
「多言語サイトを作りたいけど、何から始めればいいか分からない」———そんな悩みを抱えていませんか?
海外展開やインバウンド対応を考える企業が増えるなか、多言語サイトの作り方への関心は年々高まっています。ただ、手法の種類が多く、費用感もバラバラで、どこから手を付けるべきか迷ってしまうのは当然です。手法の選択を誤ると、後から大規模な作り直しが必要になるケースも少なくありません。
この記事では、多言語サイトの作り方を5つのステップで丁寧に解説します。手法の選び方から、URL設計、翻訳・ローカライズ、hreflangタグの設定、言語切替の実装まで、企業Web担当者やフリーランス制作者が実際に動けるレベルの情報をまとめました。
多言語サイトの作り方【基礎知識】
多言語サイトの制作に着手する前に、基本的な概念と準備を整理しておく必要があります。
「翻訳すればいい」という認識のままスタートすると、後から大きなつまずきにつながります。ここでは定義の整理から準備チェックまでを確認しましょう。
多言語サイトの定義と関連用語の違い
多言語サイトとは、複数の言語でコンテンツを提供するWebサイトのことです。ただし、「翻訳」「多言語化」「ローカライズ」という3つの言葉は、似ているようで意味が異なります。
翻訳は、テキストをある言語から別の言語に変換する作業です。多言語化はそれを実際のWebサイトとして展開すること。
一方でローカライズ(L10N)は、翻訳にとどまらず、日付・通貨・住所形式・UIの表現・画像・色彩といった文化的な要素まで、ターゲット市場に合わせて適応させるプロセスです。
たとえば、英語サイトを日本語に翻訳しただけでは、日付形式が「April 5, 2026」のままだったり、価格がドル表示だったりすることがあります。
ローカライズはこうした細かい要素まで最適化することで、ユーザーに「このサイトは自分たちのために作られている」という安心感を与えます。
Googleの多言語サイト公式ガイドでも、こうした文化的適応の重要性が強調されています。
多言語サイト構築で得られる主なメリット
多言語サイトを構築する最大のメリットは、海外ユーザーからの信頼獲得と検索流入の増加です。言語の壁がなくなることで、ユーザーは自分の母国語でサービスや商品を理解でき、問い合わせ率や購買意欲が高まります。
実際にWordPress専用ホスティングサービスのKinstaは、多言語化によってトラフィックを大幅に増加させた成功事例として知られています。
海外SEOの観点でも、多言語サイトは有効です。ターゲット言語でコンテンツを持つことで、各国の検索結果に表示されやすくなり、オーガニック流入の拡大が期待できます。
ただし、メリットだけに目を向けるのは危険。多言語サイトの運用には、コンテンツ更新のたびに各言語版を更新する工数が発生します。翻訳コストや月額ツール費用も継続的にかかるため、事前のリソース見積もりは不可欠です。
制作前に確認すべき準備チェックリスト
制作を始める前に、以下の項目を確認しておきましょう。
- ・対象言語とターゲット市場(英語圏・中国語圏・東南アジアなど)は決まっているか
- ・予算の概算(初期制作費+翻訳費+月額運用費)を把握しているか
- ・現行CMSの種類(WordPress / Shopify / 独自開発 / なし)を確認しているか
- ・コンテンツの更新頻度(静的ページ中心か、毎週更新するか)を把握しているか
- ・社内に翻訳できる人材がいるか、または外注する予算があるか
これらが整理できていると、次のステップの手法選定がスムーズに進みます。
ステップ1:自社に最適な多言語化の手法を選ぶ
手法の選定は、多言語サイト構築の中で最も重要な意思決定です。ここで誤った選択をすると、後から大規模な作り直しが必要になることもあります。
予算・CMS環境・更新頻度の3軸で、自社に合った手法を1つに絞り込みましょう。WordPressを使っている方はWordPress多言語化の手順ガイドも参考にしてください。
多言語サイトを作る4つの手法
多言語サイトを作るための手法は、大きく4種類に分類できます。
手法①:手動(静的HTML)は、各言語のHTMLファイルを個別に作成・管理する方法です。ページ数が少なく、更新頻度がほとんどない会社紹介ページなどに向いています。
初期費用は10〜50万円程度で、月額運用費はほぼゼロ。
ただし、コンテンツを更新するたびに全言語分のHTMLを手動で編集する必要があり、ページ数が増えると一気に管理が難しくなります。
