今、教育の現場で進められている「ICT教育」、どのようなものなのかご存知でしょうか?
ITテクノロジーやデジタル機器を導入して、情報通信技術を活用した教育方法で、日本のみならず世界で推進されています。
IT技術の進化により、パソコン・タブレット・スマートフォンなどのデバイスが広く利用されるようになったことで、教育の現場にも変化をもたらしています。
ここでは、「ICT教育」とはどのような教育法なのか、メリットとデメリットもあわせて解説していきます。
メリットの多い「ICT教育」とは?
ICT(Information and Communication Technology)教育とは、パソコンやタブレット、インターネットなどの情報通信技術を活用し、教育をデジタル化したものです。
従来、アナログ形式で行われていた教育に、ITテクノロジーを導入することで、双方の利点を合わせて更に良い教育を目指そうと、文部科学省が推進しており、小・中・高等学校で進められています。
小・中・高等学校では、以下の内容でICT教育を進めています。
小学校においては、文字入力など基本的な操作を習得、プログラミング教育を必修化
中学校においては、技術・家庭科(技術分野)においてプログラミング、情報セキュリティに関する内容を充実
高等学校においては、情報科において共通必履修科目「情報Ⅰ」を新設し、全ての生徒がプログラミングのほか、ネットワーク(情報セキュリティを含む)やデータベースの基礎等について学習
子供たちの情報活性能力をサポートする情報教育としてだけでなく、教師の校務負担軽減を目指す、「校務の情報化」としての教育改革も期待されています。以下、具体的な内容です。
学習指導の準備と評価のための教師によるICT活用
ここからは、学習指導の準備と評価のための教師によるICT活用について、4つご紹介していきます。
教育効果を上げるための ICT 活用の計画
指導のねらいを意識して、必要なICT機器やデジタルコンテンツなどを準備し、教室での使用環境を整えます。
また、授業後は、どのような効果があったのかを振り返る事で、ICTをどう活用するのかイメージし、把握することができます。
授業で使う教材や資料などを収集するための ICT 活用
授業で使用する教材や指導事例などを収集する為に、インターネット等を使うことで幅が広がります。
また、インターネット等から得られる情報は最新のものが多く、社会で使われているものも多いので、役立つ情報が手に入ります。
こういった情報を、教員間で共有することも有益で、的確に欲しい情報を収集できる能力を身に付けることも重要です。
授業に必要なプリントや提示資料を作成するためのICT活用
授業で使用をする配布物や提示資料を作成するのに、ICTを活用することができます。創意工夫のある資料を作成することで、教育効果が高まることが期待できます。
ICTを活用して作成した資料は、再利用・共有することができ、授業に必要な準備時間の短縮にも期待ができます。注意点としては、著作権に配慮した資料作りを心掛ける事です。
評価を充実させるためのICT活用
ICTの活用により、児童生徒の成績集積や表計算ソフト等で学習状況の把握ができます。
また、学習活動の過程・成果などの記録ができるので、児童生徒の学習評価が、充実で効率的なものとなります。
授業での教師によるICT活用
ここからは、授業での教師によるICT活用について、4つご紹介していきます。
学習に対する児童生徒の興味・関心を高めるための教員によるICT活用
教科ごとに、興味関心のある学習内容・学習対象に対し、自ら調べようとする意欲にICTが活用できます。
各自で、教科書を見るのではなく、大きな映像を使うことで、クラス全員で共有することができ、イメージをふくらませたり、児童生徒に驚き・感動など様々な感情を与えることができます。
児童生徒一人一人に課題を明確につかませるための教員によるICT活用
児童生徒が課題を明確につかんで進めることは、学習指導を円滑に進める重要な要素となります。
ICTの活用で、教科書を見ながら、教師が言葉で伝える以上に、学習課題を把握しやすくなります。自ら課題に気づく力を養えることができます。
わかりやすく説明したり、児童生徒の思考や理解を深めたりするためのICT活用
ICTの活用で、児童生徒のつまずきを防いで、わかりやすい授業が実現できます。
映像を上手く活用することで、操作手順のシュミレーションもわかりやすく伝えられ、複雑な事象等の場合にも、思考や理解を深めることが期待できます。
学習内容をまとめる際に児童生徒の知識の定着を図るためのICT活用
児童生徒の知識の定着を図る際や、教師が学習の進み具合に応じた指導を実現する為に、ICTが活用できます。
変化のある繰り返し学習の提供ができるので、児童生徒が集中し取り組むことができ、効率的に知識の定着が図れます。
児童生徒によるICT活用
ここからは、児童生徒によるICT活用について、4つご紹介していきます。
児童生徒が情報を収集したり選択したりするためのICT活用
学習内容の理解を深めたり、現実社会との関連を把握するために、教科書や教材だけではなく、最新の資料やデータを収集したり、選択していく学習活動が重要となります。
ICTを活用することにより、集めた結果を収集し、情報比較をしたり、多くの情報から必要なものを選択することができます。
児童生徒が自分の考えを文章にまとめたり、調べたことを表や図にまとめたりするためのICT活用
児童生徒にとって、これまで学習してきた事や調査結果など、自分の考えを文章としてまとめたり、インターネットなどで調べたことをもとに、図や表にまとめる学習活動も大切です。
その際、ICTが活用でき、わかりやすい資料作りに役立ちます。電子掲示板や共有フォルダを活用することで、それぞれの考えを共有することもできます。
