
観光DXとは、デジタル技術を活用して既存の観光サービスの質を向上したり、課題を解決することを目的とした取り組みです。近年では、新しい観光体験としてバーチャルツアーを行うなど、様々な方法でデジタル技術の活用が目立ってきています。
日本は、他国に比べるとさまざまな領域においてDX化が進んでおらず、このままDX化が進まなかった場合、2025年以降に年間12兆円もの経済的損失が生じる「2025年の崖」が予測されています。
ここでは、「観光DX」が促進される背景と目的、日本の取り組み事例をご紹介します。
日本での観光DX取り組み事例

観光業界は、デジタルの力を上手く活用し、さまざまな観光のカタチを作り出していますので観光DXへの取り組みを検討している方、ぜひ参考にしてみてください。
ここでは、観光DXの取り組み事例10選をご紹介します。
静岡県熱海市 ― AIエージェントによるインバウンド観光DX

画像出典:観光DX公式サイト 熱海生成AI協議会
じゃらんリサーチセンター(JRC)と熱海市役所・熱海観光局が連携し、生成AIを活用した「AIエージェント」による観光DX実証事業を実施しました。年間306万人が訪れる一方でインバウンド宿泊者比率が5.1%に留まっていた熱海市では、KGI・KPI指標に基づくデータ取得基盤が未整備であることが課題でした。
本事業では、「AIコンディションボード」と「AIエージェント」を導入し、観光案内所の来訪者データや問い合わせ内容、現場スタッフの気づきをAIが自動で要点整理する「AIレポート作成ツール」を実装。分析業務の工数を最大90分の1に削減しながら、ターゲット国からの来訪者数が前年比約2倍に増加するという成果を上げています。限られた人材でも戦略的な施策の実行と振り返りが可能になった点が高く評価されています。
神奈川県箱根町 ― 「箱根観光デジタルマップ」による混雑可視化と周遊促進

画像出典:箱根観光デジタルマップ
箱根DMO(箱根町観光協会)が開発・運用している「箱根観光デジタルマップ」は、交通渋滞情報、駐車場の満空情報、飲食店の混雑状況などをリアルタイムで可視化するサービスです。オーバーツーリズムが課題となっていた箱根町で、2023年11月にプレリリースされ、2024年以降順次機能が拡大されています。
混雑状況に応じたおすすめ周遊ルートの自動提案、デジタルクーポンの配布、ガイドツアーの案内・予約機能を備えており、「旅マエ」「旅ナカ」の両方で活用可能です。さらに2025年度には、インバウンド向け飲食・体験のAI代理予約機能も実証事業として開始されており、宿外での夕食やアクティビティをAIがレコメンドし、ワンストップで予約できる仕組みの構築が進んでいます。
ひがし北海道 ― 生成AIによる周遊プランの自動生成

画像出典:観光DX公式サイト ひがし北海道
広大な自然を誇るひがし北海道エリアでは、旅行者の周遊促進と滞在期間の延伸が地域課題となっています。従来、対面調査によって旅行者の動向を把握してきましたが、集計作業は手作業で、職員の負担が大きく主観が入りやすいという問題がありました。
2025年度の観光庁「観光DXによる地域活性化モデル実証事業」に採択された本事業では、蓄積された観光データやアンケートデータをもとに、生成AIが国別・シーズン別のペルソナ像を自動作成。さらにそのペルソナに対する疑似インタビューを通じて周遊旅行商品の改良やプロモーション内容を策定し、多言語化の自動化まで一気通貫で行います。DMOの人手不足という課題を、生成AIによる業務代替で解決しようとする先進的な取り組みです。
青森県弘前市 ― 生成AIによる観光ガイド育成強化

