壁の断熱リフォームにかかる費用は?断熱材の種類や工事方法についてもご紹介!

壁の断熱リフォームは、夏は涼しく、冬は暖かく過ごすことができるため、家の住み心地を向上させるには、とても有効的な手段です。
本記事では、壁の断熱リフォームに関する費用相場や、断熱材の種類と工事方法について、ご紹介していきます。


壁を断熱リフォームするメリット

壁の断熱リフォームは、外と中の熱(温度)移動を遮断するため、身体的な負担の軽減など、様々なメリットがあります。
ここからは、リフォームの中でも人気のある「壁の断熱」に関して、特に知っておきたい「3つのメリット」をご紹介していきます。
身体的な負担の軽減
断熱性の高い住宅は、部屋間の寒暖差が少ないため、移動に伴う血圧の乱高下を防ぎ、ヒートショック等のリスクを軽減させます。
さらに、住宅の断熱は、結露を防止できるため、有害なカビの発生を予防できたり、アレルギー疾患などのリスクが低くなるなど、身体的な負担を軽減します。
特に、高齢者は、寒暖差のある部屋への移動のみならず、脱着を伴う脱衣所やトイレでは、起立性低血圧になりやすく、致死率が高いため、冬場は危険な場所になります。
ヒートショックは、心臓や血管・脳に負担を与えてしまうことで起こり、温度差による血圧の急激な変化に耐えられず、高齢者だけでなく若者でも油断できません。
ヒートショックの症状は、人によって異なりますが、めまいや動悸をはじめ、倦怠感や頭痛・吐き気の症状が発生し、溺死や転倒に繋がる恐れがあります。
加えて、壁の断熱リフォームは、結露の発生も防止できるため、有害なカビの発生を防ぐ効果も期待できます。
特に、温度差が少ない家は、適切な換気機能が作動していれば、結露が発生しにくいため、カビを予防することができます。
カビは、吸い込むと、喘息やアトピーなどの、健康被害に遭う恐れがあるため、カビの発生を抑制させることが大切です。
劣化の防止
外壁の断熱リフォームは、結露を防止する効果があるため、カビを抑制し、建物の劣化を防ぐことができます。
特に、木造住宅の場合は、結露によって柱や土台などが腐食してしまう場合があるので、結露対策をしていないと、劣化の進行が早くなってしまいます。
結露の主な原因は、外と室内の寒暖差によるもので、暖かい空気が冷却されて「飽和水蒸気量」を超過すると、余った水蒸気が水に変化するからです。
そのため、冬は、室内の暖かい空気が冷たい外気に(窓)触れると、結露が発生しやすくなります。
外壁の断熱リフォームは、家全体を断熱材で覆うため、気密性が高くなり、結露の発生を防ぐことができます。
結露が発生しにくい家は、カビが生えにくくなるのと同時に、劣化防止にも繋がるので、窓周辺や水回りのカビを防ぐので、掃除の負担も軽減することができます。

光熱費の節約
断熱性の高い建物は、外気の温度に影響されにくいため、光熱費の節約にも繋がったり、室内の温度を適切に保てます。
一方で、断熱性の低い住宅は、気密性が低いため、暖かい空気と冷たい空気が外に漏れ出てしまいます。
空気は、外に漏れ出てしまうと、室内を効率よく適切な温度に保てないため、冷暖房の設定を強くしてしまい、結果として光熱費が高くなってしまいます。
対して、断熱性の高い住宅は、気密性が高いので、冬は外に暖かい空気が逃げにくくなり、夏は暑い空気が家に入らないようにすることができます。
気密性が高い住宅は、密閉されることによって、空気の流れを止めて、空気が外に漏れ出ないようにできるため、エアコンの効きも良くなり、光熱費の節約に繋がります。
したがって、断熱リフォームした住宅は、外の影響を受けにくくなり、冬は暖かく、夏は涼しい環境にすることができます。

