屋根の葺き替え工事とは?費用や屋根材の種類・リフォーム時期などについてご紹介!

屋根の葺き替え工事は、不具合が起きない限り、耐久性について意識することが少ないので、部分補修に対する適切なタイミングがわかりにくいです。
ここでは、屋根の葺き替え工事に関する「メリット」や「デメリット」・費用相場・屋根材の種類・屋根の葺き替え時期について、ご紹介していきます。


屋根の葺き替え工事とは?

屋根の葺き替え(ふきかえ)工事とは、今ある古い屋根を剥がして、新しい屋根材に取り替えることです。
工事は、屋根材だけでなく、下地を張り替える作業も含まれていることが一般的なので、屋根だけでなく、建物全体の寿命も長くなります。
特に、重ね葺き(カバー工法)は、今ある屋根の上に、新しい屋根材を被せるため、葺き替えより費用が安く、工期が短いので検討される方も多いです。
しかし、重ね葺き(カバー工法)は、屋根の重量が2倍になることで、建物への負担が増えたり、老朽化への改善にはならないため、後々行うメンテナンス費用が高くなります。
屋根を葺き替え工事するメリット

屋根の葺き替え工事は、屋根材のみならず、下地から張り替える(全て交換)ため、家の寿命が長くなったり、雨漏りの防止・耐久性の向上などに繋がります。
ここでは、屋根の葺き替え工事を検討する際、特に知っておきたい「4つのメリット」をご紹介していきます。
屋根の寿命が長くなる
屋根の状態は、どのくらい劣化しているのかは、外見から判断しにくいので、実際に屋根材を剥がして、内部を見る必要があります。
屋根の葺き替え工事は、今ある屋根材を取り外して、下地(垂木・野地板・防水紙)から張り替えるため、新品のような状態に生まれ変わります。
そのため、葺き替え後の屋根は、雨や風から建物を守る機能が向上するので、家自体の寿命を伸ばすことにも繋がります。
例えば、屋根材の寿命は、素材によって異なりますが、よく使われる「スレート屋根(薄い板状)」の耐用年数は約20~30年で、次によく使われている「和瓦(粘土で焼き上げた瓦)」は、50年〜100年と言われています。
屋根の見た目が綺麗になる
葺き替え工事は、新しい屋根材に張り替えるため、今と違う色やタイプに変更できるので、見た目が綺麗になるだけではなく、家全体の印象も変わります。
例えば、スレート屋根は、デザインやカラーのバリエーションが多いので、見た目に変化をつけやすいですが、素材によって耐用年数などが異なるため、工務店と相談しながら決めた方が安心です。


雨漏りを防ぐ
雨漏りの原因は、場所によって様々ですが、天井からの場合には、屋根材や下地の劣化・破損・施工不良が原因になっている可能性が高いです。
葺き替え工事は、今ある屋根を剥がした後、下地の劣化状況を確認するので、雨漏りの原因になっているのかを判断することができます。
屋根の下地には、主に「野地板(のじいた)」と「防水紙」が使われており、野地板が腐っていたり、防水紙が破れていたりすると、雨漏りに繋がります。
そのため、天井からの雨漏りは、屋根材を剥がして、下地の劣化に応じて、新しいものに張り替えると、雨風を防げる機能を蘇らせる可能性があります。
耐久性の向上
葺き替え工事は、新しい屋根に張り替えるため、強度が増し、軽い屋根材にした場合には、耐久性の向上に繋がります。
例えば、重い屋根材にした場合は、地震が起きた際、重心が高くなってしまうので、揺れが大きくなりやすい傾向があります。
一方で、軽い屋根材は、地震が起きた際に、重心が低いため、揺れが小さくなる傾向にあります。
日本の一般家屋では、瓦屋根を使っている割合が多く、耐久性が高い反面、重量が大きいので、建物に負荷がかかってしまう恐れがあります。
そこで、瓦屋根の家は、軽い屋根材の「スレート屋根」や「金属系の屋根」などに変更すると、建物への負荷が軽減できます。
屋根を葺き替え工事するデメリット

