
「日本語のキーワードを英語に翻訳して、そのまま海外向けページに設定した。でも検索流入がほとんどない…」。多言語サイトを運営する方から、こうした相談をよくいただきます。
原因はシンプルです。多言語SEOのキーワード調査は「翻訳」ではなく、現地のユーザーが実際に使っている検索語を見つけ出す作業だからです。同じ意味の言葉でも、国や文化が変われば検索される表現はまったく異なります。
本記事では、多言語キーワード調査の具体的な進め方を7つのステップで解説します。準備段階の考え方から、ツールの使い方、検索意図の分析、優先順位のつけ方、そして調査結果をコンテンツに落とし込むところまで。はじめて海外向けSEOに取り組む方にも実践しやすい内容にまとめました。
多言語SEOのキーワード調査とは
多言語SEOのキーワード調査とは、ターゲットとする国や言語ごとに、現地ユーザーが実際に検索エンジンへ入力している言葉を調べ、自社サイトのページに最適なキーワードを選定する作業です。
日本国内のSEOであれば、自分自身も日本語の検索ユーザーなので、感覚的にキーワードの良し悪しを判断できます。しかし海外向けとなると、その感覚が通用しません。
言語が変われば検索に使われる表現が変わり、国が変われば検索の目的そのものが変わり、地域が変われば主要な検索エンジンすら異なります。
つまり多言語のキーワード調査では、「言語」「国・文化」「検索エンジン」という3つの軸を同時に考える必要があるのです。
ここでは、日本語SEOとの違いを3つの観点から掘り下げていきます。
なぜ「翻訳=キーワード調査」ではないのか
多言語キーワード調査で最もよくある誤解が、「日本語キーワードを正確に翻訳すれば、そのまま海外のキーワードとして使える」という思い込みです。
例えば、日本語で「賃貸物件」と検索するユーザーに向けた記事を英語圏に展開するケースを考えてみましょう。直訳すると「rental property」ですが、アメリカのユーザーが実際に検索するのは「apartments for rent」、イギリスでは「flats to let」です。どちらも意味は近いのに、使われる表現がまったく異なります。
もっと極端な例もあります。フランス語圏向けにスニーカーの記事を書く場合、英語の「trainers」をそのまま仏語に訳すと「formateurs」になりますが、これは「指導者」という意味であり、靴とは無関係です。フランス語でスニーカーを指す言葉は「baskets」で、検索ボリュームにも大きな差が出ます。
このように、翻訳として正しい言葉が、検索キーワードとして正しいとは限りません。キーワード調査とは、現地のユーザーが実際に検索窓に打ち込んでいる言葉を見つけ出す作業です。翻訳はあくまで出発点であり、ゴールではないのです。
国・言語・検索エンジンの”3軸”で考える
多言語キーワード調査が日本語SEOより複雑になる理由は、考慮すべき軸が3つあるからです。
1つ目は「言語」の軸です。英語・中国語・韓国語・スペイン語など、言語が変わればキーワードの候補はゼロから調査し直す必要があります。
2つ目は「国・文化」の軸です。同じ英語圏でも、アメリカ・イギリス・オーストラリア・インドではよく使われる表現やスペルが違います。カナダのように英語とフランス語が公用語の国、スイスのようにドイツ語・フランス語・イタリア語が混在する国もあり、「1か国=1言語」とは限りません。
3つ目は「検索エンジン」の軸です。世界の多くの国ではGoogleが主流ですが、中国ではBaidu、韓国ではNAVER、ロシアではYandexが大きなシェアを持っています。検索エンジンが違えば、キーワードの調査ツールもアルゴリズムの特性も変わります。Googleキーワードプランナーだけでは、こうした市場の実態を把握できません。
この3つの軸を意識せずに調査を始めると、どれだけ時間をかけても的外れなキーワードを選んでしまいます。
検索意図(Search Intent)が国によってズレる問題
同じキーワードであっても、国が変われば検索する人の「目的」が異なることがあります。
それは、各言語圏のユーザーが持つ独特の検索行動と文化的背景が、キーワードの選択に大きく影響するためです。2026年版 SEO統計データによると、質問系キーワードを含むタイトルのCTRは15.5%、質問系でないタイトルのCTRは16.3%となっており、言語によって質問の表現方法が大きく異なることが示されています。
例えば、「CRM software」というキーワードで考えてみましょう。アメリカで検索するユーザーの多くは、すでに導入を前提として製品の比較や価格を調べています。実際にアメリカのGoogleで検索すると、上位には比較記事や製品のランディングページが並びます。一方、日本で「CRM ソフト」と検索すると、「CRMとは何か」を解説する情報記事が上位に多く表示されます。同じテーマなのに、ユーザーが求めている情報のレベルが違うのです。
この違いを無視してしまうと、深刻なミスマッチが起こります。現地のユーザーが製品比較を求めているのに、基礎知識を説明する記事を出してしまえば、すぐに離脱されてしまいます。
検索意図を確認する最も確実な方法は、ターゲット国のSERP(検索結果ページ)を実際に見ることです。上位に表示されているページが情報記事なのか、比較記事なのか、ECサイトなのか。それを確認するだけで、そのキーワードに対して自社がどんなコンテンツを用意すべきかが見えてきます。
多言語SEOのキーワード調査を始める前に決めておくべき3つのこと
