2021年8月17日

LGBTに対する日本の取り組み事例を解説!~企業・学校・自治体ごとにご紹介~


近年、多種多様な人がそれぞれの価値観を尊重し共存共栄することに関心が向いており、日本でのLGBTに対する認知度や理解も高まっており、当事者にとって明るい兆しが見えてきているのではないでしょうか。

しかし、世界から見ると日本は遅れをとっているのが現状で、どういった所で、どのような取り組みが行われているのかの認知度は低いと思われます。

ここからは、日本でのLGBTに対する企業や学校での取り組み事例を解説していきます。

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LGBTに対する企業の取り組み事例

年々、LGBTに対しての社会的な理解が深まってきているとともに、LBGTに対しての取り組みを進めている企業も増えてきています。

その背景には、2020年6月に施行された「パワハラ防止対策関連法(労働施策総合推進法)」があり、ハラスメント(SOGIハラ)対策の一環として行っている企業も多いようです。

人はそれぞれ持っている個性・思考・価値観は違うものですし、お互いを理解し認め合うことは大切なことです。多様な人材を活かし、個々の能力が最大限に発揮できる場があれば企業も働く人にとっても良い環境になります。

ここからは、LGBTに対して取り組みを行っている企業をご紹介します。

スターバックスコーヒージャパン株式会社

2017年1月4日より同性パートナーシップ制度が導入されました。
導入のきっかけは、社員の「同性パートナーを家族として登録してください」というメモがきっかけだそうです。

元々、多様性を尊重している企業でLGBT当事者も多く活躍していたこともあり、よりLGBT当事者が働きやすい環境へという思いが込められています。

また、制度を導入するだけではなく、LGBTに対する正しい知識と理解を深めるための社内研修も実施されています。

株式会社資生堂

性別適合手術をした方へのメーキャップを中心としたアドバイスや店頭でのLGBT当事者のお客様への接客など、以前からLGBTに対する取り組みを行っていましたが、2014年に「知る・触れる・受容する」という理念を社内発信し、本格的な取り組みをはじめています。

「知る」・「触れる」では、社内でLGBTへの正しい理解・知識共有・マーケティングなどを考えるセッションを開始したり、2015年にTOKYO RAINBOW PRIDEへの出展をし、メーキャップアドバイスとサンプリング活動をおこなっています。

「受容する」では、2017年に配偶者を「同性パートナーを含む」として、同性婚婚認定の規定改訂をおこなっています。

株式会社ダイヤモンド社

LGBTの認知度が高まっている中、それをブームで終わらせないように、「Oriijin」という雑誌を2017年3月に出版しました。

LGBT当事者・NPO関係・非当事者など多くの方へ話を聞いて制作されたもので、「ココロ」と「多様性」を軸に、こだわりの詰まった情報が掲載されています。

また、LGBTへの関心が低い人など、多くの人に手に取ってもらえるように、アーティストやタレントの方々にも登場していただき、特別ではなく自然な流れで知識を広げ理解をする手助けをしています。

LGBTに対する学校の取り組み事例

LGBTへの認知度が高くなる一方で、学校では、いじめや偏見に悩んでいる生徒も少なからずいます。

また、自分はLGBTなのかもしれないと自認するタイミングは思春期が多く、学校教育での支援や対応は不可欠なものとなります。

ここからは、学校教育でどのようにLGBTについて取り組んでいるのかを解説していきます。

チームで行うサポート対応と医療機関との連携

日本政府は、教育を含んだLGBTへの対応として多くの取り組みを行っています。その1つに、2015年には「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」という発出にて、性同一性障害に悩める児童生徒に対して特有の支援をスタートさせました。

それを元に、学校教育の場では、学校生活での支援・相談所の設置・医療機関との連携といった対応が行われています。

学校生活での支援について

LGBT当事者から相談を受けた者だけではなく、組織的に取り組むことが大切という観点から学校内外にサポートチーム・支援委員会を作り対応を進めています。

相談をしたものの、可能な限り知られたくないという児童生徒も多いが、教職員間での情報共有はチームで動とく上で大切な為、児童生徒と保護者には情報共有する意図を説明し理解を得て対応をしています。