葺き替え工事は、今ある屋根材の撤去や、下地の修復を行うため、費用がかかったり、工事期間が長いなど、様々なデメリットがあります。
ここでは、屋根の葺き替え工事を検討する際、事前に知っておきたい「デメリット」を3つご紹介していきます。
費用が高い
屋根のリフォームは、重ね葺き(カバー工法)よりも、葺き替えの方が、費用面で高くなる傾向があります。
なぜなら、重ね葺き(カバー工法)は、今ある屋根材を剥がさずに、上から被せる施工方法なので、撤去費用などがかかりません。
対して、葺き替え工事は、今ある屋根の撤去から、下地の補修工事まで行うため、重ね葺き(カバー工法)よりも、費用面で高くなる傾向にあります。
費用相場は、一軒家の場合だと、重ね葺き(カバー工法)に関しては、おおよそ80~110万円、葺き替えについては、70~260万円と幅が広いです。
加えて、2005年以前のスレート屋根材は、アスベスト(石綿)が含まれている可能性もあるため、処理費用が別途かかってしまう可能性があります。
工事期間が長い
葺き替えは、重ね葺き(カバー工法)と違って、今ある屋根の撤去から下地調整などが発生するため、工事期間が長くなる傾向にあります。
作業工程は、足場の組み立てから、今ある屋根の解体・撤去・野地板(のじいた)の設置・新しい屋根材を張るなど多岐に渡り、6~15日程度の工期となります。
そのため、葺き替え工事を行う際は、工期が長いだけでなく、足場が設置されたり、騒音に悩まされるなど、日常生活に影響を及ぼしてしまうことがあります。
工事中の雨
葺き替え工事期間は、内部が剥き出しになるため、雨が降ってしまった場合、躯体(くたい)や下地が濡れてしまう可能性があります。
葺き替え工事には、いくつかの工程がありますが、雨水の侵入を防ぐ役割を果たす「ルーフィング材(下葺き材)」という、防水シートを張り終える前に雨が降ってしまうと、雨漏りのリスクが発生してしまいます。
そのため、屋根の葺き替え工事は、天候なども考慮して、施工会社の人と事前に相談してから、工事の日程を決める必要があります。
葺き替え工事を行う際は、雨が降らない時期を選ばれますが、万が一の場合には作業を中止して、劣化やカビに繋がらないようにします。

葺き替え工事する際の屋根材の種類

屋根材は、種類によって金額や耐用年数などが異なるため、どんなタイプを使うのか慎重に考える必要があります。
屋根材は、大きく分けて4種類あり「粘土系」「スレート系」「セメント系」「金属系」と、素材によって金額や耐用年数などが異なります。
ここでは、屋根の葺き替え工事に使われる屋根材の中でも「粘土系」・「ストレート系」・「セメント系」・「金属系」について、詳しくご紹介していきます。
粘土系
一般的に、粘土系の屋根材は、伝統的な日本建築として愛されてきたもので、瓦屋根を指します。
粘土系の種類は、大きく3つに分けられ「釉薬瓦(ゆうやくがわら)/陶器瓦」「無釉瓦(むゆうやくかわら)/素焼き瓦」「いぶし瓦/日本瓦」があります。
粘土系の屋根材は、不燃性なので、耐火性に優れているといわれますが、重量があるため、耐震性に懸念が残ります。
釉薬瓦(陶器瓦)
釉薬瓦(陶器瓦)とは、粘土で作られた瓦屋根の1つで、釉薬(ゆうやく)を表面に塗り、コーティングした瓦のことです。
特に、釉薬瓦(陶器瓦)は、様々な色を施すことができるため、カラーバリエーションが豊富で、商品によっては、10種類以上のカラーから選べる場合もあります。
形状は、一般的な和瓦以外に、F形(平形)やS形(洋風瓦)などがあり、和風住宅のみならず、洋風住宅でも検討されるケースがあります。
瓦の表面には、釉薬を施すことによって、ガラス質となり、防水性が高まるので、耐久性の維持に繋がります。
加えて、釉薬瓦(陶器瓦)は、色褪せにくく、耐汚染性にも優れているため、メンテナンスの手間がかからないとも言われています。

