を指します。
さらに、一定の実務経験を満たすことで、外国人材は特定技能2号「外食業」の資格を取得し、日本で長期的に安定して働くことが可能となります。
特定技能2号「外食業」へ移行するために必要な条件・経験
特定技能2号「外食業」で従事するためには、「外食業特定技能2号技能測定試験の合格」「日本語能力試験(JLPT)N3以上の取得」「実務経験」の3つが求められます。
法務省の「外食業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針に係る運用要領」では、下記のとおり記されています。
2年間の実務経験では、複数のアルバイトや特定技能外国人を指導・監督しながら接客業務を行い、店舗管理を補助する業務に従事することが求められます。
特定技能2号「外食業」の概要
特定技能2号「外食業」を取得するためには、「外食業特定技能2号技能測定試験」合格と「日本語能力試験(JLPT)」N3以上を取得する必要があります。
技能測定試験では、外食業に必要な知識と技術が評価されます。また、「日本語能力試験(JLPT)」N3以上では、日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる日本語力が求められます。
ここでは、特定技能2号「外食業」の試験概要について、詳しく解説します。
外食業特定技能2号技能測定試験
外食業特定技能2号技能測定試験の試験科目は学科と実技の2科目で、試験時間は70分となり、ペーパーテスト方式でマークシートを使用します。言語は日本語で、漢字にはルビはついていないため、注意が必要です。
学科試験では、飲食物調理、衛生管理、接客全般、及び店舗運営に関する知識を測定します。合格は、満点(250点)の65%以上が必要です。
実技試験では、「判断試験」や「計画立案試験」などを通じて、作業の計画を立案する能力を評価します。
試験科目と出題範囲
外食業特定技能2号技能測定試験は、外食業に必要な高度な知識と技術を評価する試験です。主な試験科目と出題範囲は以下の通りです。
試験は、筆記試験と実技試験で構成されており、受験者はこれらの科目に関する知識を十分に身につける必要があります。
<筆記試験>
・専門用語や業務に関する文章を正しく理解する必要がある
・メニューやレシピ、衛生管理の説明を読んで理解する能力が求められる
<実技試験>
・試験官の指示を正しく理解し、適切に対応できるレベルの日本語能力が必要
・調理や接客業務の中で、日本語でのコミュニケーションが求められる
合格率
外食業特定技能2号技能測定試験の合格率は、1号試験に比べて低めとされています。これは、より高度な技術と知識が求められるためです。
過去のデータによると、合格率は約30%〜50%の間で推移していますが、事前にしっかりと学習し、実技試験の準備を行うことで、合格率を高めることが可能です。
合格率を向上させるためのポイントは、公式の試験ガイドラインを確認し、実技試験の対策もきちんと行うことです。
また、試験に関する最新情報は、外食業特定技能試験公式サイト で確認することをおすすめします。
外食業特定技能2号技能測定試験は、外国人材がより専門的なスキルを証明し、日本での長期的なキャリアを築くための重要な試験です。試験の難易度は高めですが、十分な準備をすることで合格を目指すことが可能です。
日本語能力試験(JLPT)
外食業における特定技能2号の取得には、技能試験の合格に加えて、「日本語能力試験(JLPT)」N3以上の取得が必須となっています。在留資格の申請前までにN3以上に合格している必要があり、これは他の多くの分野にはない外食業特有の要件です。
N3レベルの日本語力は、「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる」レベルとされており、業務上の円滑なコミュニケーションを図るために求められています。
日本語能力試験(JLPT)はN1からN5までのレベルがあり、N1が最も難しく、N5が最も易しいレベルです。日本語能力試験(JLPT)のレベルごとの特徴は以下の通りです。
【N3】N1・N2とN4・N5の橋渡しとなるレベル
読む:日常的な話題に関する文章を理解できる
聞く:日常的な場面での会話を聞き、登場人物の関係などを把握できる
【N1・N2】現実の生活における幅広い場面での日本語能力を測る
N3レベルの合格者は、平易な日本語での会話が可能で、ゆっくりと話されれば、業務上の指示を理解し対応できる日本語力があるとされます。そのため、特定技能2号「外食業」では、このレベルの日本語能力が求められており、業務の円滑な遂行や顧客対応において重要な役割を果たします。
試験概要
「日本語能力試験(JLPT)」N3レベルは、言語知識(文字・語彙・文法)、読解、聴解のセクションで構成されています。試験科目と試験時間は、以下の通りです。