画像出典:観光DX公式サイト 弘前市
弘前城の桜や四季折々の風景、伝統文化を活かしたイベントなど、豊かな観光資源を有する弘前市では、ガイドの高齢化・後継者不足、多言語対応の困難さ、教育コストの負担が深刻な課題でした。従来の「ひろさきガイド学校」等の育成施策では、属人的な知識・スキルの解消に至っていませんでした。
2025年度の観光庁採択事業として、生成AIを活用して多言語の観光案内トークスクリプトを自動生成するシステムを導入。ガイド一人ひとりの経験や語学力に依存することなく、均質で高品質な案内を提供できる体制の構築を目指しています。ガイド業務の効率化と品質向上を同時に実現し、持続可能な観光案内体制のモデルケースとして注目されています。
大阪府大阪市 ― 20言語以上対応の生成AIチャットボット
” rel=”noopener” target=”_blank”>Kotozna laMondo(コトツナ ラモンド)
画像出典:新潟県佐渡市 ― AI需要予測による繁閑差の平準化
大阪観光局は、大阪公式観光情報サイト「OSAKA-INFO」に、日本初となる20言語以上に対応した生成AIチャットボット「Kotozna laMondo」を導入しました。JTBとKotozna社が共同開発したこのチャットボットはGPT-4を活用しており、「OSAKA-INFO」に掲載された観光情報をもとに、旅行者の質問に対して自然な対話形式で回答します。
2025年の大阪・関西万博を見据えて導入されたこのサービスは、24時間365日の多言語対応を実現し、急増する訪日外国人旅行者への案内業務を大幅に効率化しました。WEBサイトの情報更新に連動してAIの回答内容も自動で更新されるため、常に最新の観光情報を提供できる点も特徴です。今後は公式観光アプリ「Discover Osaka」にも搭載が進められており、万博を契機としたインバウンド受け入れ体制のDX化を加速させています。
新潟県佐渡市 ― AI需要予測による繁閑差の平準化

画像出典:観光DX公式サイト 佐渡市
2024年7月に「佐渡島の金山」が世界文化遺産に登録され、旅行者のニーズが多様化する佐渡市では、季節による来島者数の偏りが大きく、事業者の人材確保や仕入れの最適化が困難な状況が続いていました。
2025年度の観光庁採択事業として、DMOおよび交通事業者が保有するデータを集約し、AIによる観光需要予測システムとDMP(データマネジメントプラットフォーム)を整備。予測データに基づいた秋季の誘客マーケティング施策の実施や、観光施設のデジタルチケット事前販売など、データドリブンなアプローチで繁閑差の平準化と地域消費の拡大を目指しています。世界遺産登録という追い風を最大限活かすためのDX戦略として注目されています。
広島県広島市 ― 生成AIコンシェルジュによるパーソナライズ観光

画像出典:観光DX公式サイト 広島市
原爆ドームや平和記念公園といった世界遺産を有する広島市は、高い集客力を誇る一方で、旅行者の行動が一部の有名スポットに集中し、周辺地域のにぎわい創出が課題でした。
本事業「My広島観光プラン+AI ~パーソナライズDX事業~」では、生成AIを活用した多言語AIコンシェルジュ「My HIROSHIMA」を導入。旅行者の国籍・年代・興味関心などの属性に応じて、パーソナライズされた観光スポットやグルメをレコメンドします。QRコードを活用した観光案内所からAIコンシェルジュへの誘導で案内業務も効率化。蓄積されたデータを分析し、立ち寄りスポットの増加と地域全体の消費拡大を目指す包括的な取り組みです。
福井県若狭町 ― 「漁村まるごとホテル」地域OTAで過疎地域を活性化

画像出典:観光DX公式サイト 若狭町
若狭湾と三方五湖に囲まれた自然豊かな福井県若狭町は、漁師経営の民宿数が全国1位という特色ある地域です。しかし、OTA(オンライン旅行代理店)への対応やIT活用に不慣れな個人事業主が多く、宿泊事業者の運営負担が増加していました。
2025年度の採択事業「若狭漁村まるごとホテル」では、地域全体の予約管理・販売促進を一元化する地域独自のOTA「Wakasa Stay」を構築。全国初となる観光協会主体のローカルOTAとして2025年秋に運用を開始し、実際に民宿への予約が入り始めています。外部プラットフォームへの手数料流出を防ぎ、地域内に収益を還元する持続可能な過疎地域の観光モデルとして全国的に注目を集めています。
熊本県八代市 ― TSMC・クルーズ船対応のAI観光案内DX