児童生徒がわかりやすく発表したり表現したりするためのICT活用
これまで学習したこと・調べたこと・自分の意見などをわかりやすく表現したり、発表する際に、ICTが活用できます。
見てくれる人を意識し、構成や提示順序を考え作成する力がつきます。また、音楽づくりや絵を描くツールとしても活用することがでます。
児童生徒が繰り返し学習したり練習したりして、知識の定着や技能の習熟を図るためのICT活用
繰り返し学習にて知識の定着や技術の習熟を図るのに、ICTが活用できます。
ソフトウェアを活用することで、教師も児童生徒の個々の達成度・正答率等を把握することができるので、より充実した学習指導が行えるようになります。
ICT教育のメリット
ICT教育には、教育を受ける学生・教育を行う教員の双方にメリットがあります。
ここからは、それぞれのメリットについて解説してきます。
学生にとってのメリット
ICT教育の学生にとってのメリット、3つをご紹介します。
動画や音声の利用でより分かりやすい授業が受けられる
ICT教育を導入することによって、授業内容の幅が今までよりも広がります。従来は、黒板を使っての授業でしたが、タブレットなどICT機器を使うことで、動画・音声を使った授業が可能となります。
こういった授業は、生徒の関心を引きやすくなり、文章のみでは理解できなかった内容でも、映像があることにより頭に入りやすくなります。
楽しみながら学習ができる
生徒からすると、教科書で行う授業よりもICT機器を利用した授業の方が、楽しく取り組む事ができ、学習効率もアップします。
また、受け身の授業から、生徒主体の授業にすることができるので、使い方次第で、表現力・創造力・思考力をより向上できる授業になります。
情報活用能力を養える
学校で、ICT機器を使いながら学習することによって、コンピュータなどから情報を得る基本操作の習得が可能となり、情報を比較し整理する力や分かりやすく発信する力がつきます。
また、プログラミング的思考を養うことができます。
教員にとってのメリット
ICT教育の教員にとってのメリット、3つをご紹介します。
生徒に対して、実践的で効果的な授業提供ができる
パソコンやタブレットを使うことで、黒板を使っての説明やプリントを配布する手間などの時間削減ができます。
また、動画や音声を使うことができるので、授業中に生徒が受け取る情報量が増え、より理解しやすい授業が実現できます。
教員にとっても、効率的に授業を進めることができ、効果的な授業が行えます。
教員間の情報共有が簡単に行える
授業で扱う資料など、全て電子データとして残るので、教員間での情報共有が簡単に行えます。
授業の進捗状態を共有することで、学年毎の学習成果の管理がしやすくなり、教員の急な休みがあった場合の引継ぎも簡単に対応ができます。
効率的に教材作成ができる
資料や問題など、電子データで用意することで、事前準備にかかる時間の大幅な削減ができます。
インターネットを利用することで、情報を早く集めることができ、教材作成もより効率よく進めることが可能です。
今後の課題!ICT教育のデメリット
国の方針により、進められているICT教育。
以前まで、ICTの整備は自治体や学校に任せられていましたが、様々な格差が生じるとのことで、文部科学省では、「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018~2022年度)」を策定し、現在も全国で整備が進められています。
また、2020年度から始まった学習指導要領の改訂を受け、「GIGAスクール構想」も推進しています。
これにより、全国の児童や生徒に1人1台のコンピューター配備は、おおむね達成できていますが、学校のICT活用に関する大きな課題として、教員のICT活用指導力が挙がっています。
画像出典:ICT支援員の配置状況と支援事例等リーフレット(文部科学省)
指導者として必要な知識を習得する為には、勉強が必要ですが、忙しい校務の中、時間を確保するのは大変です。
その対策として、文部科学省では、指導者の育成を目的とした研修を開催したり、学校におけるICT活用をサポートする「ICT支援員」の活用を進めています。
画像出典:GIGAスクール構想の実現に向けたICT活用指導力の向上及び指導体制の充実(文部科学省)
ICT支援員は、授業支援・校務支援・環境整備・校内研修をサポートしてくれ、導入効果として、“教員の負担が軽減された”という声が多く、デメリットとなり得る要素が薄まっています。
まとめ
ICTを活用した教育は、教師と児童生徒の双方にメリットがあります。まだ試行錯誤しながら進めている状況ですが、国を挙げての政策なので、教育環境の整備も進んでおり、高い学習効果も期待ができます。
当社では、学校でのプログラミング教育をサポートするため、ICTを活用した「教育プログラムの提供」を開始しました。
日出学園中学校・高等学校では、当社の「Welcomist VR」を導入いただき、学校紹介を目的としたPR活動のみならず、プログラミング教育の一環として、バーチャルツアーに組み込んでいるAIチャットボットの運用(質問内容とその回答)を、生徒主体的で行っています。
生徒目線だからこそ生まれる「質問と回答」は、学校説明会では聞きにくい受験生の「本音」や、教師目線による型に嵌った質問内容ではないので、受験生にとっても有意義な時間を過ごすツールとして活用できます。
また、シナリオ構築を含む情報技術に触れることで、論理的なプログラミング思考を育むことにも繋がり、AIチャットボットの制作過程で、学校の魅力や特徴について再認識することができます。
【日出学園中学校・高等学校が導入している「Welcomist VR」】
画像出典:日出学園中学校・高等学校 バーチャル学校紹介
今後の新しいICT教育プログラムをお考えの方やご興味のある方、是非ご相談ください。