合格率
「日本語能力試験(JLPT)」N3レベルの合格率は、年度や実施回によって変動していますが、過去の試験のデータ | 日本語能力試験 JLPTによると約33%から54%の間で推移しています。
なお、合格するためには、各セクション(言語知識、読解、聴解)での基準点を満たし、総合得点で180点満点中95点以上を取得する必要があります。
特定技能2号「外食業」 試験に向けた学習方法
外食業特定技能2号技能測定試験では、調理技術・接客サービス・店舗管理・食品衛生など、外食業に関する高度な知識と実務スキルが求められます。
特定技能1号試験に比べて難易度が高く、合格率も低めのため、しっかりとした学習と実技試験対策が必要です。
ここでは、特定技能2号「外食業」の試験合格に向けた学習方法を紹介します。
AIを活用した支援ツール「チャットブリッジ」の活用
AI(人工知能)技術を活用したツールは、日本語の専門用語や試験テキストの難解な部分を理解するうえで非常に効果的です。
ObotAI社の「チャットブリッジ」は、LINEやメッセンジャーなどのSNS上で特定技能外国人や技能実習生と企業の間でスムーズな意思疎通を実現するツールです。従来の通訳では難しかった文化的背景を踏まえた正確なコミュニケーションが可能です。
さらに、「チャットブリッジ」のスキルアップチャット機能を活用すれば、業種や職場環境に特化した専門学習を、いつでも気軽に行うことができます。
例えば、特定技能2号「外食業」の試験に向けた学習も、スマートフォンを使ってスキマ時間や通勤時間に手軽に取り組むことが可能です。そして、新しいツールを導入しただけでは効果を発揮しないため、最初に使い方を一緒にトレーニングすることが大切です。
◎LINEなどのSNSを活用し、手軽に学習
◎各個人の学習の履歴はすべて専用データベースに記録
◎組織内での回答傾向の分析を行い、最適化を行うことが可能
▼2分でわかるスキルアップチャット機能▼
※画像をクリックすると動画が再生されます。
▼動画でまるわかり!チャットブリッジの「文化翻訳」とは?▼
※画像をクリックすると動画が再生されます。
【導入実績】
【株式会社あきた創生マネジメント】
【新世界語学院】
公式テキストや模擬問題の活用
外食業特定技能2号技能測定試験の学習には、一般社団法人日本フードサービス協会が提供する「外食業技能測定試験学習用テキスト」を活用するのが効果的です
試験範囲を網羅した公式テキストには、章ごとに重要な知識が整理されており、例題や図表を活用しながら理解を深めることができます。
また、衛生管理の法律やHACCPの手順、クレーム対応の基本、原価計算の方法など、試験で問われるポイントを漏れなく押さえることも重要です。
過去問題は公開されていませんが、模擬試験を時間を計って解く練習を行い、本番同様に制限時間70分以内に解ききる力を養うことが合格への鍵となります。
日本語能力試験(JLPT)の学習には、試験を運営する国際交流基金と日本国際教育支援協会が発行する公式テキストが活用できます。これらのテキストは、JLPTの各レベルに対応しており、効率的な学習に役立ちます。
日本語能力試験(JLPT)のN3レベルの学習では、語彙、文法、読解、聴解の各分野をバランスよく学ぶことが重要です。公式教材を使って、実際の試験形式に慣れることで、合格に一歩近づくことができます。
社内メンター・講師の配置
社内に試験内容に詳しい日本人社員がいれば、その社員をメンターとして指名し、定期的に勉強の進捗をフォローしてもらうことが効果的です。
さらに、外部の研修講師や支援機関が提供するセミナーを活用し、試験対策講座を受講することも有益です。専門家から効率的な学習法を学ぶことで、独学に比べて短期間で実力を養うことができる可能性があります。
また、社内メンターが日々の業務に試験勉強の要素を組み込む工夫をすることも非常に効果的です。
例えば、公式テキストの内容を踏まえた現場での指導や、業務上の判断を求める場面で「これは試験の店舗運営分野にも関連するよ」とフィードバックを行うことで、仕事と勉強を結びつけ、効率的に知識を定着させることができます。
<特定技能2号「外食業」取得後のキャリアと企業のメリット
特定技能2号「外食業」の資格を取得すると、本人にも企業にも多くのメリットが生まれます。
ここでは、特定技能2号「外食業」取得後の外国人材側のメリットと企業側のメリットについて解説します。
外国人材側のメリット
特定技能2号「外食業」を取得することで、外国人材は長期的に日本で働けるようになります。最大のメリットは在留期間の上限がなくなることで、安定した雇用が可能になる点です。
また、配偶者や子どもを日本に呼び寄せることができ、家族と共に生活する選択肢が広がります。加えて、長期在留が可能になることで永住権取得の要件にも近づきます。