壁の断熱リフォームをするデメリット

壁の断熱リフォームは、業者に依頼することになるため、高い施工費用がかかったり、敷地の面積に影響を受けたり、施工不良問題など様々なデメリットがあります。
ここからは、壁の断熱リフォームに関して、事前に把握しておきたい「3つのデメリット」をご紹介していきます。
施工費用が高い
壁の断熱リフォームは、一度、壁を壊してから中に断熱材を敷き詰めて、再度内装や外壁を仕上げるため、施工費用が高くなる傾向があります。
断熱リフォームは、自分でDIYするのは難しいため、リフォーム会社や工務店などの施工会社に工事を依頼することになります。
壁の断熱リフォームの流れは、壁を一度解体してから、断熱材を詰め込み、再び内装を整えなければならないので、工事の規模が大きくなります。
そのため、施工費用は、「壁の解体費用」「内装施工費用」なども別途かかってきてしまい、価格が高くなりがちです。
壁の断熱リフォームは、一戸建て住宅の壁全体をすべて断熱リフォームした場合、施工方法等によっても異なりますが、約300~500万円以上の費用がかかることもあります。
戸建てに関しては、足場の費用なども別途必要になることもあるので、さらに工事費用が高くなる傾向があります。
敷地面積への影響
壁の断熱リフォームには、「外張り断熱」と「内張り断熱」の2種類があり、外張り断熱の場合、施工方法が理由で、敷地面積に影響を及ぼしてしまいます。
外張り断熱は、建物の全体を断熱材で覆うように張りつける施工方法のため、外壁に厚みが増してしまい、敷地面積が狭くなってしまいます。
したがって、外壁が厚くなってしまい、敷地の面積に影響を及ぼすので、余裕のない敷地になってしまう恐れがあり、場合によっては外張り断熱ができないこともあります。
内張り断熱の場合は、断熱材を柱や梁の間に敷き詰めていく施工方法なので、外壁が厚くなることはありません。
したがって、敷地面積が狭い住宅は、外壁が厚くなってしまう外張り断熱よりも内張り断熱の方が向いています。

施工不良
壁の断熱のリフォームは、高度な技術と豊かな経験が必要な施工のため、技術と経験が不足している業者に依頼してしまうと、施工不良になってしまう恐れがあります。
壁の断熱リフォーム後に、断熱効果がリフォーム前と比較してあまり感じられない場合は、施工不良が原因である可能性が考えられます。
壁の断熱リフォームの施工不良例は、「壁内に結露が発生し、カビやダニが発生する」「建物の劣化が進む」「冷暖房の効きが悪い」などがあります。
壁の断熱リフォームは、断熱効果が実感できなければ、せっかくお金を出して施工してもらっても意味がありません。
断熱材の施工は、柱や梁などの構造材に、隙間なく断熱材を敷き詰めるのが基本で、技術と経験が必要な作業です。
しかし、断熱リフォームは、技術や知識が不足している人が施工を行うと、断熱材と構造材の間に隙間ができ、外気が侵入してしまい、断熱効果が十分に得られないこともあります。
施工会社を選ぶ際は、安さだけを重視してしまうと、技術と経験、知識が不足している業者を選んでしまう恐れがあります。
依頼する業者は、高度な技術や知識を持っているかなどをしっかりと見極め、複数の業者に見積もり依頼をするなどの対策が必要です。
壁のリフォームに必要な断熱材の種類