多言語キーワード調査でありがちな失敗は、準備が不十分なままツールを開いてしまうことです。AhrefsやGoogleキーワードプランナーを使えばデータはすぐに取れますが、「どの国を優先するのか」「自社のどの領域で戦うのか」「何を成果とするのか」が定まっていなければ、膨大なキーワード候補を前にして判断基準がなく、作業が迷走してしまいます。
逆にいえば、調査を始める前に3つのことを決めておくだけで、その後の作業効率は大きく変わります。
ここでは、キーワード調査に入る前に整理しておくべき「ターゲット国と言語の優先順位」「コアトピックの定義」「KPIとゴール設定」の3つを解説します。
(1)ターゲット国と言語の優先順位を明確にする
多言語キーワード調査は、国と言語の数だけ作業量が増えます。最初からすべての市場を同時に調査しようとすると、リソースが分散して中途半端な結果に終わりがちです。まずは優先すべき国と言語を1つか2つに絞りましょう。
優先順位を決める際に役立つのが、自社サイトの既存データです。GA4の「ユーザー属性」レポートで国別のアクセス状況を確認し、Google Search Consoleの「検索パフォーマンス」で国別フィルターをかければ、すでにどの国から検索流入があるかがわかります。既存のトラフィックがある国は、検索需要の存在が確認できているため、成果が出やすい市場です。
まだ海外からのアクセスがほとんどない場合は、Googleキーワードプランナーで国と言語を指定し、自社に関連するキーワードの検索ボリュームをざっくり確認しましょう。「需要はあるか」「競合は強すぎないか」「自社の商品やサービスはその国に提供できるか」の3点で比較すれば、現実的な優先順位が見えてきます。
(2)自社ビジネスの「コアトピック」を洗い出す
ターゲット国が決まったら、次は「自社がどのテーマ領域でキーワードを狙うのか」を明確にします。これがコアトピックの定義です。
コアトピックとは、自社の事業に直結するメインテーマのことです。例えば、多言語AIチャットボットを提供する企業であれば、「多言語カスタマーサポート」「インバウンド対応の自動化」「外国人向け問い合わせ対応」などがコアトピックになります。
コアトピックを決めるときのポイントは、「自社の強み」と「現地ユーザーの課題」の重なりを探すことです。自社が得意としていても、その国で需要がなければキーワードとして成立しません。逆に、需要があっても自社の専門外であれば、質の高いコンテンツが作れず検索上位は難しくなります。
コアトピックが3〜5つ決まれば、それぞれのトピックから派生する関連キーワードを調査する、という形で作業が構造化されます。やみくもにキーワードを探すのではなく、コアトピックを起点にすることで、調査の範囲を絞りつつ漏れを防ぐことができます。
(3)KPIとキーワード調査のゴールを決める
キーワード調査を始める前に、「この調査のゴールは何か」を具体的に定義しておきましょう。ゴールが曖昧なまま調査を進めると、候補キーワードが際限なく増え続け、どこで調査を終えるべきかの判断がつかなくなります。
まず、キーワード調査のアウトプットを決めます。例えば、「国別・言語別のキーワードマップを完成させる」「優先度つきのキーワードリストを30個選定する」など、成果物の形を先に決めておくと、調査の作業範囲が明確になります。
次に、そのキーワードが最終的にどのKPI(重要指標)につながるかを確認します。問い合わせ件数を増やしたいなら、購入意欲の高いキーワード(「製品名 + 料金」「サービス名 + 比較」など)を優先します。海外でのブランド認知を広げたいなら、検索ボリュームの大きい情報系キーワード(「○○とは」「○○のやり方」など)を重視します。
キーワード調査は手段であり、目的ではありません。「何のためにキーワードを選ぶのか」を最初に決めておくことで、調査の精度と効率が格段に上がります。
多言語SEOキーワード調査の7ステップ【実践編】
準備が整ったら、いよいよキーワード調査の実作業に入ります。ここでは、多言語キーワード調査の進め方を7つのステップに分けて解説します。
全体の流れは、日本語で軸となるキーワードの候補を出すところから始まり、ターゲット言語での現地表現の発掘、検索ボリュームや競合度の確認、ロングテールキーワードへの拡張、検索意図の分析、優先順位づけ、そしてページへの実装までを一気通貫でカバーします。
各ステップでは使用するツールや具体的な操作手順にも触れていますので、はじめて多言語キーワード調査に取り組む方でも、手を動かしながら進められる内容になっています。すでに調査経験がある方は、抜け漏れがないかのチェックリストとしてもご活用ください。
ステップ1|日本語の軸キーワードから「種リスト」を作る
最初のステップは、自社ビジネスに関連する日本語のキーワードを洗い出し、調査の出発点となる「種リスト」を作ることです。この段階ではまだ翻訳のことは考えません。あくまで「自社がどんなテーマでコンテンツを作るべきか」を整理するための作業です。
まず、準備編で決めたコアトピックをもとに、関連しそうなキーワードを30〜50個ほど書き出します。自分の頭だけで考える必要はなく、Google Search Consoleの「検索パフォーマンス」を開けば、現在の日本語サイトに流入しているキーワードが一覧で確認できます。また、ラッコキーワードに主要な単語を入力すれば、関連するキーワードがまとめて取得できます。
ポイントは、この種リストを「翻訳候補のリスト」ではなく「概念のリスト」として扱うことです。