手法②:CMSプラグイン(WordPressなど)は、WPMLやPolylangといったプラグインを使って多言語管理する方法です。
WordPressをすでに使用している場合は導入コストが低く、初期0〜5万円・月額0〜2万円程度で始められます。
管理画面から各言語ページを一元管理でき、hreflangも自動生成されるため、中小企業のコーポレートサイトに最も普及している手法です。
手法③:SaaS翻訳ツール(WOVN.io等)は、既存サイトにJavaScriptタグを数行追加するだけで多言語化できるサービスです。CMS環境を問わず導入でき、初期費用は実質ゼロですが、月額3〜30万円程度のランニングコストが発生します。更新頻度が高いECサイトや、エンジニアリソースが少ない企業に向いています。
手法④:AI翻訳+人力校正(DeepL・ChatGPT活用)は、AIで下訳を生成し、人間が品質チェックをするハイブリッドアプローチです。
初期5〜30万円・月額2〜10万円程度で、コストと品質のバランスが取れた現実的な手法として、DeepL公式サービスへの注目が2025〜2026年にかけて急速に高まっています。
自己診断フローチャートで手法を絞り込む

手法選びに迷ったら、次の4つの質問に答えてみてください。
まず「月額予算は5万円以上出せるか?」を確認します。出せる場合は、SaaSツールか制作会社への外注が選択肢に入ります。出せない場合は次の質問へ。「WordPressを使っているか?」でYesなら、CMSプラグイン(WPMLまたはPolylang)が最もコスパの高い選択です。
「更新頻度は月1回以上か?」でYesなら、手動HTMLは避けてCMS管理が前提になります。最後に「エンジニアリソースはあるか?」
――ここでYesなら、Next.jsなどのヘッドレスCMSを使ったフルカスタム構築も十分視野に入るでしょう。
手法別の費用相場
費用感を把握しておくことで、社内稟議も通しやすくなります。各手法の費用相場は以下のとおりです。
| 手法 | 初期費用 | 月額費用 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 手動(静的HTML) | 10~50万円 | ほぼ0円 | ページ数が少なく更新頻度がほぼゼロのサイト |
| CMSプラグイン (WordPress等) |
0~5万円 | 0~2万円 | WordPressを既に使用している中小企業のコーポレートサイト |
| SaaS翻訳ツール (WOVN.io等) |
0円(無料プランあり) | 3~30万円 | 更新頻度が高いECサイト・エンジニアリソースが少ない企業 |
| 制作会社への外注 | 100~500万円 | 5~20万円 | 要件定義から運用設計まで丸ごと任せたい企業 |
| AI翻訳+人力校正 | 5~30万円 | 2~10万円 | コストと品質のバランスを取りたいサイト全般 |
制作会社への外注はコストが高い分、要件定義から運用設計まで丸ごと任せられます。
自社でエンジニアや翻訳リソースが確保できない場合は、初期費用・月額費用・対応範囲を複数社で比較した上で、費用対効果を慎重に判断しましょう。
ステップ2:URL構造とサイト設計を決める
URL構造の決定は、海外SEOと運用効率の両方に直結する重要な設計判断です。
後から変更すると301リダイレクト対応が大量に発生するため、制作着手前に必ず確定させましょう。どの構造を選ぶかによって、検索エンジンへの評価のされ方や、将来的な言語追加のしやすさも変わってきます。
CMSの設定に入る前に、URL設計書としてページ一覧とリダイレクトルールを文書化しておくと、開発・運用の両面でトラブルを防げます。
URL構造の3種類と選び方

多言語サイトのURL構造には主に3種類があります。
サブディレクトリ型(例:example.com/ja/)は、メインドメインのSEO評価を全言語で共有できるため、ドメインの信頼性を分散させずに済みます。初めての多言語サイト構築なら、この方式が最も無難でしょう。
サブドメイン型(例:ja.example.com)は、言語ごとに独立したサイトとして管理できる反面、Googleからは別サイトと見なされる傾向があり、SEO評価の蓄積に時間がかかります。
ccTLD型(例:example.co.jp)は、国ごとの信頼性が高くローカルSEOに強い一方、ドメインを国ごとに取得・管理するコストが発生する点は覚えておきたいところです。
Googleの多地域・多言語サイト管理ガイドでは、この3種類のURL構造の特性が詳しくまとめられています。Googleも各方式を適切に処理できると公式に認めており、選択の根拠として参考になります。
