2022年10月に水際対策が緩和され、インバウンド業界は順調に回復を続けています。 その結果、2023年訪日外国人旅行消費額(確報)は、5兆3,065億円と過去最高になりました。
東京や大阪、北海道など多くの場所で外国人観光客を見かけるようになり、宿泊、買い物、飲食分野など様々な分野で外国人観光客が日本のサービスを利用しています。
また、新型コロナの水際対策の緩和により、日本に来て、生活する外国人が増えています。在留外国人の数も都市部のみでなく、地方部でも増加傾向にあり、様々な日本のサービスが外国人にとって身近な存在となってきています。
そこで、本記事では、外国人にとって満足度が高いサービスを提供するための、コールセンターでの外国人対応方法について解説していきます。
コールセンターで外国人対応が増えた背景
2020年の新型コロナウイルス感染症の流行時には、世界中で移動の自粛があり、日本政府観光局の調査結果「訪日外国人旅行者数・出国日本人数」によると、2020年訪日外国人旅行者は412万人でした。
しかし、2022年10月11日より入国制限の緩和により、訪日外国人旅行者日本の数も徐々に回復し、2023年は2,507万人に増加しています。
また、企業における人材不足の課題解消に向けて、2019年4月に創設された在留資格「特定技能」により、日本で働く外国人数も増加しており、出入国在留管理庁の「令和5年末現在における在留外国人数について」によると、令和5年末の在留外国人数の数は、341万992人(前年末比33万5,779人、10.9%増)で、過去最高を更新しています。
その結果、多くの外国人やその家族が日本社会で生活するようになり、企業だけでなく、行政機関への問い合わせも増加傾向にあります。
このような社会情勢の中で重要となるのが、コールセンターでの外国人対応方法です。グローバル市場での競争力を維持したい企業にとって、異なる文化を尊重しながら多言語でサービスを提供することは、新たな顧客獲得のチャンスとなります。
コールセンターでの外国人対応方法
外国人観光客や在留外国人の増加により、日本のさまざまなサービスに対して、コールセンターへの外国人からの問い合わせは確実に増加すると思われます。
ここでは、5つのコールセンターでの外国人対応方法について、詳しく解説していきます。
AIソリューションサービスを利用する
1つ目の方法は、AIソリューションサービスを活用する方法です。
今後外国人からの問い合わせが増えることが予想されますが、外国人対応可能なコールセンタースタッフの雇用、人材確保は難しいといった課題もあります。
そこで、それぞれの悩みや問い合わせに応じたAIソリューションを提供している企業のサービスを活用することで、問い合わせ負荷を50%程度軽減することも可能となります。
例えば、当社が提供しているコールセンター向けの多言語AIソリューションは、AI技術を活用し、多言語AIチャットボット・翻訳機能付き有人チャット・多言語自動FAQシステムを組み合わせて、リアルタイムで高精度な多言語対応が実現できます。
言語の壁を越えた円滑なコミュニケーションが可能となり、既存のシステムとの統合も容易なので、顧客満足度の向上とオペレーターの負担を軽減します。
岡山県岡山市では、定額減税補足給付金(調整給付)についてのお問い合わせ窓口の一つとして、当社が開発した、多言語対応の有人チャット「翻訳チャット」を導入しています。
この有人チャットは、ユーザーがURLまたは二次元コードからチャット画面に入ると、多言語での問い合わせができます。
そして、その問い合わせに対して、コールセンターのオペレーターが「翻訳チャット」を利用し、リアルタイムでの対応が可能となり、業務効率化を図っています。
チャットボットを活用する
2つ目の方法は、チャットボットを活用する方法です。チャットボットとは、コミュニケーションを自動化で行うプログラムです。チャットボットは、大きく分けて2つの種類があります。
1つは、AI(人工知能)を搭載した「AI搭載型」で、ユーザーの入力した質問が多少あやふやでも、AIが適切な回答を出すことができるチャットボットです。「AI搭載型」は、事前に人間から会話内容を学習されているので、使うほどAIの精度が高まり、回答精度が向上していきます。
もう1つは、「シナリオ型(非AI)」で、ユーザーから多く寄せられる質問とその回答を事前に用意することで、シナリオに沿って質問回答が行われるチャットボットになります。
「シナリオ型(非AI)」は、よくある質問など定型化された質問内容に適しています。
クーコム株式会社では、訪日外国人観光客向けのレンタカー予約サイト「TOCOO!」に、当社が開発した多言語AIチャットボット「ObotAI」を導入しています。