画像出典:観光DX公式サイト 八代市
熊本県八代市は、クルーズ船の寄港数増加に加え、台湾積体電路製造(TSMC)の熊本進出によるインバウンド急増という、他の観光地とは異なる独自の背景を持っています。一方で、観光案内所ではオーバーツーリズムや営業時間外の対応、多言語対応スタッフの不足が深刻な課題でした。
本事業では、AIチャットボット、AIコンシェルジュ、AIフラッシュムービーなど、複数のDXツールを組み合わせた総合的な観光案内体制を構築。AIコンシェルジュが旅行者の属性を反映した「プレミアムマイマップ」を提供し、観光ルートに基づいたAIフラッシュムービーで期待値を高め消費拡大につなげます。人的リソースに依存しない持続可能な観光案内体制のモデルケースとして注目されています。
長野県 ― 「マーケティングの地消地産」広告配信の域内循環モデル

画像出典:観光DX公式サイト 長野県
四季折々の自然景観と温泉文化、アウトドア体験で国内外の旅行者に人気の長野県では、観光分野のインターネット広告が域外の大手プラットフォームに依存しており、マーケティング費用が地域外に流出しているという構造的な課題を抱えていました。
2025年度の採択事業では、観光事業者やDMO、観光協会が保有するデータを統合するDMPと、県内事業者のWebサイト・メルマガを活用した独自の広告配信システムを整備。信州大学との共同研究によるマーケティングソリューションの開発も進めています。広告の企画・配信・効果測定までを域内で完結させる「マーケティングの地消地産」という新しい概念を掲げ、観光DXを通じた地域経済への還元率向上を目指す画期的な取り組みです。
事例から見る観光DXにおける日本の動向

日本は世界から見るとデジタル化が遅れていると言われています。
観光産業においても、宿泊業のオペレーションなどはDX化が進んでいますが、その他の部分は発展途上の段階であり、今後の取り組みに注目が集まっています。
ここでは、観光DXにおける日本の動向として、「促進される背景と目的」・「観光庁が推進する観光DXの取り組み」「観光DXの導入に利用できる補助金」について解説していきます。
観光DXが促進される背景と目的
2022年10月水際措置の緩和以後、インバウンド業界は堅調に回復を続け、2023年の訪日外国人旅行者数は2,500万人を超えました。
コロナ後は、デジタル化の普及により、オンラインで予約や情報収集を行い、訪日観光客の意識も変化しているといえます。
観光庁は、2030年の訪日外国人旅行者を6000万人、旅行消費額15兆円などの目標を掲げ、「世界が訪れたくなる日本」の実現に向けて、さまざまな取り組みをおこなっています。
その一環として、デジタル技術による観光サービスの変革を進める「観光DX」があります。
世界でオンライン観光が普及している今、観光においても「新たな体験価値」の提供として、デジタル技術を観光資源と掛け合わせることで、相乗効果を生み出し、新たな観光コンテンツの創出、観光需要の創出が必要となってきています。
観光庁が推進する観光DXの取り組み
観光庁の「令和5年版観光白書について」によると、観光産業が抱えている構造的な課題として、「賃金・人手不足」・「雇用の波動性」を指摘しています。
これらの構造的課題を解決するために、観光地・観光産業の再生・高付加価値化を行うことで単価アップを目指す必要があります。
また、観光DXを推進することで、人員配置の効率化や顧客の嗜好に合わせた接遇や宣伝を行い、満足度とリピート率を向上させて客数を増やすなど、売上高の増加(客単価×顧客数の増加)に貢献することができます。
近年、オンラインによる旅行やスマートフォンの普及により、旅行者側のデジタル化は進展していますが、宿泊施設や観光地域などの対応が遅れており、バランスが取れていない状況が多々見られます。
今後に向けて観光庁は、地域と観光旅行者の双方が観光のメリットを実感できる「持続可能な観光」を目指し、個々の事業者や観光地域づくり法人などのデジタル実装を進めつつ、観光産業の「稼ぐ力」(収益)の強化をするための施策や取り組みを進めていく予定です。
令和4年度に講じた施策・令和5年度に講じようとする施策として、以下のようにまとめられています。