3種類のURL構造の使い分け基準
使い分けの判断基準は、主に「SEOの強化目的か、ブランドの地域最適化か」という軸で考えると整理しやすくなります。
| URL形式 | 例 | SEO評価 | 管理コスト | おすすめ用途 |
|---|---|---|---|---|
| サブディレクトリ型 ★初めての方に推奨 |
example.com/ja/ | メインドメインのSEO評価を全言語で共有できる | 低 | 多言語化の第一歩を踏み出すコーポレートサイト・情報サイト |
| サブドメイン型 | ja.example.com | Googleから別サイトと見なされやすく、評価蓄積に時間がかかる | 中 | 言語ごとに異なるチームが独立して運用する大規模サイト |
| ccTLD型 | example.co.jp | 国別のローカルSEOに強く、地域ユーザーの信頼を得やすい | 高(国ごとにドメイン取得が必要) | 特定国市場に深くコミットするECサイト・観光・インバウンド対応サイト |
設計方針が固まったら、WordやスプレッドシートでURL一覧とリダイレクトルールを設計書にまとめてから、CMS設定に入ることを強くおすすめします。
ステップ3:コンテンツを翻訳・ローカライズする
翻訳とローカライズの品質が、多言語サイトの成否を分けます。コストを抑えながら品質を担保するには、ページの種類に応じて翻訳手法を使い分けることが鍵です。
翻訳手法3種類の特徴と選び方
機械翻訳(AI翻訳)は、スピードとコストの面で圧倒的に有利です。
ただし、ニュアンスの誤りや不自然な表現が含まれることがあり、公開前の品質確認が欠かせません。人力翻訳は品質が高い反面、費用と時間がかかります。
ハイブリッド方式はAIで下訳し、プロが校正するアプローチで、両者の中間的なコストと品質を実現します。
ページ種別ごとの推奨手法は以下のとおりです。
| ページ種別 | 推奨手法 | 理由 |
|---|---|---|
| 商品説明・ブログ記事 | ハイブリッド (AI翻訳+人力校正) |
ページ数が多くコスト効率が重要。 AIで下訳しプロが品質確認することでバランスが取れる |
| 法的文書・利用規約・ プライバシーポリシー |
人力翻訳(必須) | 誤訳が法的リスクに直結するため、 専門翻訳者による正確な訳が不可欠 |
| キャッチコピー・ CTAボタン |
ネイティブによる人力翻訳 | ブランドの第一印象に関わり、 文化的ニュアンスや訴求力がAIでは担保しにくい |
DeepL・ChatGPTを活用した翻訳の進め方
DeepLのAPIを使ったバッチ翻訳は、HTMLファイルやテキストファイルをまとめて処理できるため、ページ数が多い場合に特に有効です。
DeepLの公式APIドキュメントに従ってAPIキーを取得し、Pythonなどのスクリプトで翻訳対象テキストを一括送信するのが基本的な流れ。
ChatGPTを使う場合は、たとえば「以下の日本語テキストを自然な英語に翻訳してください。ブランド名『〇〇』はそのまま残し、丁寧なビジネス文体で書いてください。」といったプロンプトを使うと精度が上がります。
コピーして使えるシンプルなプロンプトを1つ用意しておくだけで、作業効率は大きく変わるでしょう。
ただし、AI翻訳後に必ず人の目で確認すべき箇所があります。CTA文・ブランド名・法的文書は特に要注意です。
これらを見落とすと、ブランドイメージの低下や誤情報の発信につながりかねません。

画像出典:ObotCRAFT-オーボットクラフト-(株式会社ObotAI)
翻訳・コンテンツ制作をさらに効率化したい場合は、多言語SEOコンテンツの自動生成ツール「ObotCRAFT」も選択肢の一つです。
単なる翻訳にとどまらず、現地で実際に検索されるキーワードに対応したコンテンツを生成できるため、翻訳後の流入獲得まで見据えた多言語展開に役立ちます。
翻訳だけでは足りないローカライズの対応要素
テキストを翻訳するだけでは、真の意味での多言語サイトにはなりません。
日付形式(米国は「MM/DD/YYYY」、日本は「YYYY年MM月DD日」)、通貨記号($・€・¥)、電話番号フォーマット(国際番号の有無)といった数字周りの違いは、特に見落とされやすい項目です。
画像や色彩の文化的な違いにも要注意。白色は日本では清潔感を表しますが、喪のイメージを持つ文化圏もあります。フォントについても、中国語の繁体字・簡体字やアラビア語(右から左への表記)は、標準のWebフォントでは正しく表示されないケースがあるため、対応するフォントセットとUnicode設定は事前に確認しておきましょう。