例えば、種リストに「多言語チャットボット」があった場合、英語圏での調査では「multilingual chatbot」だけでなく、「AI customer support」や「multilingual help desk」など、同じ概念を別の切り口で表現したキーワードも調査対象になります。種リストは翻訳のためではなく、次のステップで現地の言葉を探すための起点として使います。
ステップ2|ターゲット言語での候補キーワードを発掘
種リストができたら、それをもとにターゲット言語で実際に検索されているキーワードを探していきます。ここが多言語キーワード調査の核心であり、最も手間がかかるステップです。
最も避けるべきなのは、種リストの日本語をそのまま機械翻訳にかけて候補とすることです。代わりに、現地で実際に使われている表現を複数の方法で探します。
まず有効なのが、ターゲット国の競合サイトを調査する方法です。Ahrefsの「Site Explorer」に競合のURLを入力すれば、そのサイトがどんなキーワードで流入を得ているかがわかります。現地の上位サイトのタイトルや見出しに使われている表現も、有力な候補になります。
次に、現地のユーザーが実際に使っている言い回しを確認します。英語圏ならRedditやQuora、中国語圏なら知乎(Zhihu)、韓国ならNAVER知識iNなど、各国のQ&Aサイトやコミュニティで、自社のテーマに関連する質問や回答を読むと、教科書的な翻訳では出てこない自然な表現が見つかります。
可能であれば、ネイティブスピーカーに候補リストを見てもらい、「この表現は実際に使うか」を確認してもらうと精度がさらに上がります。
ステップ3|検索ボリュームと競合度を国別に調査
候補キーワードが集まったら、それぞれの検索ボリューム(月間でどれくらい検索されているか)と競合度(上位表示の難しさ)を数値で確認します。
Googleキーワードプランナーを使う場合は、設定画面で「地域」と「言語」を必ず指定してください。初期設定のままでは全世界のデータが表示されるため、ターゲット国の実態とかけ離れた数字になることがあります。
AhrefsのKeywords ExplorerやSEMrushのKeyword Magic Toolでは、国を指定するだけで検索ボリュームに加え、キーワードの難易度スコアや上位表示に必要な被リンク数の目安まで確認できます。無料で始めたい場合は、Ubersuggestでも国別の基本データが取得可能です。
注意したいのは、検索ボリュームの大きさだけでキーワードを選ばないことです。月間検索数が1万回あっても、自社の商品と関係が薄いキーワードではコンバージョンにつながりません。
逆に、月間100回程度でも「製品名 + pricing」のように購買意欲が明確なキーワードは、ビジネスへのインパクトが大きいです。ボリュームは判断材料の一つとして使い、最終的な選定は後のステップで総合的に行います。
ステップ4|サジェスト・関連検索・PAA(People Also Ask)から広げる
ステップ3までで集めた候補キーワードを、さらに横に広げていくのがこのステップです。ここでは検索エンジンが提供するサジェスト機能やPAA(People Also Ask=「他の人はこちらも質問」)を活用します。
まず、ターゲット国のGoogleで候補キーワードを実際に入力してみましょう。日本からでも、GoogleのURLにパラメータ(gl=us&hl=enなど)を付けるか、VPNを使えば現地の検索結果を確認できます。検索窓に文字を入力すると表示されるサジェスト(入力候補)には、現地ユーザーがよく検索している関連フレーズが並びます。検索結果ページの下部に表示される「関連検索」も見逃さずに確認しましょう。
さらに注目したいのがPAAです。検索結果の中に「他の人はこちらも質問」として表示される質問リストで、ユーザーが同じテーマについてどんな疑問を持っているかがわかります。この質問をそのままロングテールキーワードとして活用できます。
補助ツールとしては、AnswerThePublicやAlsoAskedが便利です。キーワードを入力するだけで、質問系のフレーズを大量に取得できます。ここで見つかるロングテールキーワードは競合が少なく、検索意図が明確なため、特にサイト立ち上げ初期には効果的な狙い目になります。
ステップ5|検索意図(Search Intent)を国別に分析
候補キーワードが十分に広がったら、次はそれぞれのキーワードに対する検索意図を確認します。前半でも触れたとおり、同じキーワードでも国によってユーザーの目的は異なります。このステップを飛ばすと、コンテンツと検索意図がかみ合わず、順位が上がらない原因になります。
確認方法はシンプルです。ターゲット国のGoogleで候補キーワードを検索し、上位10件のページを観察します。情報を解説する記事が多ければ「Know(知りたい)」の意図、製品比較やランキングが並んでいれば「Do(比較・検討したい)」の意図、ECサイトや購入ページが多ければ「Buy(買いたい)」の意図が強いと判断できます。
この分析結果と、自社が用意できるコンテンツの種類を照らし合わせます。例えば、上位が比較記事ばかりなのに、自社が用意できるのは製品紹介ページだけであれば、そのキーワードでは上位表示が難しい可能性があります。
その場合は、比較コンテンツを新たに作るか、より自社のページに合ったキーワードを選び直すかの判断が必要です。検索意図との適合性を一つずつ確認していくことで、「上位を狙えるキーワード」が絞り込まれていきます。
ステップ6|キーワードをグルーピングして優先順位をつける