無釉瓦(素焼き瓦)
無釉瓦(素焼き瓦)は、釉薬を塗らずに、素焼きのままなので、自然な色合いの朱色が特徴的な瓦です。
最近では、無釉瓦(素焼き瓦)の中でも、色合いなどから、汚れが目立ちにくい「窯変瓦(ようへんがわら)」を検討される方が増えています。
窯変瓦は、焼く工程で、色調が変化するといわれていて、仕上がりの予測が困難でありますが、色のムラと濃淡のある赤褐色が魅力の瓦です。
加えて、窯変瓦には、2度焼きの「素焼き」と「還元焼成(酸素が足りない状態で焼成する手法)」があり、手間がかかるため、価格はやや高くなる傾向です。
無釉瓦(素焼き瓦)は、S形(洋風瓦)の商品が多く、洋風の建物に活用されることが増えています。
いぶし瓦(日本瓦)
いぶし瓦(日本瓦)は、釉薬(表面にコーティング材)を塗らず、焼成した後に「燻化(くんか)」という蒸し焼き作業を行います。
いぶし瓦(日本瓦)の特徴は、陽光が当たると、白に近い薄グレーになる「いぶし銀」と呼ばれる色合いの瓦で、多くの人がイメージする瓦屋根です。
瓦は、年月が経過すると、色ムラが生じ、表面の銀箔がはがれ、黒ずんできてしまいますが、味わい深い屋根に変化すると言われています。
形状は、和瓦・S形(洋風瓦)・本瓦など様々ありますが、最近では、F形(平形)も人気があります。
純和風の建物にしたい場合は、屋根材をいぶし瓦にすると、日本の伝統的な風合いが生まれます。
スレート系
スレート系は、日本で建てられている一軒家の約7割で使われており、一般的に普及している屋根材と言われています。
スレート系の屋根材は、大きく分けて3つ(「天然スレート」・「化粧スレート」・「波形スレート」)あります。
天然スレート
天然スレートとは、粘板岩(ねんばんがん)や、頁岩(けつがん)などの天然石を原料とした屋根材です。
天然スレートは、天然石を使用しているため、とても高級な屋根材で、塗装をしないので、ナチュラルな風合い且つ、黒く重厚感のある見た目が特徴です。
イメージとしては、東京駅やドイツの教会、古い洋館の屋根に使われていて、威風堂々とした外観が印象的になっています。
天然スレートは、防火性や防水性・耐久性に優れていますが、天然石が原料であるため価格が高く、重量があることから、他の屋根材に比べると、耐震性の低さがデメリットです。
また、天然スレートを扱うには、高度な技術も必要になるため、対応できる施工業者が少なく、化粧スレート(人工スレート)の方が、主流となっています。