断熱材には、様々な種類があり「繊維系」「天然素材系」「発泡プラスチック系」と大きく分けて3つあり、種類によって価格や特徴が異なります。
ここでは、断熱リフォームに使われる断熱材の種類や特徴などを細かくご紹介していきます。
繊維系
繊維系断熱材は、大きく分けて、「無機系」と「木質繊維系」の2種類があります。
ここでは、「無機系」と「木質繊維系」について、原材料や特徴についてご紹介していきます。
無機系
「グラスウール」は、ガラスを溶かし、遠心力などで繊維状に加工したもので、価格も手頃なので、幅広く使われている断熱材の1つです。
グラスウールは、素材がガラスということもあり、耐火性があるため、火災に強く、シロアリなどの害虫対策、防音効果もあります。
一方で、グラスウールは、吸湿性があまりないので、湿気に弱いのが、デメリットです。
そのため、グラスウールは、内部結露が起きやすいと誤解されやすいのですが、内部結露は、素材のせいではなく、施工方法に起因することが多いです。
例として、グラスウールは、施工する際、「構造材と断熱材の間に隙間がある」「吸湿シートが適切に覆われていない」などの施工不良があると、内部結露が発生しやすくなります。
したがって、グラスウールは、正しく断熱施工を行えば、内部結露を防ぐことができるため、施工業者選びも重要になってきます。
「ロックウール」は玄武岩などの天然岩石や、鉄炉スラグなどを高温加工して作られた人工鉱物繊維です。
ロックウールは、グラスウールよりも耐熱性に優れ、防火材としても使われており、吸音性や断熱性がとても優れているので、空港などでもよく使われています。
ロックウールのデメリットは、繊維質であるため、湿気に弱く、繊維に水分が加わると、性質が変化し、断熱性能が著しく低下してしまいます。
そのため、ロックウールを断熱材として使用する際は、防水と防湿処理をしっかりとすることが重要です。
木質繊維系
「木質繊維系」の中で代表的な断熱材は、「セルロースファイバー」と「インシュレーションボード」の2種類です。
セルロースファイバーは、古紙や新聞紙を再利用した繊維なので、環境にも優しい断熱材です。
「セルロースファイバー」は、すべてが自然素材で作られているため、アスベストのような問題がなく、健康的にも安全な断熱材です。
さらに、セルロースファイバーは、調湿性が優れているので、湿度が高い場合は、湿気を吸収し、乾燥している場合は、湿気を放出する働きがあります。
「インシュレーションボード」は、廃木材を熱で繊維状になるまで解き、合成樹脂や接着剤を混ぜて乾燥させた断熱材です。
インシュレーションボードのメリットは、多孔質(多数の小さな穴が空いた)で、軟質のため、断熱性や保温性、吸音性に優れていて、素材も軽くて加工しやすいのが特徴です。
加えて、インシュレーションボードは、透湿性も優れているため、結露防止にも期待できますが、他の断熱材に比べて価格が高めな点がデメリットです。
さらに、インシュレーションボードは、素材が木材であるため、シロアリに弱く、不燃性ではないので耐火性能も低いです。
そのため、インシュレーションボードは、断熱材として、使われるケースがあまりないのが現状です。