ここまでのステップで、候補キーワードには検索ボリューム、競合度、検索意図の情報がそろっています。次は、これらのキーワードを整理し、実際にどのキーワードから対策するかの優先順位をつけます。
まず、キーワードをテーマごとにグルーピングします。準備編で決めたコアトピックを軸にして、関連するキーワードをまとめていきます。
例えば、「多言語チャットボット」というコアトピックの下に、「multilingual chatbot pricing」「AI chatbot for customer support」「best multilingual chatbot 2026」などをグループ化します。このグループが、そのままサイトのコンテンツ構成(トピッククラスター)の設計図になります。
次に、各キーワードの優先順位を4つの軸で評価します。
「競合度は自社の現在のドメインパワーで勝てるレベルか」
「自社ビジネスへのインパクトは大きいか」
「検索意図と自社ページの適合度は高いか」
この4軸を掛け合わせて、総合的に優先度を判定します。
整理にはGoogleスプレッドシートが便利です。「国」「言語」「キーワード」「検索ボリューム」「競合度」「検索意図」「対応ページURL」「優先度」の列を作り、一覧で管理できるキーワードマップを作成しましょう。このマップが、以降のコンテンツ制作の羅針盤になります。
ステップ7|キーワードをページに実装する
キーワードマップができたら、最後のステップとして、選定したキーワードを実際のページに組み込んでいきます。どれだけ正確に調査しても、ページ上に適切に反映されなければ検索エンジンには伝わりません。
最も重要な設置箇所は、タイトルタグ(titleタグ)です。主要キーワードをできるだけ前方に配置し、検索結果でクリックされやすい表現にします。
次にメタディスクリプションを作ります。こちらは順位に直接影響しませんが、検索結果でのクリック率を左右するため、キーワードを含めつつ内容が伝わる文章にしましょう。なお、ドイツ語やフランス語は英語より単語が長くなる傾向があるため、文字数の上限には言語ごとに注意が必要です。
見出し(H1〜H3)にもキーワードやその関連語を自然に含めます。本文中では、無理にキーワードを詰め込むのではなく、現地の読者にとって自然な文脈の中で使うことを意識してください。画像のalt属性(代替テキスト)も、現地語でキーワードを含めた説明文を設定します。
そして「1ページ1言語」の原則を必ず守りましょう。1つのページに複数の言語を混在させると、検索エンジンがページの言語を正しく判定できず、どの国の検索結果にも表示されにくくなります。
ここまでの7ステップを効率化したい方へ
ここまで解説した7つのステップは、正確に実施すれば確実に成果につながります。一方で、「各国の検索行動をリサーチしながら記事を量産するのは、工数がかかりすぎる」と感じた方もいるのではないでしょうか。
「ObotCRAFT(オーボットクラフト)」は、各国の検索行動データをもとにローカルSEO記事をAIが自動生成するツールです。キーワード調査から記事生成までの工程を大幅に効率化できるため、多言語展開のスピードを上げたい企業に適しています。
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多言語キーワード調査に使えるツール比較
多言語キーワード調査では、目的やステップに応じて複数のツールを使い分けることが重要です。1つのツールだけですべてをカバーできるわけではなく、検索ボリュームの確認に強いツール、サジェストキーワードの収集に向いたツール、特定の検索エンジンに特化したツールなど、それぞれに得意分野があります。
ここでは、前章の7ステップのどの場面で使えるかを軸にしながら、無料ツール、有料ツール、Google以外の検索エンジン向けツールの3カテゴリに分けてご紹介します。
予算や調査対象の国に合わせて、自社に合った組み合わせを見つけてください。まずは無料ツールから始めて、調査の規模が大きくなってきた段階で有料ツールを導入するのが現実的な進め方です。
無料ツール
まずは費用をかけずに始められる無料ツールを紹介します。
Googleキーワードプランナー
検索ボリュームの調査に欠かせない基本ツールです。設定画面で「地域」と「言語」を指定すれば、ターゲット国における月間検索ボリュームや競合性の目安が確認できます。
ステップ3の検索ボリューム調査で最初に使うツールとして最適です。ただしGoogle広告のアカウントが必要で、広告を出稿していない場合はボリュームの数値が大まかな範囲での表示になります。
▶Googleキーワードプランナー
Googleトレンド
キーワードの検索需要の推移を国別に比較できるツールです。季節によって需要が変動するキーワード(例:「air conditioner」は夏に急増する)を見極めたり、類似キーワード同士のどちらが多く検索されているかを視覚的に比較したりする際に役立ちます。
ステップ2で候補キーワードの当たりをつける段階や、ステップ6で優先順位を判断する際の補助データとして活用できます。
▶Googleトレンド
Google Search Console
自社サイトにすでに流入しているキーワードを確認するためのツールです。「検索パフォーマンス」レポートで国別のフィルターをかければ、海外からどんなキーワードでアクセスされているかがわかります。ステップ1の種リスト作成時に、思わぬ発見があることも少なくありません。
▶Google Search Console