ステップ4:多言語サイトのSEO設定を正しく行う
hreflangタグと多言語サイトマップを正しく設定することで、各言語版ページを検索エンジンに適切に認識させられます。
この設定を怠ると、重複コンテンツとして評価されるリスクがあります。海外SEOについては海外SEO対策の進め方もあわせて確認しておくと理解が深まります。
hreflangタグが重要な理由と設定の基本
hreflangタグは、Googleに対して「このページの日本語版はここ、英語版はここ」と明示するためのHTMLタグです。
設定しないまま多言語サイトを公開すると、日本語版と英語版が同じ内容の重複コンテンツとしてGoogleに評価されてしまいます。
よくある失敗が、「日本語版と英語版を両方インデックスしているのに、英語圏からの流入がまったく増えない」という状態。これはhreflangが設定されておらず、Googleがどちらのページをどの国に表示すべきか判断できていないことが原因のほとんどです。
Googleのhreflang公式ドキュメントでも、hreflangの正確な設定が海外流入獲得の前提条件として強調されています。
hreflangタグの正しい記述例
基本的な記述例は以下のとおりです。各言語ページの<head>内に記述します。
<link rel="alternate" hreflang="ja" href="https://example.com/ja/" />
<link rel="alternate" hreflang="en" href="https://example.com/en/" />
<link rel="alternate" hreflang="x-default" href="https://example.com/" />
見落としやすいポイントが2つあります。1つは「self参照」で、自分自身のURLもhreflangで記述する必要がある点。もう1つはx-defaultの設定です。これはどの言語にも該当しないユーザー向けのデフォルトページを指定するタグで、省略すると検索結果の表示が意図どおりにならないことがあります。
WordPressを使っている場合は、WPMLやPolylangを導入すれば、hreflangタグが自動生成されます。設定後は、hreflang.orgなどのバリデーターツールでエラーがないか必ず確認しましょう。
サイトマップとメタデータの設定方法
XMLサイトマップは言語版ごとに作成し、Google Search Consoleから各言語プロパティに登録するのが基本です。WordPressの場合は、Yoast SEOやRank Mathのプラグインが多言語サイトマップを自動生成してくれるので、手間をかけずに対応できます。
各言語ページのtitleタグとmeta descriptionも、翻訳しながら文字数ルールを守ることが大切です。目安は日本語でtitle30文字・description80文字程度、英語ではtitle60文字・description160文字程度。Google Search Consoleのパフォーマンスレポートで言語別の表示回数・クリック率を定期的にチェックしながら、改善を続けていきましょう。
ステップ5:言語切替機能を実装してサイトを公開する
ユーザーが直感的に使える言語切替UIを実装することで、多言語サイトの利便性は大きく変わります。技術的な実装方法は使用しているCMSやフレームワークによって異なりますが、どのケースでも共通して意識すべきUI設計の原則があります。
使いやすい言語切替UIの設計ポイント
言語切替ボタンの配置場所として最も一般的なのはヘッダー右上です。
ユーザーがページを開いた際に最初に目に入る場所であり、「ここで言語を変えられる」という直感的な認識を促せます。
フッターやハンバーガーメニュー内への配置は、モバイルでは気づかれにくいため、重要な情報コンテンツを持つサイトでは補助的な位置づけにとどめましょう。
よく見かける「国旗アイコン」を言語切替に使うデザインには注意が必要です。たとえば英語は英国・米国・オーストラリアなど多くの国で話されており、国旗は言語を正確に表しません。
「English」「日本語」「中文」のようにテキストで言語名を表示するほうが、誰にとっても分かりやすいUIになります。