TOCOO!に導入されているAIチャットボットは、英語・韓国語・中国語(繁体)・タイ語に対応しています。ネイティブスタッフ監修の精度の高い多言語AIチャットボットが、顧客からの問い合わせに迅速に対応し、顧客体験の向上を実現しています。
自社内に外国語が話せるスタッフを常駐させる
3つ目の方法は、自社内に複数言語の会話ができるスタッフを常駐させる方法です。
自社内で多言語対応ができるオペレーションを構築するため、柔軟な対応が可能で、スタッフに対し企業理念やコールセンターの方針を浸透させやすいという利点があります。
一方、多言語対応するための育成にリソースが必要で、育成コストもかかるため、導入のハードルが高いともいえます。
外部の多言語コールセンターに翻訳を依頼
4つ目の方法は、外部の多言語コールセンターに翻訳を依頼する方法です。
この方法は、自社オペレーター・お客様(外国人)・オペレーター三者間を同時通話でつなぎ、それぞれに確認を取りながらお客様へ回答を行うため、日本語と同水準の回答が可能です。
しかし、顧客情報を提供する問い合わせの場合、データ漏洩のリスクや三者間のため顧客対応に時間がかかるというデメリットがあります。
外部の多言語コールセンターに顧客対応を依頼
5つ目の方法は、外部の多言語コールセンターに顧客対応を依頼する方法です。この方法は、 外部のコールセンターが直接回答するので、顧客を待たせずに対応ができます。
しかし、外部に対応を委託するため、自社内で日本語対応するのと同様のサービス提供が難しい場合や、顧客情報を提供する問い合わせの場合、データ漏洩のリスクがあります。
コールセンターでの外国人対応【チャットボット導入のメリット】
コールセンターでの外国人対応として、一次対応にチャットボットを導入する方法があります。ここでは、コールセンターへの外国人対応方法として、企業内サイトなどにチャットボットを導入するメリットについて解説します。
コスト削減と営業機会損失を防ぐ
チャットボットを活用することで、24時間365日、いつでも顧客からの問い合わせに対応することが可能になり、営業機会の損失を防ぎます。
そのため、案内業務の多い観光施設や行政サービスで活用が進んでいます。また、重複する質問に自動応答することで、企業は人的リソースや時間の節約ができるため、コスト削減につながります。
顧客満足度の向上
チャットボットは、電話のような「待ち時間」がなく、常に一貫性のある応答が可能です。質問に対する迅速な回答と対話的な体験が、顧客満足度の向上につながります。
また、顧客とのチャットボットの会話情報を分析することで、顧客のニーズや不満点を把握し、改善を行ったり、マーケティングデータとして活用することが可能です。
そのため、チャットボットを利用したデータ活用により、満足度をさらに高めることができます。
外国人への対応強化
多言語対応が可能なチャットボットの場合、異なる言語や文化を尊重しながらサービスを提供するお手伝いができます。
コストを抑えて様々な外国人への対応が可能になり、顧客満足度も上がることで、お店での利用においては、客単価アップにつなげることができます。
近年では、ChatGPTと多言語チャットボットを組み合わせたサービスも多く、ユーザーの質問の意図を理解し、より細かな回答や提案を提供できるものも増えています。
例えば、ChatGPTの最新大規模言語モデル「GPT-4o」と多言語チャットボットを組み合わせることで、日常生活における公共料金などの支払い明細の内容が理解できないというお悩みを解決できます。
以下のように画像を送るだけで、公共料金の明細内容を理解して要点を提示できます。
「GPT-4o」は情報処理能力(テキスト以外)が大幅に向上しており、音声や写真を使った命令や探索、分析が可能です。この機能と多言語チャットボットを組み合わせることで、窓口へのお問い合わせ軽減にも繋げることができます。
コールセンターでの外国人対応【チャットボット導入のデメリット】
次に、コールセンターでの外国人対応方法として、企業内サイトなどにチャットボットを導入するデメリットについて解説します。
すべての質問に対応できるわけではない
チャットボットは基本的に、1回につき1つの質問に回答する仕組みになっているため、複雑な問い合わせや、より込み入った対応が求められる場合は注意が必要です。
そのようなケースでは、顧客の離脱を防ぐために、有人のコールセンターへつなぐといった対応が求められます。
運用の手間がかかる場合がある
「AI搭載型」チャットボットの回答精度を上げるためには、膨大なデータが必要なため、データの収集・分析・改善など一定期間の運用が発生します。