Ubersuggest(無料枠)
キーワードを入力するだけで検索ボリューム、サジェスト候補、競合度をまとめて確認できるツールです。国と言語の指定にも対応しています。無料枠では1日あたりの検索回数に制限がありますが、調査対象のキーワード数が少ない初期段階では十分に使えます。
▶Ubersuggest
AnswerThePublic
キーワードに関連する質問系フレーズを大量に取得できるツールです。ステップ4のサジェスト・PAA拡張の段階で、「ユーザーがどんな疑問を持っているか」を網羅的に把握するのに適しています。言語と地域の指定も可能です。
▶AnswerThePublic
有料ツール
調査の規模が大きくなってきたら、有料ツールの導入を検討しましょう。無料ツールに比べてデータの精度が高く、競合分析やキーワードギャップ分析など、高度な調査が可能になります。
Ahrefs
多言語キーワード調査において最も汎用性の高いツールの一つです。Keywords Explorerでは、国を指定して検索ボリューム、キーワード難易度、クリック率の推定値が確認できます。
さらにSite Explorerに競合サイトのURLを入力すれば、そのサイトが獲得しているキーワードの一覧が取得でき、ステップ2の現地キーワード発掘に大きく貢献します。Content Gapという機能を使えば、競合が獲得しているのに自社が取れていないキーワードを抽出でき、ステップ6の優先順位づけにも役立ちます。
▶Ahrefs
SEMrush
Ahrefsと並ぶ定番のSEOツールです。Keyword Magic Toolでは、1つのキーワードから関連する候補を数千件単位で展開でき、言語・国の指定にも対応しています。Position Trackingを使えば、ターゲット国での自社キーワードの順位変動を日単位で追跡できるため、ステップ7でページにキーワードを実装した後の効果測定にも活用できます。
▶SEMrush
多言語パスカル
日本語のインターフェースで海外SEO調査ができるツールです。10エリア・6言語に対応しており、国内のSEOツールに慣れている方にとっては操作のハードルが低い点が特徴です。競合サイトの分析やコンテンツ診断の機能もあり、海外SEOに初めて取り組む日本企業にとっては有力な選択肢になります。
▶多言語パスカル
Google以外の検索エンジン向けツール
ターゲット国によっては、Google向けのツールだけでは十分な調査ができません。中国、韓国、ロシアなど、独自の検索エンジンが強い市場では、その検索エンジン専用のツールを使う必要があります。
Baidu Index(百度指数)
中国市場のキーワード調査に必須のツールです。指定したキーワードの検索トレンドや、地域別・年齢層別の検索傾向を確認できます。中国向けのSEOではGoogleキーワードプランナーのデータが使えないため、Baidu Indexが検索需要を把握するための主要な情報源になります。利用にはBaiduアカウントの登録が必要です。
▶Baidu Index(百度指数)
NAVERキーワードツール
韓国市場向けの調査に使います。NAVERの検索広告プラットフォーム内で提供されており、キーワードの月間検索数やクリック数、競合度が確認できます。韓国ではGoogleのシェアが拡大しているものの、NAVERは依然として大きな影響力を持っています。特にNAVERブログやNAVER知識iNからの流入を狙う場合は、このツールでの調査が欠かせません。
▶NAVERキーワードツール
Yandex Wordstat
ロシア市場のキーワード調査ツールです。キーワードの月間検索数に加え、関連キーワードの一覧や、地域別の検索ボリュームを確認できます。ロシア語でのキーワード入力が前提となるため、ロシア語に対応できるスタッフやパートナーとの連携が必要になります。
▶Yandex Wordstat
| ツール名 | 対応検索エンジン | 無料/有料 | 主な用途 | 対応ステップ |
|---|---|---|---|---|
| Googleキーワードプランナー | 無料 | 検索ボリューム・競合性の調査 | ステップ3 | |
| Googleトレンド | 無料 | トレンド比較・季節変動の把握 | ステップ2・6 | |
| Googleサーチコンソール | 無料 | 既存流入キーワードの確認 | ステップ1 | |
| Ubersuggest | 無料(有料版あり) | ボリューム・サジェスト・競合度の簡易調査 | ステップ2・3 | |
| AnswerThePublic | 無料(有料版あり) | 質問系キーワードの発掘 | ステップ4 | |
| Ahrefs | Google 他 | 有料 | 競合分析・キーワードギャップ・難易度調査 | ステップ2・3・6 |
| SEMrush | Google 他 | 有料 | キーワード展開・順位追跡 | ステップ3・4・7 |
| 多言語パスカル | 有料 | 日本語UIでの海外SEO分析 | ステップ3・5・6 | |
| Baidu Index(百度指数) | Baidu | 無料 | 中国市場の検索トレンド調査 | ステップ2・3 |
| NAVERキーワードツール | NAVER | 無料 | 韓国市場の検索ボリューム調査 | ステップ2・3 |
| Yandex Wordstat | Yandex | 無料 | ロシア市場の検索ボリューム調査 | ステップ2・3 |
よくある失敗パターン5選と回避策