画像出典:令和5年版観光白書について(概要版)/国土交通省観光庁
令和4年度は、「持続可能性の高い観光地経営の実現に向けた観光DX推進緊急対策に係る実証事業」として6事業、「DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による観光・地域経済活性化実証事業」として8事業が採択され、実証事業を実施しています。
「持続可能性の高い観光地経営の実現に向けた観光DX推進緊急対策に係る実証事業」
- 全国30のスキー場を繋げ地域消費拡大を目指す「スノーリゾート経済圏」構築に向けた実証事業(北海道、岩手県、山形県、新潟県、群馬県、山梨県、兵庫県)
- 東北観光DMPを活用した新たな旅のスタイル定着事業(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、新潟県)
- 関門海峡におけるポートマネジメントと港湾観光の施策(山口県下関市、福岡県北九州市)
- ALLニセコ 多様なデータ集約による消費行動促進事業(北海道ニセコ町、倶知安町、蘭越町)
- “まち全体が一つの温泉旅館”のDX化実現事業(兵庫県豊岡市)
- インタラクティブ観光DX事業(大分県)
「DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による観光・地域経済活性化実証事業」
- 「日本観光振興デジタルプラットフォーム」構築事業(全国)
- 地域の、地域による、旅行者の為の、音声AR P/F事業(岩手県八幡平市、埼玉県秩父市、愛媛県今治市等)
- 一極集中下の来場客を活用した地域経済活性化事業(北海道札幌市、茨城県鹿嶋市、静岡県静岡市、福岡県福岡市)
- 観光データ連携機能構築による観光事業者の収益向上に向けた実証事業(福井県)
- ハイバリューカスタマー育成を目指す観光DX推進事業(三重県)
- 那須地域新観光DX戦略による地域リブラディング(栃木県那須塩原市、大田原市、那須町)
- 地域主体による観光客の下呂市周遊促進と拡大戦略(岐阜県下呂市)
- 志賀高原観光DX推進による域内経済の活性化実証事業(長野県下高井郡山ノ内町)
観光庁DX事業公式noteや観光庁DX事業公式Twitterにて詳しい取り組み情報を発信しているので、気になる方は見てみてください。
観光DXの導入に利用できる補助金
観光DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術の力で観光に関する業務の効率化を図る取り組みです。観光DXには、収集したデータの分析を通じた観光戦略の検討や、新たなビジネスモデルを創出する取り組みも含まれています。
観光庁も、観光DXを地方創生の切り札として位置づけていますが、観光DX化を進めるためには、ある程度の資金が必要となり、資金の調達が難しく導入に踏み切れないと考える企業がいるのも事実です。
こうした状況を踏まえて、政府や自治体がDXの取り組みを促すための補助金制度を用意しています。
例)観光地・観光産業における人材不足対策事業

画像出典:観光地・観光産業における人材不足対策事業/国土交通省観光庁
観光庁が行っている「観光地・観光産業における人材不足対策事業」では、宿泊業が抱えている人材不足解消に向け、設備投資やサービスの導入に関わる経費の一部を支援しています。
人手不足対策につながるプランの実施に対して採択された場合は、上限500万円、2分の1の補助金が支給されます。業務効率を高めることで、旅行者やビジネス客の方の満足度向上と業界の発展をサポートすることが可能になります。
もし、費用面で導入が難しい場合には、このような政府や自治体が用意している補助金制度を利用するのも一つの方法です。
事例から見る観光DXのメリット・デメリット