化粧スレート(人工スレート)
化粧スレートは、セメントに繊維素材を混ぜて、強化した薄いボード状の素材となっており、大きく分けて3つの屋根材があります。
- 平板スレート
- 厚型スレート
- 波型スレート
化粧スレートのメリットは、天然スレートとは違って、軽量なので扱える施工業者が多く、工事費用が比較的安い傾向である点だと言われています。
デメリットとしては、瓦とは違って、経年劣化しやすい傾向であるため、定期的に塗装する必要があったり、耐久性や防水性が低いと言われている点です。
特に、平板スレートは、厚さが約5mmで軽量なため、耐震性(重心が低いので揺れが小さくなる傾向)が期待できるので、戸建て住宅に使用されることが多いです。
さらに、平板スレートには、カラーやデザインなどのバリエーションが豊富なので、選択肢の幅が他よりも広いのがメリットです。
セメント系
セメント系の屋根材には、セメントと砂を原料として使用しており、2つの種類「プレスセメント瓦(厚形スレート瓦)」と「コンクリート瓦(モニエル瓦)」に分けられます。
プレスセメント瓦(厚形スレート瓦)
プレスセメント瓦(厚形スレート瓦)は、セメントと細骨材砂を混ぜ合わせ、高圧プレスで成形した後に、高耐久性塗料で着色した瓦です。
プレスセメント瓦の特徴は、燃えづらいため、耐熱性が高く、耐久性や防音効果が期待できます。
さらに、プレスセメント瓦は、形状やカラーバリエーションが豊富且つ、寸法精度がとても優れている屋根材と言われているため、施工しやすいのもメリットです。
一方で、プレスセメント瓦は、水に弱いというデメリットもあるので、塗装で防水性をカバーする必要があります。
しかし、塗装は、経年劣化によって剥がれやすくなるので、苔やカビが生えてしまう可能性があります。
苔やカビは、劣化を進行させるため、そのままにしておくと、瓦が割れる原因になってしまう恐れがあります。
そのため、プレスセメント瓦は、劣化を防ぐために、定期的な塗装の塗り替えが必要だと言われています。
乾式コンクリート瓦(モニエル瓦)
乾式コンクリート瓦(モニエル瓦)は、ヨーロッパ発祥のセメント瓦で、セメントと砂を主原料としており、プレスセメント瓦よりも、セメントの含有率が少ない屋根材です。
乾式コンクリート瓦は、瓦の表面に施す処理が特殊で、着色剤「着色スラリー」を約1mmの厚さに塗って、その上に「アクリル樹脂系のクリアー塗料」を施します。
乾式コンクリート瓦のメリットは、防水性や断熱性が高いだけではなく、カラーバリエーションやデザインが豊富な点です。
一方で、乾式コンクリート瓦は、重量があるので重心が高く、地震の際には揺れが大きくなる傾向があるため、耐震性が低くなると言われています。
加えて、デメリットとしては、定期的な塗装のメンテナンスが必要であったり、着色スラリーを塗ることで、瓦の表面に「スラリー層」という着色層ができます。
乾式コンクリート瓦は、スラリー層が残っている状態で、再塗装してしまうと、上から塗装した塗料も、一緒に剥がれ落ちてしまう恐れがあります。
そのため、スラリー層は、瓦の劣化が進行し、再塗装しなければならなくなった場合、念入りに取り除かなければなりません。
したがって、乾式コンクリート瓦は、再塗装する際に細心の注意を払う必要があります。

金属系
金属系の屋根材は、大きく分けて6種類「ガルバリウム鋼板」・「自然石粒付ガルバリウム(ジンカリウム鋼板)」・「トタン」・「銅板」・「ステンレス」・「チタン」あります。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は、葺き替え工事において、金属系の中で、一番使用されるケースが多い屋根材です。
ガルバリウム鋼板は、アルミニウム(55%)、亜鉛(43.4%)、シリコン(1.6%)の成分でできています。
ガルバリウム鋼板は、重さが日本瓦の約1/6程度で軽く、耐火性にも優れているため、一般的な「トタン」と比較すると、約4倍の防錆性(ぼうさびせい)があると言われています。
さらに、ガルバリウム鋼板は、耐久性に優れており、メンテナンスをしなくても、30年程はもつと言われていますが、経年劣化によって退色してしまうため、再塗装は必須になります。
一方で、デメリットとしては、断熱性が低いため、夏場は熱くなる傾向があったり、他の屋根材よりも薄いため、防音性があまり期待できないと言われています。
加えて、ガルバリウム鋼板は、潮風に弱いので、塩害地域で使用する場合の耐久性は、約半分くらいの15年程度で、海沿いの建物に使用するので不向きな屋根材と言われています。
自然石粒付ガルバリウム(ジンカリウム鋼板)
自然石粒付ガルバリウム(ジンカリウム鋼板)は、紫外線で劣化しない細かな石粒(鉱物)を、表面にコーティングした屋根材です。
そのため、自然石粒付ガルバリウムは、亜鉛とシリコンの含有率が違うだけで「ガルバリウム鋼板」と原材料は一緒です。
特徴としては、細かな石粒のコーティングのおかげで、耐久性の向上に期待ができたり、潮風による錆びに対して、強くなる傾向があります。
さらに、自然石粒付ガルバリウムは、表面に石粒を吹き付けているので、再塗装が不要とも言われており、30年以上の耐久性が期待できます。
一方で、自然石粒付ガルバリウムは、海外製品が多く、日本で施工できる業者が少ないので、材料費や施工費用も高くなりがちであったり、断熱性が低いデメリットもあります。
トタン
トタンとは、鉄板を亜鉛メッキで覆った金属系の屋根材で、雨漏りしにくいというメリットがあります。
トタンは、軽量で施工しやすく価格も安いので、一昔前までは選ぶ人が多かったと言われています。
一方で、デメリットとしては、錆びが発生しやすく、経年劣化により穴が空くこともあり、約10年を目安に再塗装の検討が必要で、定期的なメンテナンスは欠かせないと言われています。
加えて、トタンは、断熱性が低いので、夏場は室温が上がりやすく、エアコンなどの光熱費が高くなりがちだったり、防音性も低いので、雨音がうるさく感じてしまう恐れがあります。
最近では、見た目が安っぽく見えてしまうということもあって、トタンを使った住宅は減少傾向にあります。