多言語キーワード調査は、正しい手順を踏めば着実に成果につながります。しかし実際には、手順の一部を省略したり、日本語SEOの感覚をそのまま持ち込んだりして、思うような結果が出ないケースが少なくありません。
ここでは、多言語キーワード調査でよく見かける5つの失敗パターンと、それぞれの具体的な回避策を紹介します。いずれも特別なケースではなく、海外向けSEOに取り組む企業が一度は経験しがちなものばかりです。これから調査を始める方は「事前の注意リスト」として、すでに調査を進めている方は「現状の診断チェックリスト」として活用してください。
失敗1:日本語キーワードを機械翻訳してそのまま採用
最も多い失敗パターンです。日本語のキーワードリストをGoogle翻訳やDeepLに入力し、出力された訳語をそのまま海外向けキーワードとして使ってしまうケースです。
機械翻訳は文法的に正しい訳を返しますが、それが現地で実際に検索されている表現とは限りません。例えば、「格安航空券」を英訳すると「cheap airline tickets」が出てきますが、アメリカでは「cheap flights」の方が圧倒的に検索されています。翻訳としてはどちらも正しくても、キーワードとしての価値には大きな差があります。
回避策は、機械翻訳の出力を「最終回答」ではなく「調査の出発点」として扱うことです。翻訳で得た候補を、必ずステップ2で紹介した方法(競合サイト調査、現地Q&Aサイトの確認、ネイティブチェック)で検証しましょう。
機械翻訳は下調べのスピードを上げてくれる便利な道具ですが、検証なしに採用するのはリスクが大きいと覚えておいてください。
失敗2:検索ボリュームだけでキーワードを選択
検索ボリュームが大きいキーワードほど価値が高い、と思い込んでしまう失敗です。確かにボリュームは重要な指標ですが、それだけでキーワードを選ぶと、二つの問題が起こります。
一つ目は、競合が強すぎて上位表示できないという問題です。検索ボリュームの大きいキーワードは、すでに海外の大手企業がドメインパワーの高いサイトで上位を独占していることが多く、新規参入のサイトでは太刀打ちできません。
二つ目は、検索意図と自社ページがかみ合わないという問題です。たとえば「marketing」のようなビッグキーワードは月間検索数が膨大ですが、検索する人の目的はバラバラで、自社のサービスページとの接点が薄いことがほとんどです。
回避策は、ステップ6で解説した4つの軸(検索ボリューム・競合度・ビジネスインパクト・検索意図の適合度)を掛け合わせて判断することです。ボリュームが小さくても、購買意欲が高く競合が少ないキーワードの方が、ビジネスの成果に直結することは珍しくありません。
失敗3:全言語を同時に調査しようとしてリソースが破綻
「英語・中国語・韓国語・スペイン語を同時に展開しよう」と、最初から複数言語のキーワード調査を一気に進めようとして失敗するパターンです。意欲的な計画に見えますが、実際には作業量が想定を大きく超え、どの言語も中途半端な調査で終わってしまうことがほとんどです。
多言語キーワード調査は、1つの言語だけでも種リストの作成から検索意図の分析、優先順位づけまでに相当な工数がかかります。これを4言語同時に進めるということは、単純計算で4倍の作業が必要になるうえ、言語ごとに異なるツールや検証方法への対応も求められます。
回避策は、最初は1つの言語に集中して調査の一連の流れを完了させることです。1言語で成功パターンを確立すれば、そのプロセスをテンプレート化して2言語目以降に横展開できます。準備編で決めたターゲット国の優先順位に従い、最も成果が見込める市場から着手しましょう。
失敗4:日本語サイトと同じキーワードマップをそのまま流用
日本語サイトで使っているキーワードマップを翻訳して、そのまま海外向けサイトのキーワードマップとして使い回してしまう失敗です。一見効率的に見えますが、国が変われば検索需要の構造自体が異なるため、日本のマップをベースにすること自体に無理があります。
例えば、日本では「○○とは」のような基礎知識系キーワードの需要が大きい業界でも、アメリカでは基礎知識よりも「best ○○」「○○ vs △△」のような比較・ランキング系キーワードが主流ということがあります。日本のマップをそのまま流用すると、現地で需要のあるキーワードを取りこぼし、需要のないキーワードに労力を割いてしまうことになります。
回避策は、キーワードマップを国ごとに作り直すことです。コアトピックは共通でも、その下にぶら下がる具体的なキーワードは国別のSERP調査と検索ボリュームのデータに基づいて新たに選定します。手間はかかりますが、この作業を省くと後工程のコンテンツ制作がすべて的外れになるリスクがあります。
失敗5:一度調査したまま更新せず、情報が古くなった
キーワード調査を一度実施して、その結果を何年もそのまま使い続けてしまう失敗です。検索トレンドは常に変化しており、半年前に有効だったキーワードが今では検索されなくなっていることもあります。
特に変化が激しいのが、新しい技術や業界トレンドに関連するキーワードです。例えば、「AI chatbot」というキーワードは、2023年と2026年では検索ボリュームも競合環境も検索意図も大きく変わっています。季節性のあるキーワードも同様で、需要のピーク時期がずれれば対策の効果は薄れます。
回避策は、キーワードマップの定期見直しをルーティン化することです。理想は四半期に一度、少なくとも半年に一度は主要キーワードの検索ボリュームと順位を再確認しましょう。Search ConsoleやAhrefsのPosition Tracking機能を使えば、順位の変動は自動で追跡できます。変化が見つかったキーワードだけを重点的に再調査すれば、毎回ゼロからやり直す必要はありません。