天然素材系
天然素材系の断熱材は、大きく分けて、「羊毛」と「炭化コルク」の2つがあり、天然素材からできている断熱材です。
天然素材の断熱材は、環境や人体への影響が少ないメリットはありますが、断熱性能の観点から考えると割高な面がデメリットでもあります。
羊毛
「羊毛」は、羊毛の衣類などを再利用したものが断熱材として使われており、調湿性に優れています。
そのため、羊毛は、室内の湿度を一定に保つ働きがあるので、結露防止に役立つ断熱材です。
さらに、羊毛は、繊維が絡まり合っているので、高い断熱性や耐久性があるのが特徴で、耐久年数は、50年以上もあります。
したがって、羊毛は、耐久年数が長いので、先々にかかるメンテナンス費用を抑えることができる断熱材です。
炭化コルク
「炭化コルク」は、ワインの栓や商品にならないコルクを蒸し焼きにし、炭化させた断熱材です。
炭化したコルクは、気泡部分が開くため、湿気を吸収したり、放出する働きがあるので、調湿性が高いのが特徴です。
コルクには、「スベリン」という虫を寄せ付けない成分が含まれており、虫やダニから住宅を守ることもできます。
加えて、炭化コルクは、微細な細胞から構成されているため、優れた断熱性効果があります。
「羊毛」と「炭化コルク」は、他の断熱材に比べて価格が高いことが最大のデメリットです。
そのため、天然素材系の断熱材は、環境や健康に配慮した断熱材ですが、コストの面を考えると、導入するのに躊躇してしまうかもしれません。
発泡プラスチック系
「発泡プラスチック系」の断熱材は、様々なプラスチックを発泡させて作られた断熱材で、代表的な断熱材は4つあります。
発泡プラスチック系で代表的な断熱材は、「押出発泡ポリスチレン」「ビーズ法ポリスチレン」「ウレタンフォーム」「フェノールフォーム」の4つがあります。
押出発泡ポリスチレン
「押出発泡ポリスチレン」は、ポリスチレンを連続で発泡させて作った板状(ボード状)の断熱材です。
プラスチック製のため、熱伝導率が低く断熱性が高いため、軽量で加工がしやすく、作業や運搬においても人手を少なくできます。
また、押出発泡ポリスチレンは、素材がプラスチックなので、繊維系の断熱材(グラスウール、ロックウール)と比べると、水分や湿気に強い断熱材です。
押出発泡ポリスチレンのデメリットは、熱によって解ける性質があるため、防火性に弱いという点です。
ビーズ法ポリスチレン
「ビーズ法ポリスチレン」は、よく梱包材などに使われる「発泡スチロール」と呼ばれているものです。
ビーズ法ポリスチレンの製造方法は、粒状のポリスチレンを金型に入れて、発泡させて、製造されています。
ビーズ法ポリスチレンは、発泡プラスチック系の断熱材の中では、比較的安価なため、幅広い用途で、使われる断熱材です。
さらに、水分を吸収させないという特徴があるので、湿気や結露の防止に効果がありますが、熱や火に弱く、耐火性には期待できません。

ウレタンフォーム
「ウレタンフォーム」は、ポリウレタン樹脂でできた断熱材で、原材料は、「ポリオール」と「ポリイソシアネート」です。
ウレタンフォームは、構造上、独立気泡(気泡が他の気泡と繋がっていない)のため、水や空気を通りにくい性質となっており、断熱性や耐水性がメリットです。
デメリットは、耐火性が弱く、もし燃えてしまった場合、有毒ガスが発生する危険性がある点です。
さらに、シロアリはプラスチックを食べる生き物なので、シロアリの被害に遭ってしまう可能性もあります。
フェノールフォーム
「フェノールフォーム」は、フェノール樹脂に硬化剤や発泡剤を混ぜ、板状(ボード状)に成型した断熱材です。
素材はプラスチックですが、熱を加えると硬化する特性を持った「フェノール樹脂」が原料のため、耐熱性や耐火性にも優れています。
フェノールフォームは、ウレタンフォームとは違い、燃やしても有毒ガスが発生しないのもメリットです。
フェノールフォームのデメリットは、他の断熱材と比べて高価で、加えて、シロアリにも弱いため、しっかりとシロアリ対策をしておくことが大切です。
壁に断熱材を後付けするリフォーム方法