銅板
銅板でできた屋根材は、新築時には新品の10円玉みたいな色合いですが、年数が経過していくと、次第に青緑色に変化していく現象「緑青(ろくしょう)」が起こります。
緑青は、錆びに対する耐久性を高めてくれる効果が期待できるので、防錆びのためにも塗装の必要性はないと言われています。
銅板の耐用年数は、60年以上と言われており、見た目としても重厚感があるので、神社仏閣などの屋根材として使用されることが多いです。
一方で、デメリットとしては、和瓦やスレート系などの屋根材に比べて、価格が2~3倍程高いので、一般家庭では懸念されやすいです。
銅板の厚さは、0.3mmほどしかなく、非常に薄くてデリケートな屋根材なので、扱える職人が少ないことから、施工業者を探すのは困難とも言われています。
ステンレス
ステンレスは、鉄が主成分で、クロムやニッケルを含有した合金の屋根材で、錆びにくく、高い耐久性に期待ができます。
特に、ステンレスは、腐食に強いことから、塩害地域である海沿いの住宅にも適した屋根材と言われています。
加えて、ステンレスは、不燃材料なので耐火性にも期待できたり、耐用年数が50年以上とも言われています。
一方で、デメリットとしては、傷が付きやすいので、雹(ひょう)が降った場合、屋根材に傷が付く可能性があったり、防音性の低さから、雨音がうるさく感じてしまうかもしれません。
さらに、ステンレスは、施工に手間がかかるので、施工費用が高くなりがちで、材料費もガルバリウム鋼板の約2~3倍ほど、高くなる傾向があるため、普及率が低い屋根材です。
チタン
チタンの屋根材は、金属系の中でも耐久性が高く、錆びにくかったり軽いため、神社仏閣の屋根改修や、大規模な物件に使われることが多いです。
代表的な建築物は、江東区有明にある「東京ビッグサイト」や、台東区にある「浅草寺」で、チタンを屋根材として使用していると言われています。
一方で、チタンは、金属系の屋根材の中でも、材料費が高額であったり、生産しているメーカーも少ないため、一般的な戸建て住宅には、ほとんど使われていないと言われています。
屋根に葺き替え工事する時期