キーワード調査を「成果」につなげるための運用のコツ
キーワード調査は、調査して終わりではありません。どれだけ精度の高いキーワードマップを作っても、それがコンテンツ制作に反映されなければ検索流入は増えませんし、公開後に放置すれば徐々に成果は落ちていきます。
キーワード調査の本当の価値は、調査結果を日々の運用に組み込み、コンテンツの制作・公開・改善のサイクルを回し続けることで初めて発揮されます。
ここでは、調査結果をビジネスの成果に変えるための運用上のポイントを3つご紹介します。
キーワードマップとコンテンツカレンダーを連動
キーワードマップが完成したら、それをコンテンツの制作スケジュールに落とし込みましょう。キーワードマップとコンテンツカレンダーを別々に管理していると、「調査では優先度が高いのに記事化されていないキーワード」や「キーワードが決まっていないのに執筆が始まっている記事」が発生しやすくなります。
具体的には、キーワードマップの各キーワードに対して「担当者」「記事の公開予定日」「コンテンツの形式(記事・LP・FAQなど)」「現在のステータス(未着手・執筆中・レビュー中・公開済み)」の列を追加します。これだけで、キーワードマップがそのままコンテンツカレンダーとして機能するようになります。
制作の順番は、ステップ6で決めた優先順位に従います。まずは優先度の高いキーワードから着手し、早期に成果が見えるようにしましょう。季節性のあるキーワード(例:「○○ Black Friday deals」など)は、需要のピークから逆算して2〜3か月前に公開できるようスケジュールを組むのがポイントです。
公開後のキーワード順位モニタリングと改善サイクル
コンテンツを公開したら、ターゲットキーワードの検索順位を定期的にモニタリングします。公開直後は順位が安定しないことが多いため、まずは2〜3か月を目安に経過を観察しましょう。
順位の確認にはGoogle Search Consoleが基本です。「検索パフォーマンス」レポートで国別にフィルターをかけ、対象キーワードの掲載順位・クリック数・表示回数の推移を確認します。AhrefsのRank TrackerやSEMrushのPosition Trackingを使えば、競合との順位比較も自動で追跡できます。
順位が思うように上がらない場合は、3つの観点で原因を診断します。
1つ目は検索意図のズレです。ターゲット国のSERPを再確認し、上位ページと自社コンテンツの方向性が合っているかを見直します。2つ目はコンテンツの情報量です。上位の競合ページと比べて、情報の深さや網羅性が足りていない可能性があります。3つ目は被リンクの不足です。特に新しいドメインの場合、コンテンツの質だけでは順位が上がりにくいことがあります。
原因を特定したら、加筆・修正を行い、再び順位の変動を追います。この改善サイクルを繰り返すことが、長期的な成果につながります。
AI検索時代のキーワード調査の変化
GoogleのAI Overview(旧SGE)やBingのCopilotなど、AIが検索結果を要約して表示する機能が普及し、キーワード調査のあり方にも変化が生まれています。
最も大きな変化は、ロングテールの質問系キーワードの重要性が高まっていることです。AI検索は「multilingual chatbot」のような短いキーワードよりも、「What is the best multilingual chatbot for hotel customer support」のような具体的な質問に対して回答を生成する傾向があります。こうした質問フレーズをキーワード調査の段階で拾い上げ、コンテンツに組み込んでおくことで、AIに引用される可能性が高まります。
もう一つの変化は、コンテンツの構造がより重要になっている点です。AIは明確な見出し構成を持ち、簡潔に要点がまとまったページから情報を抽出しやすい傾向があります。キーワードを選定する際も、「このキーワードに対して、25語程度で端的に回答できるか」という視点を持っておくと、AI検索時代に強いコンテンツ設計につながります。
ステップ4でサジェストやPAAから質問系キーワードを拡張したのは、こうしたAI検索への対応も見据えてのことです。従来の検索順位だけでなく、AIに引用されるかどうかも意識したキーワード調査が、これからの多言語SEOでは求められます。
よくある質問(FAQ)
多言語SEOのキーワード調査に取り組む中で、多くの方がつまずくポイントや判断に迷う場面があります。「ネイティブがいなくても調査できるのか」「検索ボリュームがゼロのキーワードは無視してよいのか」「社内でやるべきか外注すべきか」など、実務を進めるほど疑問は増えていくものです。
ここでは、特にご相談をいただくことの多い7つの質問にまとめてお答えします。
Q1. 多言語キーワード調査にはどれくらいの時間がかかりますか?
対象とする国・言語の数やキーワードの規模によりますが、1か国・1言語に絞った場合でも、種リストの作成から優先順位づけまで2〜4週間ほどが目安です。
初めて取り組む場合は、ツールの操作や現地SERPの確認に慣れる時間も必要になるため、余裕を持ったスケジュールを組むことをおすすめします。2言語目以降は、1言語目で確立したプロセスを流用できるため、作業期間は短縮できます。
Q2. ネイティブスピーカーがいない場合、キーワード調査はどう進めればよいですか?