壁の断熱リフォーム方法は、「充填断熱工法」「外張り断熱工法」「吹き込み工法」の3つが、代表的な工法です。
ここでは、壁の断熱リフォームの代表的な工法の特徴や、メリット・デメリットをご紹介していきます。
充填断熱工法(内断熱工法)
「充填断熱工法(内断熱工法)」とは、柱や梁の構造材の間を板状(ボード状)の断熱材で、埋めるように詰めていく工法です。
充填断熱工法では、「グラスウール」や「ロックウール」などの繊維系の断熱材がよく使われ、断熱材を構造材の間に詰めて、充填していきます。
充填断熱工法(内断熱工法)は、壁内空間を利用するため、断熱材が厚くても入れることができます。
充填断熱工法(内断熱工法)は、柱と構造材の間に断熱材を埋めていく工法なので、壁自体を厚くする必要はありません。
したがって、充填断熱工法(内断熱工法)は、室内空間や、敷地面積に影響を与えないので、狭小住宅やデザイン性にこだわりたい人におすすめの工法です。
デメリットは、断熱材がボード状やシート状の場合、細かい場所に埋め込む施工が、困難な場合があります。
さらに、充填断熱工法(内断熱工法)は、外張り断熱と比較すると、断熱効果が低いのもデメリットです。
断熱効果をより高めたい場合は、充填断熱工法(内断熱工法)ではなく、「外張り断熱工法」の検討もおすすめします。
外張り断熱工法
「外張り断熱工法」とは、住宅全体を柱の外側から、覆いかぶせるように、断熱施工する工法です。
断熱材は、カットなどの加工が比較的しやすい「発泡プラスチック系」の断熱材が使われることが多いです。
発泡プラスチック系の断熱材は、ボード状(板状)になっているため、外張り断熱工法に適した断熱材です。
外張り断熱工法は、ボード状の断熱材を柱の外側から覆いかぶせ、断熱材のつなぎ目を気密テープで貼ることで、気密性が保たれ、壁体内に外気を侵入させないようにできます。
外張り断熱工法は、家全体を断熱材で包むため、外気の影響をシャットアウトすることができるので、気密性が高くなり、壁体内結露が発生しにくくなります。
さらに、外張り断熱工法は、柱の外側から断熱材を覆いかぶせるので、内部を施工できないお風呂場などのユニットバス周りも施工することが可能です。
一方で、デメリットとしては、充填断熱工法よりも、外張り断熱工法の方がコストが高くなりやすく、壁の厚みが増してしまうため、敷地面積が狭くなってしまいます。
そのため、敷地に余裕がない狭小住宅では、外張り断熱工法が適さない場合もあります。

吹き込み工法
「吹き込み工法」とは、粒状もしくは、綿状の断熱材を専用の吹き込み装置を使って、壁の隙間に吹き込む施工方法です。
吹き込み工法は、ロックウールやグラスウール、セルロースファイバーなどの繊維系の断熱材がよく使われます。
吹き込み工法のメリットは、ボード状の断熱材を入れるのとは違い、細かい部分にも断熱材を吹き込むことができる点です。
そのため、吹き込み工法は、狭くて複雑な部分も、隙間なく断熱材を充填することができるので、より断熱効果を高めることができます。
一方で、吹き込み工法は、水分を含むと、重くなってしまう性質の「繊維系の断熱材」を使うケースが多いため、しっかりと結露対策をすることが大切です。
壁の断熱リフォームの費用相場

壁の断熱リフォームの費用は、施工する場所や方法、使用する断熱材によって、大きく価格が異なります。
また、壁の断熱リフォーム工法は、大きく分けて「内壁から断熱」と「外壁から断熱」の2種類があります。
壁の断熱リフォームは、一軒家の壁全体をすべて断熱リフォームした場合、おおよそ300〜500万円以上かかるケースもあります。
ここでは、壁の断熱リフォームをした場合の費用相場について、工法ごとにそれぞれご紹介していきます。
充填断熱工法(内断熱工法)の費用相場
壁の断熱リフォームは、「内壁の断熱」と「外壁の断熱」で分かれており、内壁の断熱施工で代表的な充填断熱工法(内断熱工法)は、内側から断熱材を入れる工法です。
工事の内容は、「壁の解体」「壁の撤去」「補修工事」「断熱材の敷き詰め」「下地張り」「壁の仕上げ工事」など、多岐に渡ります。
費用相場は、使用する断熱材の種類によって異なりますが、充填断熱工法(内断熱工法)の場合、およそ「5,000円から10,000円/㎡」が費用相場となっています。
充填断熱工法(内断熱工法)は、一般的な住宅であれば、約50万〜100万程度の費用がかかる計算です。
加えて、内壁の断熱施工は、場所によって、コンセントの電気工事や、キッチンなどの配管設備関係の専門的な工事が必要になるケースもあります。
充填断熱工法(内断熱工法)は、断熱工事と専門的な工事が発生した場合、「10,000円~16,000円/㎡」が費用相場となっています。
工事日数は、断熱工事のみですと、2~3週間で、断熱工事と専門の工事も発生した場合ですと、2週間~1ヵ月程度はかかります。
外張り断熱工法の費用相場
外張り断熱工法は、住宅全体を発泡プラスチック系の断熱材で覆うため、外壁に厚みが出てしまい、敷地面積に影響を与える施工方法です。
外張り断熱工法は、外側から壁の状態をチェックすることができるので、施工完了後も、メンテナンスがしやすいのがメリットです。
しかし、外張り断熱工法は、施工時に外壁材の解体が必要なので、大規模な工事になってしまうこともあって、費用が高くなる傾向があります。
費用相場は、約7,000〜90,000円/㎡で、一般的な住宅の場合、約150万円前後はかかり、工事期間は、約1週間〜1ヵ月程度です。
したがって、外張り断熱工法は、充填断熱工法(内断熱工法)よりも、高額になりやすいのがデメリットです。
一方で、外張り断熱工法は、家全体を覆う施工のため、外気の影響を充填断熱工法(内断熱工法)よりも、確実に遮断することができます。
そのため、価格が高くても確実に断熱効果を得たい方には、外張り断熱工法が人気で、需要も高いです。