葺き替え時期は、屋根材の耐用年数や素材によっても異なるので、おおよそのタイミングがわかると言われています。
ここでは、屋根の葺き替え時期となる目安について、屋根材別にわかりやすくご紹介していきます。
瓦屋根
瓦屋根には、釉薬瓦 (陶器瓦)・無釉瓦 (素焼き瓦)・いぶし瓦 (日本瓦)・セメント瓦といった種類があり、どれも耐用性能が比較的高く、20~60年程持つと言われています。
中でも、セメント瓦の耐用年数は、20~40年程ですが、定期的に塗装が必要で、10~20年に一度は塗装工事をする必要があると言われています。
対して、和瓦と呼ばれる「釉薬瓦 (陶器瓦)」・「無釉瓦 (素焼き瓦)」・「いぶし瓦 (日本瓦)」は、原則として再塗装の必要がないと言われています。
したがって、葺き替え工事の目安は、セメント瓦よりも和瓦の方が、スパンが長くなる傾向にあり、素材によって時期は異なります。
和瓦の葺き替え工事の目安
- 釉薬瓦(陶器瓦)=約50~60年程度
- 無釉瓦 (素焼き瓦)=約40~50年程度
- いぶし瓦(日本瓦)=約30~60年程度
しかし、葺き替え時期は、目安であって、内部の下地(防水シート)による劣化状況で異なります。
そのため、考え方としては、瓦屋根であっても、20~30年に一度はメンテナンスを検討しておくと安心です。
スレート系屋根(カラーベスト/コロニアル)
スレート系屋根(カラーベスト/コロニアル)の耐用年数は、アスベストを含んでいるか否かで異なります。
耐用年数は、アスベストが含まれてると約20~25年、含まれていないと約10~35年と言われています。
しかし、アスベストは、健康被害の観点から、2004年から使用が禁止されており、葺き替え工事を行う際、別途「処理費用」が発生してしまう可能性があります。
そのため、葺き替え工事では、アスベストを含む屋根の場合、費用が高くなる傾向があります。
アスベストの処理は、有資格者である「アスベスト診断士」・「石綿作業主任者」・「建築物石綿含有建材調査者」がいる業者に依頼すると、適切な処理をしてくれるので安心です。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板の耐用年数は、約30~40年程度と言われていますが、錆びのメンテナンスを適切に行っていれば、約40年以上の耐久性が期待できます。
一方で、ガルバリウム鋼板は、錆びが発生し、そこから穴が空いてしまう傾向があるので、要注意です。
したがって、ガルバリウム鋼板は、錆が発生しないように、定期的なメンテナンスを行えば、長い耐久性の維持が期待できます。
10~20年に一度程度は、屋根の状態を業者に点検してもらい、下地に劣化が生じていれば、防水シートなどの交換をしてもらうとより安心です。

トタン
トタン屋根は、6~10年程で錆びが発生してしまうため、酷くなると穴が空いてしまいます。
そのため、トタン屋根は、5~10年の頻度で再塗装することを前提に、長くて20年程度の耐用年数と言われています。
このように、トタン屋根は、メンテナンスの手間や、耐用年数が短いことから、他の屋根材に葺き替えを検討する人が多くいます。
土葺き屋根
土葺き屋根とは、瓦の下に土を敷いて施工したもので、昭和初期(昭和20年より前)迄よく使われていました。
しかし、土葺き屋根は、1923年に発生した関東大震災で、屋根瓦の下敷きになって亡くなった方が多かったため、使用されなくなったと言われています。
一方で、過去に大きな地震がなかった地域では、今でも土葺き屋根の住宅がたくさん存在しています。
古い土葺き屋根は、経年劣化により、地震以外でも雨が降った際には、土が流れ出してしまう可能性もあり、放置すると雨漏りの被害を受ける可能性があります。
そのため、土葺き屋根の葺き替え時期は、耐震性や経年劣化を考慮して、なるべく早めに行なうのがおすすめです。
屋根の葺き替え工事の流れ

葺き替え工事の流れは、今ある屋根を撤去して、下地を増強する作業が必要なため、作業は大掛かりなものになります。
屋根の葺き替え工事の大まかな流れは、以下となります。
- アスベスト含有の事前報告
- 足場を組み立てる
- 今ある屋根の撤去作業
- 野地板増し張り(すでにある野地板の上に重ねて張る)
- ルーフィング(防水シート)張り
- 新しく屋根材を設置
- 屋根板金(棟板金)取り付け
- 足場の解体
アスベスト含有の事前報告については、工事前に自治体へ報告する義務があり、2023年10月から法律が厳しくなりました。
アスベスト有無の報告は、両罰規定なので、工事を依頼する側も、施工業者が事前報告をしっかりと行っているか、確認することが大切です。
葺き替え工事の平均日数は、スレートの場合が約7日、土葺き瓦屋根の場合には、約10日かかると言われています。(稼働する職人が2名の場合)
工事の時期は、雨が少ない12月や1月だと、施工中の雨漏りに対するリスクが少なくなるので、おすすめのタイミングです。