また、以下のような取り組み事例もあります。

画像出典:児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について(文部科学省)

相談所の設置について

性同一性障害で悩んでいる多くの児童の中には、誰にも相談できずに抱え込んでいる割合が多いのが現状です。

そんな児童が少しでも相談できやすい環境へという観点から、スクールカウンセラーを導入する学校も増えています。

医療機関との連携について

本人の希望がある際のみ受診する事が可能となり、医療機関による助言や専門的知見を得ることができます。これにより、学校側としても個々に沿った適切な支援ができるようにと取り組まれています。

LGBTに対する自治体の取り組み事例

近年、日本ではLGBTカップルを認める「パートナーシップ制度」を導入する自治体が増えており、2021年7月には111自治体に達しました。

画像出典:自治体にパートナーシップ制度を求める会

ここからは、東京都・大阪府・京都府の3つをピックアップしてご紹介します。

東京都

東京都では、渋谷区や世田谷区をはじめとした12の区や市で同性パートナーシップ証明制度を導入していますが、2021年6月2日の都議会本会議で、小池都知事が東京都としての制度導入の検討を進めると表明されました。

また、2021年5月19日に、同性パートナーシップ証明制度を導入している12市区(※)が情報交換や利便性向上を図る為、「東京都パートナーシップ制度導入自治体ネットワーク」を結成しました。

自治体間でのネットワークを活用し、情報交換や制度をもっと活用してもらえるように都や民間に対し働きかけをおこなっています。

※ 渋谷区・世田谷区・中野区・江戸川区・豊島区・港区・文京区・足立区・府中市・小金井市・国分寺市・国立市

参考:都内の同性パートナーシップ証明制度導入自治体が連携、都営住宅入居などを都に要請へ(PRIDE JAPAN)

大阪府

大阪市・堺市などで同性パートナーシップ制度の導入がされていましたが、2020年1月22日に大阪府として同性パートナーシップ証明制度導入を始めました。都道府県としては茨城県に続いて2例目となっております。

大阪府パートナーシップ宣誓証明制度の対象となるのは、府内に住んでいる・移り住む予定のある「一方または双方が性的マイノリティーである成人のカップル」となっています。
参考:「大阪府パートナーシップ宣誓証明制度」について(大阪府)

京都府

京都府では、京都市・長岡京市・亀岡市の3自治体にて同性パートナーシップ証明制度が導入されていますが、亀岡市では本年度より創設した新婚世帯向けに引っ越し代・家賃・住居購入などを補助する制度に同性婚カップルなどへの適用の検討を進めています。

また、こちらの3自治体では、2021年8月より「パートナーシップ宣誓制度に係る都市間連携に関する協定」を締結ており、3市間内で転入・転出がある場合は簡単な手続きのみで転出先の市から宣誓書受領証などを発行できるようになりました。
参考:【広報資料】京都市,亀岡市及び長岡京市の連携による「パートナーシップ宣誓制度に係る都市間連携に関する協定」の締結式の開催について(京都市)

まとめ

日本は先進国の中でもLGBTに対する教育・知識・理解がまだまだ遅れています。多種多様化が進んでいる社会の中で、異なる考えを持つ人に対しての理解と受け入れは重要です。

そして、特別なことではなく日常的なこととしてできる世の中であるべきだと思います。企業・学校・自治体などが少しずつでもLGBTへの知識と理解を深める取り組みをすれば、大きな輪となりさらに広がっていくと思います。

弊社でも、LGBTへの取り組みとして、自治体向けにパートナーシップ制度サポートチャットボットを提供しています。

また、自治体ごとに異なる日本のパートナーシップ制度を解説!相談窓口についてもご紹介というコラムも書いていますので、そちらも参考にしてみてください。
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