断熱塗装の費用相場
断熱塗装とは、外壁に断熱塗料を散布する断熱方法で、太陽光の熱をカットして、熱をキープし、熱伝導を抑える働きがある塗料を塗る工法です。
断熱塗装は、外気の冷気や熱の侵入を防ぐため、室内外の熱の移動を抑えるので、断熱効果が期待できます。
断熱塗装は、外壁を解体することなく、断熱リフォームをすることができますが、塗装する前に外壁を洗浄する必要があるため、足場代や高圧洗浄の費用も追加でかかります。
断熱塗装の費用相場は、約4,000〜8,000円/㎡で、トータルでおよそ50~80万円程度(30坪の場合)となっています。
工事期間は、2~4日程度なので、他の工法よりも短い期間で断熱を施すことが可能で、価格も他の工法に比べて、安価となっています。
壁の断熱リフォームを行う際に使える補助金

壁の断熱リフォームは、「壁の解体から撤去」や「断熱材の詰め込み」など、大掛かりな工事が多いため、工事費用が高額になり、依頼するのを躊躇してしまいがちです。
補助金制度は、各事業の条件を満たしていれば、国や自治体から補助金を受けられる制度なので、工事費用の負担軽減に繋がります。
ここでは、壁の断熱リフォームで利用できる4種類の補助金制度について、ご紹介していきます。
既存住宅における断熱リフォーム支援事業(旧呼称「断熱リノベ」)
「既存住宅における断熱リフォーム支援事業(旧・断熱リノベ)」は、省エネ効果が見込める断熱リフォームを行った、一戸建てやマンションを対象とした補助金制度です。
補助金の対象となるリフォーム内容
補助金の対象となるリフォーム内容は、「15%以上の省エネ効果が見込まれる高性能の建材(断熱材、窓、ガラス)」を使った既存住宅のリフォームです。
さらに、もう一つ補助金の対象となるのは、居間(日常生活で家族全員がいる時間が一番長い居室)の高性能の建材(窓)を使った断熱リフォームです。
補助金上限額
一戸建ての場合は、1住戸につき、120万円(玄関ドア5万円含む)で、補助率は、補助対象経費の1/3以内が補助されます。
一戸建ての場合のみ、断熱工事と同時に、以下の設備を導入した場合、補助対象となります。
- 家庭用蓄電システムも一緒に購入した場合→20万円を上限に別途補助
- 家庭用蓄熱設備も一緒に購入した場合→20万円を上限に別途補助
- 熱交換型換気設備も購入・設置した場合→5万円を上限に別途補助
集合住宅の場合は、1住戸につき、15万円(玄関のドアもリフォームする場合は、1住戸あたり20万円)が上限で、補助率は、補助対象経費の1/3以内が補助されます。
集合住宅は、断熱工事と一緒に「熱交換型換気設備」などを導入すると、5万円を上限に別途補助されます。
居間だけ断熱は、窓と玄関ドアのみ対象の補助金制度のため、壁の断熱リフォームは、含まれておりません。
※2023年の補助金の申請期間は、2023年12月8日(金)で終了。
※次回の公募は、2024年1月頃を予定しています。
出典元:既存住宅における断熱リフォーム支援事業(公益財団法人北海道環境財団)