屋根に葺き替え工事する際の費用相場

葺き替え工事の費用相場は、新しく設置する屋根材によって大きく異なり、アスベストを含んでいるかによっても、価格が変動します。
ここでは、葺き替え工事の費用について、屋根材別・アスベスト処理費用・工事費用の内訳をご紹介します。
屋根材別工事費用の総額
工事費用は、屋根材によって大きく異なるので、事前にチェックしておくと、予算のイメージがしやすいです。
ここでは、一戸建ての葺き替え工事にかかる費用相場について、屋根材別にご紹介していきます。
【今ある屋根が粘土瓦の場合】
- 粘土瓦→粘土瓦:100~260万円
- 粘土瓦→スレート:70~200万円
- 粘土瓦→ガルバリウム鋼板:80〜210万円
【今ある屋根がスレートの場合】
- スレート→スレート:70〜200万円
- スレート→ガルバリウム鋼板:90〜200万円
【今ある屋根がセメント瓦の場合】
- セメント瓦→粘土瓦:100〜250万円
- セメント瓦→スレート:98〜260万円
- セメント瓦→ガルバリウム鋼板:80〜200万円
粘土瓦は、初期費用が高くなる傾向があるため、タイプによっては、260万程度かかる場合もあります。
アスベスト処理費
アスベスト(石綿)は、肺がんを引き起こす可能性があることが判明し、2006年に0.1%を含有するものに対して、使用が禁止されました。
アスベストを含んでいる可能性があるのは、2006年以前の「スレート」と「セメント瓦」で、粘土瓦などには含まれてる可能性が低いです。
アスベスト処理費用は、1平方メートルあたり20,000〜85,000円程度かかると言われています。
100万円を超える改修工事は、2022年4月から、アスベスト含有の有無について、自治体へ事前報告することが義務化されました。
それに伴い、2023年10月からは、有資格者(石綿作業主任者、アスベスト診断士、建築物石綿含有建材調査者)の調査が必要となっています。

工事費用の内訳
工事費用の内訳は、今ある屋根の撤去費用や、下地の補修費・防水シートなどにより変動しますが、概算については以下になります。
- 今ある屋根の撤去費:1,500~3,000円/㎡
- 新しい屋根材の設置費
【日本瓦/洋瓦】8,000〜15,000円/㎡
【スレート(カラーベスト・コロニアル)】5,000~8,000円/㎡
【ガルバリウム鋼板】6,500〜8,000円/㎡
- 下地補修費用:2,500~3,500円/㎡
- 防水シート費:500~1,500円/㎡
- 足場費用:900~1,500円/㎡
工事費用は、今ある屋根の状態をはじめに、下地の劣化状況や広さ・形状・その他の諸条件などによって変動します。
葺き替え工事を依頼する際は、見積もりを1社のみにせず、複数の業者に依頼することで、不適切な見積りを見極めやすくなります。
まとめ
屋根の葺き替え工事は、今ある屋根材を撤去してから、下地の補修・増強・新たな屋根に取り替えるため、費用が高額になりがちです。
注意点としては、本記事で紹介したように「アスベストが含まれている屋根材」の場合、別途で処理費用などがかかってしまうので、工事費がさらに高くなります。
屋根の葺き替え時期は、屋根材によっても耐用年数が異なるため、機能面・費用面を含め、自宅にどれが適しているか、施工業者と相談して決める必要があります。
ぜひ一度、リフォームに関する「AIシュミレーション」を活用して、屋根の葺き替えリフォーム診断をしてみませんか?