モバイルでの言語切替では、タップ領域の大きさも重要なポイント。最低44×44ピクセルのタップ領域を確保し、切替ボタンが他のリンクと近接しすぎないよう気をつけましょう。
WordPress・Wix・Next.jsでの実装方法
WordPressの場合、代表的なプラグインはWPMLとPolylangの2つです。WPMLは有料(年間約9,900円~)ですが、多機能で大規模サイトにも対応。設定手順はシンプルで、プラグインインストール後にセットアップウィザードに従い、対応言語を追加して既存ページの翻訳版を作成するだけです。
一方、Polylangは無料版でも基本的な多言語管理ができるため、小規模サイトに向いています。
Wixの場合は、ダッシュボードの「言語とリージョン」設定から「Wix Multilingual」を有効化し、追加言語を選択するだけ。
言語切替UIが自動的にサイトへ追加されます。翻訳作業もWixエディタ内で完結するため、エンジニアなしで多言語サイトを作れるのが最大の強みでしょう。
Next.jsの場合は、next-i18nextライブラリを使ったi18n実装が標準的です。next.config.jsにi18nの設定を追加し、/public/locales/en/common.jsonのような構造で言語ごとの翻訳ファイルを管理します。
useTranslationフックを活用すれば、コンポーネント内で言語切替に応じたテキストを動的に出力できます。
よくある失敗と対処法
多言語サイトの制作には、経験者でもはまりやすい落とし穴がいくつかあります。典型的な失敗パターンを事前に把握しておけば、無駄なやり直しを防げます。
以下に代表的な5つの失敗例と対処法を解説します。
失敗例1:hreflang設定後も検索順位が改善しない
hreflangを設定したつもりでも、効果が出ないケースは珍しくありません。
原因の多くは、self参照の漏れ、x-defaultの未設定、またはXMLサイトマップへの反映忘れです。Google Search ConsoleのURL検査ツールで各言語ページのインデックス状態を1ページずつ確認し、hreflang.orgのようなバリデーターツールで記述エラーを洗い出しましょう。
設定後の反映には数週間かかることもあるので、焦らず定期的にモニタリングするのが大切です。
失敗例2:機械翻訳のまま公開してブランドイメージが低下
AI翻訳をそのまま公開すると、不自然な表現や誤訳がユーザーに伝わり、信頼性を損ないます。特に被害が大きいのは、CTA文(購入ボタン・申込フォームの文言)や製品の特徴説明、法的文書です。
これらは必ずネイティブスピーカーか専門翻訳者による人力校正を通しましょう。翻訳チェックリストを事前に作成しておき、公開前の最終確認フローに組み込んでおくと安心です。
失敗例3:URL構造を未定のまま着手して大幅改修が発生
URL構造は後から変更すると、リダイレクト設計・hreflangの書き直し・サイトマップの再生成など大量の対応が発生します。
公開後に「やっぱりサブディレクトリに変更したい」という判断は、SEO評価への影響も大きく、数ヶ月単位のリカバリー期間が必要になることもあります。
ステップ2のURL構造の決定は、CMS設定を始める前に必ず完了させましょう。
失敗例4:翻訳後に日付・通貨のローカライズを見落とし
テキストの翻訳は完了しているのに、日付・通貨・住所形式が元のままになっているケースは珍しくありません。
英語版サイトに「¥5,000」と表示されていたり、日本語版サイトに「January 5」という表記が残っていたりすると、ユーザーの混乱を招きます。
ステップ3のローカライズチェックを翻訳作業と並行して行い、公開前に全ページで確認する習慣をつけましょう。
失敗例5:全言語版の手動更新が追いつかなくなった
手動(静的HTML)で多言語サイトを構築した場合、コンテンツを更新するたびに全言語分のHTMLを手動で編集しなければなりません。
ページ数が増えるとこれは現実的ではなく、更新漏れや言語間での内容不一致が起きてしまいます。
月1回以上の更新が見込まれるサイトなら、最初からCMSプラグインかSaaS翻訳ツールを選んでおきましょう。
運用フローを最初に設計しておくことが、長期的なコストと品質の両方を守る近道です。更新のたびに「どの言語版を直したか」を管理する手間は、想像以上に現場の負担になります。仕組みで解決できる問題は、仕組みで解決しておくのが鉄則です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 最低限必要な予算はいくらですか