次世代省エネ建材の実証支援事業
「次世代省エネ建材の実証支援事業」は、既存住宅に「次世代省エネ建材」を使ってリフォームをする場合、費用の一部が補助金が貰える制度です。
「次世代省エネ建材」とは、省エネ改修の促進・工期短縮ができる高性能断熱材や、快適性向上の助けとなる蓄熱・調湿などが期待できる建材のことです。
補助金の対象となるリフォーム内容
補助金の対象となるリフォーム内容は、「外張り断熱」「内張り断熱」「窓断熱」の3つで、補助金の上限は、リフォーム内容によってそれぞれ異なります。
外張り断熱の場合は、外気に接触する外壁全部を外張り断熱工法などで、リフォームする必要があります。
内張り断熱の場合は、断熱パネルもしくは、潜熱蓄熱建材のどちらかを室内側から導入し、リフォームする必要があります。
窓断熱の場合は、すべての窓を外窓(防風・防犯・防火仕様)にリフォームすることが、補助金を受ける条件です。
補助金上限額
【外張り断熱】
外張り断熱の場合は、戸建て住宅1住戸あたり300 万円、一部地域では400万円が上限です。
補助金の比率は、補助対象費用の1/2以内の補助金が提供されますが、外張り断熱の場合は、マンションは対象外です。
外壁断熱は、以下の任意製品も、外壁断熱と同時に改修することで、補助対象となるため、一緒にリフォームする予定がある場合は行うと工事費用が軽減できます。
- 玄関ドア
- 断熱材(天井と床)
- 窓
- 断熱パネル
- 潜熱蓄熱建材
- 調湿建材
- 高効率換気システム
【内張り断熱】
内張り断熱は、外張り断熱とは違い、一戸建てと集合住宅(マンションなど)の両方が補助金の対象です。
一戸建て住宅の場合は、1住戸あたり200万円が上限額で、補助金の比率は、補助対象経費の1/2以内が補助されます。
集合住宅(マンションなど)の場合は、125万円が上限額で、補助金の比率は、一戸建て住宅と同様に、補助対象経費の1/2以内が補助されます。
補助金の下限額は、一戸建てと集合住宅(マンションなど)の両方とも20万円となります。
内張り断熱は、断熱パネルもしくは、潜熱蓄熱建材を使った内張り断熱をした場合に限り、任意製品(断熱材、窓、玄関ドア、調湿建材)も補助金の対象となります。
【窓断熱】
窓断熱は、一戸建ての補助金は150万円が上限で、補助金の比率は補助対象経費の1/2以内が補助されます。
外窓(必須製品)以外の任意製品(断熱パネル、潜熱蓄熱建材、断熱材、内窓、玄関ドア、調湿建材)を併用してリフォームする場合は、補助金の上限は200万円となります。
※マンションは、一戸ごとに外窓の断熱リフォームができないため、窓断熱は一戸建て住宅のみ対象の補助金です。
※公募期間は、2023年11月30日(木)まででしたが、2023年9月29日(金)受信分で予算額が上限に達したため、終了。
※2024年度分については未定
出典元:令和5年度 次世代省エネ建材の実証支援事業(一般社団法人環境共創イニシアチブ)
こどもエコすまい支援事業
「こどもエコすまい支援事業」は、子育て世帯・若者夫婦世帯の省エネが考慮された「リフォーム」に対して、補助金が提供される制度です。
補助金の対象となるリフォーム内容
こどもエコすまい支援事業は、必須工事として、「開口部の断熱改修」「外壁、屋根・天井または床の断熱改修」「エコ住宅設備の設置」のいずれかの工事が対象となります。
加えて、任意工事は、必須工事と共に改修された場合のみ、補助の対象となるもので、同時に行うと、より費用の負担が軽減されます。
任意工事は、「子育て対応改修(ビルトイン食洗器・レンジフード、宅配ボックス・浴室乾燥機など)」「防災性向上改修」「バリアフリー改修」「空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置」「リフォーム瑕疵保険などへの加入」があります。
補助額は、1回の申請当たりの合計補助額が、5万以上でなければ、補助の対象となりません。
補助金上限額
原則、1住戸あたり、最大30万円の補助金が提供されますが、「子育て世帯」もしくは「若者夫婦世帯」は、補助額が最大60万円まで引き上げられます。
※2023年度分は予算の上限に達成のため、2023年9月28日で受付は終了
※2024年度分については未定
出典元:対象要件の詳細【リフォーム】(こどもエコすまい支援事業)