社内にネイティブスピーカーがいなくても、調査は進められます。まずは競合サイトの分析やQ&Aサイト(Quora、Reddit、知乎など)での現地表現の確認など、ツールとデータに基づく調査を行いましょう。そのうえで、最終的な候補キーワードの検証段階でクラウドソーシングや翻訳会社を通じてネイティブチェックを依頼するのが現実的な進め方です。
すべての工程にネイティブが関わる必要はなく、要所での確認に絞ることでコストを抑えられます。
Q3. 検索ボリュームがゼロまたは非常に少ないキーワードは対策する意味がありますか?
あります。特に多言語SEOの初期段階では、検索ボリュームが小さいキーワードの方が競合が少なく、上位表示を狙いやすいです。また、ボリュームが小さくても「製品名 + pricing」「サービス名 + demo」のように購買意欲が明確なキーワードは、コンバージョンに直結する可能性があります。
AI検索の普及により、具体的なロングテール質問で検索するユーザーも増えています。ツール上でボリュームがゼロと表示されていても、実際には一定の検索が発生しているケースは珍しくありません。
Q4. Google以外の検索エンジン(Baidu、NAVERなど)のキーワード調査は必須ですか?
ターゲット国によります。中国市場を狙うならBaidu、韓国市場ならNAVERでの調査は欠かせません。これらの国ではGoogleのシェアが限定的で、Googleキーワードプランナーのデータだけでは現地の検索需要を正しく把握できないためです。
一方、アメリカやヨーロッパの多くの国ではGoogleが圧倒的なシェアを持っているため、まずはGoogle向けの調査を優先し、Bingなどは余力に応じて対応するのが効率的です。
Q5. 日本語サイトと海外向けサイトで同じキーワードを狙ってもよいですか?
言語が異なるページであれば、同じテーマのキーワードを狙っても基本的に問題ありません。例えば、日本語ページで「多言語チャットボット」、英語ページで「multilingual chatbot」をそれぞれ対策するのは自然な構成です。
ただし、hreflangタグを正しく設定し、各ページがどの言語・どの国向けかを検索エンジンに明示しておく必要があります。この設定が不十分だと、日本語ページと英語ページが検索結果で競合してしまうカニバリゼーションが起こる可能性があります。hreflangの設定方法については「海外SEO対策の進め方|翻訳だけでは勝てない理由と実務チェックリスト」で詳しく解説しています。
Q6. キーワード調査の結果、需要がほとんどない国だとわかった場合はどうすべきですか?
その国への展開を無理に進める必要はありません。キーワード調査の段階で需要の有無がわかること自体が、大きな成果です。需要がない市場にコンテンツを投入しても、検索流入は見込めず、制作コストが無駄になってしまいます。調査結果をもとに、より需要のある別の国や言語に優先順位を切り替えましょう。
また、現時点で需要が少なくても、市場が成長段階にある場合は、Googleトレンドで検索需要の推移を定期的に確認し、需要が伸び始めたタイミングで参入を検討する方法もあります。
Q7. キーワード調査は社内で行うべきですか?外注すべきですか?
どちらにもメリットがあります。社内で行う場合は、自社の事業やサービスへの理解が深いため、ビジネスインパクトの判断が的確にできます。一方、外注する場合は、多言語SEOの専門知識や各国のネイティブネットワークを活用でき、調査の精度とスピードが上がります。
理想的なのは、コアトピックの設計や優先順位の判断は社内で行い、現地語での候補発掘やネイティブチェックなど言語依存の作業は外部パートナーに任せるという役割分担です。自社のリソースと予算に応じて、バランスを決めてください。
まとめ
多言語SEOのキーワード調査は、日本語キーワードの翻訳ではありません。現地のユーザーが実際に検索している言葉を見つけ出し、その検索意図に合ったコンテンツを届けるための調査です。
大切なのは、この記事で解説した7つのステップを一度やって終わりにしないことです。検索トレンドは常に変化し、AI検索の普及によってユーザーの検索行動も変わり続けています。
定期的にキーワードマップを見直し、コンテンツの改善サイクルを回し続けることが、海外市場での検索流入を着実に伸ばす鍵になります。まずは1つの国・1つの言語に絞って、ステップ1から始めてみてください。最初の一歩を踏み出すことが、多言語SEOの成果への最短ルートです。
多言語SEOに取り組む中で、「記事制作の工数が追いつかない」「各国向けにコンテンツを量産したい」という課題が出てきたときは、ObotCRAFTをご検討ください。各国の検索行動をリサーチしたローカルSEO記事をAIが生成するツールで、多言語コンテンツ制作の効率化をサポートします。
Sugiura Fumie
株式会社ObotAI / マーケティング担当
株式会社ObotAIにて、AI活用やDX推進に関するコラム記事の企画・執筆を担当。自身もAIツールを活用した動画制作やアプリ開発を実践しており、非エンジニアの視点からわかりやすい情報発信を心がけています。