ここからは、観光DXのメリット・デメリットについて解説していきます。
デジタル技術の活用によって多くのメリットを得ることができますが、デメリットも少なからずあるので、参考にしてみてください。
メリット
DXを促進することで、データを活用した顧客ニーズの分析や新しいビジネスモデルの構築が可能となり、自社の利益向上や地域経済の向上にもつなげることができます。
現代では、多くの人がスマートフォンやPCを使って情報収集をします。
動向をデータ化し、分析することで、顧客が求めているものを効率的に把握し、パーソナライズされた「おもてなし」ができるようになります。
また、デジタル化による利便性はユーザー側にもメリットがあります。例えば、外国人観光客の場合、チャットボットやアプリを通して多言語での案内が受けられ、困り事などに24時間対応できることにより、顧客満足度アップにつながります。
観光地においても、利用状況などをデータ化することで、混雑を未然に防ぐ対応をとることもできます。
さらに、バーチャルツアーやライブコマースなどのオンラインコンテンツを活用することによって、観光地の魅力をより深く伝えることができ、ユーザーの「行きたい!」という気持ちを高める効果も期待できます。
例えば、紅葉の名所で有名な長野県箕輪町は、VR技術を使った臨場感溢れる動画と静止画のコンテンツを公開しています。紅葉のスケール感やダムの雄大さの臨場感を、現地に行ったとしても見られない視点で、VRを活用することで伝えています。

画像出典:360°VRで巡る 長野県箕輪町
ノベルティ用のVRゴーグルには紅葉のイラストがデザインされ、自宅に帰った後も旅先での思い出を振り返ることができるお土産として配布しています。
このような取り組みは「新しい観光資源の創出」として地方創生の施策としても期待ができます。
日本の随所には、日本の文化や自然を感じられる場所が数多くあります。オンライン上で多言語対応で体験することができるVR空間を作ることで、インバウンド施策としても活用でき、大きなメリットとなります。
デメリット
デメリットとしては、導入ハードルが高いという点が挙げられます。
DX化に向けて、専用ツールを検討する方が多いかと思いますが、少なからずDXやITに関しての知識が必要となります。そういった人材がいない場合は、ハードルが高いなと感じてしまうかもしれません。
DXを進めていく中で、悩むことや不安要素があれば、検討を考えているデジタル技術を提供しているベンダーに相談することをおすすめします。
観光DXにおすすめのツール
ここでは、観光DXにおすすめのツールを4つご紹介します。
おもてなしアバター
![]()
画像出典:おもてなしアバター
おもてなしアバターは、AIを搭載したアバターが多言語で観光案内や接客を行う、観光DX向けのソリューションです。
ホテルのフロントや観光案内所にサイネージとして設置でき、英語・中国語・韓国語をはじめとする複数言語で、旅行者の質問に笑顔と自然な会話で対応します。従来のテキスト型チャットボットとは異なり、アバターの表情や声のトーンを通じて日本ならではの「おもてなし」を体現できるのが最大の特徴です。
24時間365日稼働するため、深夜のチェックイン対応や早朝の観光案内など、人員確保が難しい時間帯でも安定したサービス品質を維持できます。実際の導入事例として、小田急電鉄が運営する訪日外国人旅行者向け観光情報サイト「HAKONE TRIP」では、おもてなしアバターを活用し、旅行者の希望条件に基づいたAIによる観光プラン提案を通じて、宿泊予約のCVR(コンバージョン率)向上に取り組んでいます。
観光業界が抱える人手不足の解消と多言語対応の強化を同時に実現できるツールとして、観光施設・宿泊施設・自治体の観光DX推進に活用が広がっています。
ObotCRAFT(オーボットクラフト)

