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2025年2月9日

LLM(大規模言語モデル)とは?


LLMは、従来の自然言語モデルよりも「計算量」「データ量」「パラメータ数」の3点を大幅に拡大して構築されています。

  • 計算量:モデルが処理するために必要な演算量が増え、より複雑なパターンや文脈を学習できます。
  • データ量:インターネット上のウェブページ、書籍、ニュース記事、会話ログなど、膨大なテキストデータが学習に使用されます。
  • パラメータ数:数十億~兆単位のパラメータを持つことで、より精密な言語理解や生成が可能になります。

これにより、LLMは人間に近い自然な文章生成や高精度な自然言語処理タスク(翻訳、要約、質問応答、感情分析など)を実現できるようになっています。2024年からOpenAI社のChatGPTだけではなく, Googleの GeminiやClaudeなどさまざまなAIモデルがリリースされています。

LLM(大規模言語モデル)の仕組み

学習とトレーニング

LLMは、主に以下の二段階で構築されます。

  • 事前学習(Pre-Training)
    膨大なテキストデータに対して自己教師あり学習を行い、次に来る単語を予測するタスクを通じて言語のパターンや文脈を学習します。たとえば、Transformerを用いて各単語をトークン化し、Attention機構により各トークン間の関連性を学習することで、文脈全体の意味を捉えます。
  • 微調整(Fine-Tuning)
    事前学習したモデルを特定のタスク(翻訳、要約、対話など)に適応させるため、追加のデータセットで再学習(ファインチューニング)を行います。これにより、より専門的な応答やタスク遂行能力が向上します。

3.2 TransformerとAttention機構

LLMのほとんどはTransformerアーキテクチャに基づいています。Transformerは、自己注意(Self-Attention)機構を用いることで、文章内の全単語間の関連性を同時に計算し、文脈理解を大幅に向上させます。これにより、単語の並び順だけでなく、文全体の意味やニュアンスを効果的に捉えることができるようになっています

   

LLM(大規模言語モデル)の歴史

LLMは、2017年に発表された「Transformer」と呼ばれるディープラーニングモデルがきっかけとなって構築されました。 Transformerの登場とマシンパワーの向上により、より多くのデータをモデルに学習させられるようになったことで、LLMが誕生したと言えるでしょう。 LLMは、テキストデータからだけでなく、画像や音声データなど学習したものも登場しており、今後はさらにさまざまな用途への活用が期待されています。

LLM(大規模言語モデル)の代表的なモデルと活用方法

代表的なモデル

  • GPTシリーズ(OpenAI):GPT-3(2020年)、GPT-4(2023年)、GPT-4o(2024年)など。これらは自然言語生成や対話に特化しており、特にChatGPTは広く利用されています。
  • BERT(Google):2018年に発表されたモデルで、文脈理解に優れています。
  • PaLM(Google):高性能な言語モデルで、翻訳やコーディングなど多岐にわたる用途に対応。
  • LLaMA(Meta):オープンソースで提供され、効率的な設計が特徴。
  • Claude(Anthropic):対話やコンテンツ生成に特化したモデル。

活用方法

LLMは、以下のような幅広い分野で活用されています:

  • コンテンツ生成:記事、ブログ、マーケティング資料、詩や物語の作成。
  • 翻訳:多言語間のテキスト翻訳。
  • チャットボット:顧客サポートや教育分野での対話型AI。
  • データ分析:膨大なデータからの洞察抽出。
  • 医療:タンパク質構造の解析や新薬開発支援。
  • コード生成:プログラミング支援やソフトウェア開発。

 

まとめ

大規模言語モデル(LLM)は、自然言語処理の分野で急速に進化を遂げており、今後の展望として以下の点が注目されています。

1. マルチモーダルAIとの融合

LLMは、テキスト情報だけでなく、画像や音声など他のデータ形式とも統合されることで、より包括的な理解と生成が可能になると期待されています。これにより、視覚や聴覚情報を含む複雑なタスクへの対応が進むでしょう。

2. 特定分野に特化したLLMの発展

医療や法律など、専門的な知識が求められる分野に特化したLLMの開発が進むと予想されます。これにより、専門家の支援や高度な情報提供がより精度高く行えるようになるでしょう。

3. エッジデバイスでのLLM活用

従来は高い計算能力を必要としたLLMが、技術の進歩によりエッジデバイス上でも動作可能となり、リアルタイムでの情報処理や個人データのプライバシー保護が強化されると期待されています。

4. 人間とAIの協調モデルの進化

LLMは、人間の意思決定や創造的活動を支援するパートナーとしての役割を強化し、AIと人間が協力して問題解決や新しい価値創造を行うモデルが普及すると考えられます。

5. 倫理的・社会的課題への対応

LLMの普及に伴い、バイアスの排除や情報の信頼性確保、プライバシー保護などの倫理的・社会的課題への対応が求められています。これらの課題に対する取り組みが進むことで、LLMの安全で公平な活用が促進されるでしょう。

LLMは今後ますます多様な分野での応用が期待され、その影響力は一層拡大していくと考えられます。

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