最も低コストな方法は、WordPressに無料プラグインの「Polylang」を導入することです。
プラグイン自体は無料で使えるため、すでにWordPressサイトを持っている場合は翻訳コストのみで多言語化できます。AI翻訳(DeepL無料プランなど)を活用すれば、初期費用を数万円以下に抑えることも可能。ただ、品質や機能面で制限があるため、ビジネス用途では月額2~5万円程度の予算を見ておくと余裕を持って進められます。
Q2. hreflangタグはすべてのページに設定が必要ですか
原則として、多言語版が存在するすべてのページにhreflangタグを設定することが推奨されています。
トップページだけに設定しても下層ページには効果が及ばないため、注意が必要です。
WordPressのWPMLやPolylangを使っている場合は、プラグインが全ページに自動でhreflangを付与してくれるので、手動対応の手間を大幅に省けるでしょう。
Q3. 適切な言語版ページが自動的に表示されますか
hreflangタグと正しいURL構造を設定すれば、Googleはユーザーの言語・地域設定に基づいて適切な言語版ページを検索結果に表示しようとします。
ただし、これはあくまでGoogleへの「示唆」であり、必ず意図どおりに表示される保証はありません。Google Search Consoleで定期的にパフォーマンスを確認し、意図しない言語版が表示されていないかモニタリングしましょう。
Q4. SEO対策で最も重要なことは何ですか
hreflangタグの正確な設定と、各言語ページに固有のオリジナルコンテンツを用意すること、これが最重要です。
翻訳しただけで内容が同じページが複数存在すると、Googleが重複コンテンツとみなすリスクがあります。
加えて、各言語版のURLに一貫したディレクトリ構造を持たせること、各言語のtitleタグ・meta descriptionをしっかり翻訳することも欠かせません。
Q5. 小規模な企業でも多言語サイトは必要ですか
インバウンド需要があるビジネス(飲食・宿泊・観光・製造業の海外向け製品など)であれば、小規模でも多言語化の費用対効果は十分あります。
特に英語対応だけでも、英語圏からの問い合わせや流入が発生するケースは多く、まずは単一言語への対応から始めるのが現実的です。無理にすべての言語をカバーする必要はありません。
ターゲット市場に合わせて2〜3言語からスタートするアプローチをおすすめします。
Q6. すべてのページを翻訳する必要はありますか
すべてのページを翻訳するのが理想ですが、リソースが限られているなら優先度をつけるのが現実的です。
まずはトップページ・サービス・製品ページ・問い合わせページなど、コンバージョンに直結するページから着手しましょう。
ブログ記事などのコンテンツページは、需要を確認しながら段階的に増やしていく進め方がおすすめ。運用負荷を抑えながら、効果を最大化できます。
まとめ
多言語サイトの作り方は、手法選定・URL設計・翻訳とローカライズ・SEO設定・言語切替の実装という5つのステップで整理できます。
最初に手法と予算を正しく決めることが、後工程の手戻りを防ぐ最大のポイント。hreflangタグの設定やローカライズの対応は地味に見えますが、海外ユーザーからの信頼獲得と検索流入に直接影響するため、手を抜かずに対応しましょう。
AI翻訳の進化により、以前より低コストで多言語化に踏み出せる環境が整っています。
ただし、AIに頼りきるのではなく、CTA・法的文書・ブランドメッセージは必ず人の目で校正する。これが品質維持の鉄則です。
まずはこの記事で紹介した準備チェックリストと診断フローを使って、自社に合った手法を1つ選んでみてください。小さく始めて運用の感覚をつかみながら、対応言語とページ数を徐々に広げていく。そのアプローチこそが、長続きする多言語サイト運用の近道です。
多言語サイトの構築と並行して、現地で検索されるコンテンツを継続的に発信していくことも、海外集客を加速させる重要な施策です。
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記事作成:NATSUMI.K
株式会社ObotAI / WEBデザイン・マーケティング担当
株式会社ObotAIにて、SEOやAIを活用したコンテンツマーケティングを担当しています。これまでの実務経験をもとに、記事制作から導線設計、改善まで一貫して取り組んでいます。現場で得た知見をもとに、「成果につながるコンテンツとは何か」を意識しながら改善に取り組んでいます。