長期優良住宅化リフォーム推進事業
「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、長期にわたって良質で住みやすい状態を維持する住宅をリフォームする場合に、補助金が支援される事業です。
補助金を受ける条件は、3つあり「インスペクション(現状調査)を行う」「リフォーム後の家が一定の性能基準を満たすこと」「リフォーム履歴と維持保全計画の作成」です。
補助対象となるリフォーム内容
補助対象となるリフォーム内容は、複数あり、下記の通り5つの費用が補助の対象となります。
- 性能向上リフォーム工事に要する費用(断熱リフォームを含む)
- 三世代同居対応改修工事に要する費用
- 子育て世帯向け改修工事に要する費用
- 防災性・レジリエンス性の向上修工事に要する費用
- インスペクション(住宅診断)などに要する費用
補助金上限額
補助金の比率は、補助対象工事費など合計のうち、1/3の金額の補助が受けられ、リフォーム後の住宅の性能に応じて、以下の3つの補助限度額が設定されています。
- 長期優良住宅(増改築)認定を取得しないものの、一定の性能向上が認められる場合は、1住戸100万円、(1住戸150万円)
- 長期優良住宅(増改築)認定を取得した場合は、1住戸200万円、(1住戸250万円)
※( )内は、三世代同居対応改修工事を実施する場合、若者・子育て世帯または既存住宅の購入者が改修工事を実施する場合の上限額です。
出典元:長期優良住宅化リフォーム推進事業
地方自治体独自の補助金・助成金制度
断熱リフォームの補助金制度は、国だけでなく、地方自治体が独自で行っている場合もあります。
そのため、補助金を受けたい場合は、住んでいる地域の地方自治体が、どんな補助金制度を行っているか、事前に調べておくと、費用の負担が軽減する可能性があります。
以下のサイトは、自分が住んでいる地方自治体で、断熱リフォームに対し補助金支援を行っているか確認できます。
検索の仕方は、支援分類の「③省エネルギー化」にチェックを入れて検索すると、断熱リフォームが対象の制度が抽出可能です。
【地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト(令和5年度版)】
まとめ
壁の断熱リフォームは、室内の温度が外気に影響されにくくなるため、住む人の身体的な負担の軽減のみならず、「建物の劣化防止」や「光熱費の節約」にも期待できます。
しかし、壁の断熱リフォームは、熟練の技術が必要なため、知識や経験不足の業者に依頼してしまうと、結露が発生してしまい、カビなどの原因になることもあります。
そうならないためにも、施工業者を選ぶ際は、複数の業者から見積りをとり、総合的に判断し、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
また、断熱リフォームの工事費用は、施工方法や範囲、断熱材の種類によって幅がありますが、全体的に高額になりがちです。
そこで、国や地方自治体が行っている補助金制度を上手に利用すると、金銭的な負担軽減に繋がるので、事前に下調べしておくことが大切です。
まずは、AIリフォーム診断をして、理想的なリフォームをシュミレーションしてみませんか?