画像出典:ObotCRAFT
ObotCRAFTは、AIエージェントがSEO記事制作を一気通貫で自動化する多言語対応プラットフォームです。
キーワードを入力するだけで、「キーワード調査」「競合サイト分析」「構成案作成」「本文生成」「画像生成」「Webアップロード」の6つの工程をAIが自動実行し、最短数分で記事を完成させることができます。各工程は個別に編集も可能なため、AIの効率性と人の目によるチェックを両立した柔軟な運用ができます。
観光DXの文脈では、観光地のプロモーションやインバウンド向けの情報発信が不可欠ですが、「記事を書くノウハウや人手がない」「多言語コンテンツの翻訳コストが高い」といった課題を抱える自治体やDMO、観光事業者は少なくありません。ObotCRAFTは日本語・英語・中国語(繁体字)・タイ語の4言語に対応しているため、翻訳費用をかけずに多言語での観光コンテンツを制作でき、インバウンド対策のコストを大幅に削減できます。
SEOに最適化された構成で検索上位を狙えるため、観光地の魅力を「伝える力」をデジタルで底上げしたい方に最適なツールです。
Locatone(ロケトーン)

画像出典:Locatone
Locatoneは、音を利用した新しい観光体験の提供ができるサービスです。
ソニー開発の「Sound AR」を活用し、音を聴きながら観光地などをめぐることで、観光地の魅力を最大限に引き出しながら、新しいエンターテイメント体験ができます。
高額な設備投資は不要で、ユーザーのスマートフォンとヘッドホンを利用し、訪れた場所のテーマに合わせた音声ツアーを届けることができます。
ユーザーアナリティクス(分析)機能も搭載しているので、情報を可視化することで観光地経営改善につながるヒントを得ることができます。
口コミコム

画像出典:口コミコム
口コミコムは、Googleマップをはじめとした地図アプリ・口コミサイトの店舗情報を整理し、一括で更新できるサービスです。
AIが口コミを解析し、課題の見える化をサポートして、顧客体験向上につなげる業務改善を促してくれます。
Web上には、様々な口コミサイトが存在するので、1つ1つを管理するのは大変ですが、こちらのツールを使うことで、管理者の業務効率を上げ、顧客の声をしっかりと拾い「がっかり体験」を減らしてブランド力アップにつなげることができます。
まとめ
本記事では、観光DXの概要から日本の動向、そして全国各地の取り組み事例、おすすめツールまでご紹介しました。
コロナ禍を契機にオンラインツアーやバーチャル体験といった新しい観光の形が生まれ、アフターコロナ以降はその流れがさらに加速しています。2025年度には、観光庁の「観光DX推進による地域活性化モデル実証事業」に25件もの事業が採択されるなど、国を挙げた取り組みは本格的なフェーズに入りました。
特に近年の大きな変化として、生成AIの活用が観光DXの中心的なテーマになっている点が挙げられます。本記事でご紹介した事例のように、AIエージェントによるデータ分析の自動化(熱海市)、生成AIを活用したペルソナ作成や多言語コンテンツの自動生成(ひがし北海道)、AIコンシェルジュによるパーソナライズ観光案内(広島市)など、従来は多くの人手とコストを要した業務をAIが担うことで、人手不足の解消と観光サービスの質の向上を同時に実現する取り組みが全国で広がっています。
一方で、観光DXの推進にはDX人材の確保や事業者間の連携、導入コストといった課題も残っています。観光庁の補助金制度をはじめ、各種支援策を活用しながら、まずは小さな取り組みから始めることが成功への第一歩です。
本記事でご紹介した「おもてなしアバター」のようなAIアバターによる多言語接客ツールや、「ObotCRAFT」のようなAIによる多言語コンテンツ制作プラットフォームなど、導入しやすいツールから段階的にDX化を進めていくことで、観光地としての競争力を高め、持続可能な観光経営の実現に近づくことができるでしょう。
観光DXは、単なるデジタル化ではなく、地域の魅力を最大限に引き出し、旅行者に「また訪れたい」と思ってもらえる観光地づくりのための戦略です。本記事が、観光DXへの取り組みを検討されている皆さまの参考になれば幸いです。