特に導入初期は、実際にAIチャットボットが導き出した回答が本当に正しいのか、正しいデータを学習しているのかなどを確認し、人の手でチューニングしていく必要があります。
また「シナリオ型(非AI)」チャットボットも同様に、人を介して、シナリオの設計の見直しや質問の追加を行っていく必要があります。
顧客との関係性が構築しづらくなる
チャットボット導入により、顧客の知りたい回答をスピーディーに返すことができます。
しかし、顧客の困り事や悩み事に共感しながら、寄り添った対応を行うことは難しいため、顧客との関係性を築く時間が減る可能性があります。
そのため、問い合わせ内容や商材の特性に応じて、チャットボットを利用するかどうか検討する必要があります。
コールセンターでの外国人対応【チャットボット導入事例】
コールセンターでの外国人対応で、チャットボットを導入することは有効な方法の1つです。有人の多言語コールセンターと比べて、チャットボットを活用することで、人件費削減や24時間いつでも稼働できるといった利点もあります。
ここでは、コールセンターなどへの問い合わせにおいて、現在すでにチャットボットを導入している導入例を業界別に紹介していきます。
観光系:デジタル庁
画像出典:デジタル庁「Visit Japan WebサービスQ&Aチャットボット」
デジタル庁では、Visit Japan Webサービス上で株式会社ObotAIの多言語AIチャットボットを導入しています。
多言語コールセンターと比べて、多言語AIチャットボットを利用することで、人件費が削減でき、24時間いつでも入国手続(入国審査、税関申告)に関わるお問い合わせの対応が可能となりました。
Visit Japan Webサービスで導入されている多言語AIチャットボット「ObotAI」は、AI搭載の多言語(現在12言語)対応の最先端チャットボットです。
「ObotAI」は、ネイティブスタッフが監修をしているので、各言語の文化的な背景を踏まえて伝わりやすい案内が可能です。
▼▼多言語AIチャットボット「ObotAI」▼▼
※画像をクリックすると動画が再生されます。
・それぞれの言語の文化や風習を熱知しているスタッフがAI学習を育成
・ChatGPT(GPT-4o)のAPIをはじめ、多数の外部システムとの連携が可能
・顧客満足度の向上・業務効率化・機会損失の回避など、あらゆるシーンをサポート
▶サービスに関するお問い合わせ・資料請求【株式会社 ObotAI】
航空系:日本航空
日本航空株式会社は、つながりやすいコンタクトセンターを目指して、アルティウスリンク株式会社のAIチャットボットを導入しています。
AIチャットボットを導入することで、電話受付時間外や時事の変化に応じた、タイムリーな対応が実現できるようになりました。
日本航空株式会社で導入されている「AIChat for touching」は、お客様と企業の顧客接点強化を目的としたAIチャットボット導入サポートから、精度向上コンサルティングまで幅広くサービスを提供しています。
また、AIチャットボットに加えて、有人対応のチャット運用も対応可能です。
金融系 :アニコム損害保険株式会社<ペット保険シェアNo.1>
画像出典:LINEチャットボット/モビルス株式会社
アニコム損害保険株式会社は、モビルス株式会社の有人チャットシステム「MOBI AGENT」とチャットボット「MOBI BOT」を導入しています。
LINEチャットボットで、「保険の加入手続き」や「保険金の請求」も自動受付可能になり、申込を途中で断念していた方から、LINEの加入サービスを通じてお申し込みが入ることに成功しています。
アニコム損害保険株式会社で導入されている「MOBI BOT」は、AIやその他のシステムと柔軟に連携でき、問い合わせ対応から手続き処理を自動化できます。また、有人チャット「MOBI AGENT」との連携も可能で、顧客満足も考慮した運用構築ができます。
まとめ
本記事では、コールセンターでの外国人対応方法や、コストを抑えて外国人への対応が可能なチャットボットのメリット、デメリットなどについて解説してきました。
近年、 顧客満足度の向上と機会損失を防ぐために、各企業ではAIチャットボットの導入が加速していますが、多言語対応が可能なチャットボットであれば、外国人対応も可能です。
当社の、多言語AIチャットボット「ObotAI」は、各言語のネイティブスタッフが監修をしているので、よりリアルな会話を実現でき、外国人ユーザーにも快適にご利用いただけるサービスになっています。
ご不明点・ご相談ごとについては、下記よりお問い合わせいただければ、当社スタッフからサービスのご案内をさせていただきます。
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