特定技能2号「外食業」の取得は、日本での安定した生活とキャリア形成を目指す外国人材にとって大きな一歩となります。
キャリアパスの明確化
外国人材にとって、特定技能2号「外食業」を取得することは、安定したキャリアへの道が開けることを意味します。最大のメリットは、在留期間の上限がなくなるため、長期雇用が可能になり、5年の満期で帰国しなければならないという不安が解消されることです。
さらに、配偶者や子どもを日本に呼び寄せることが可能になるため、腰を据えて生活設計を立てやすくなります。こうした安定した在留資格を背景に、取得者はより責任のあるポジションに就くチャンスが広がります。
例えば、副店長から店長代理・店長への正式な昇進、さらには複数店舗を管理するエリアマネージャーの役割に挑戦するなど、日本人社員と同等のキャリアパスを目指すことができます。
待遇向上
特定技能2号「外食業」を取得することで、待遇面では、通常、技能の向上に応じて昇給や昇格が行われます。特定技能1号と比べて高度な業務を担うため、役職手当が付与されたり、賞与評価が向上したりするケースも多いでしょう。
法律上も「日本人と同等の報酬」が求められていますが、同じ店長補佐であってもアルバイトより正社員の給与が高いように、特定技能2号取得者には、それに見合った処遇を用意する企業が一般的です。
<さらに、日本での在留期間が延びることで、永住権取得の要件にも近づきます。将来的に日本に定住し、長く働きたいと考える人にとって、特定技能2号「外食業」の取得は大きな第一歩と言えるでしょう。
企業側のメリット
特定技能1号では最長5年の在留制限があるため、育成した人材が離職する課題がありましたが、特定技能2号取得者は無期限での雇用が可能となり、安定した労働力の確保につながります。
また、採用や在留資格に関する手続きが簡略化されることで、採用コストや業務負担の軽減も期待できます。外国人材が特定技能2号「外食業」を取得することは、企業にとっても持続的な成長を支えるうえで重要な役割を果たします。
戦力となる人材の長期確保
特定技能2号「外食業」の外国人材は、在留更新に期限がないため、長期間にわたって店舗運営の中核を担ってもらうことができます。このため、せっかく戦力となった人材が5年で離職してしまう心配がなくなり、安定した人員計画が実現します。
さらに、店長補佐や従業員指導を任せられる存在として、特定技能2号「外食業」取得者は非常に貴重です。長期間働いてもらう中で店舗運営のノウハウを蓄積し、後輩外国人や新人アルバイトのトレーナーとして活躍してもらうことで、現場全体のレベルアップに繋がります。
また、「教える立場」に立つ外国人スタッフがいることで、新たに入ってきた外国人スタッフも気軽に相談できる環境が整い、結果として職場の定着率向上につながります。
採用コストの削減と手続き簡略化
特定技能1号では、5年ごとに帰国することが義務付けられているため、その都度新たな人材を採用し、育成していました。しかし、特定技能2号「外食業」では長期雇用が可能となるため、頻繁な採用活動や教育コストを削減することができます。
さらに、特定技能1号に義務付けられている登録支援機関による支援(生活オリエンテーションや定期面談など)は、特定技能2号「外食業」では不要となるため、行政手続きや支援業務にかかる負担や費用が大幅に軽減されます。
例えば、在留資格の更新手続きも特定技能1号に比べて簡略化されており、受け入れ企業にとって事務的なハードルが下がるメリットがあります。
まとめ
特定技能2号「外食業」試験の概要、効果的な学習方法、そして合格後のメリットについて解説してきました。外食産業において特定技能2号制度は、企業と外国人双方にとって大きなメリットをもたらします。
特定技能2号「外食業」試験の合格のためには、テクノロジーを活用した学習ツールを活用し、適切なサポートを提供することが重要です。
当社では、AIを活用した文化翻訳(カルチャートランスレーション)で、企業のルールやミッション、異文化における習慣やマナーも考慮して翻訳を行う「チャットブリッジ」というツールを提供しています。
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そして、「チャットブリッジ」のスキルアップチャット機能は、特定技能2号「外食業」技能測定試験の学習を効果的にサポートするツールとなっています。
十分な準備と適切な支援を行うことで、外国人材が試験に合格し、外食業界で活躍できる環境を整えることが重要です。「チャットブリッジ」は、その実現を強力にサポートします。導入を検討の方は、まずはお気軽に「お問い合わせ」よりご連絡ください。
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