越境ECとは、海外消費者向けに運営するECサイトのことです。
経済産業省の「令和3年度 電子商取引に関する市場調査」によると、越境EC市場は年々拡大しており、世界では2019年から2026年にかけて約101兆円から約626兆円に拡大する見込みです(1ドル=130円で計算)。
注目度の高い越境ECにおいて、人気のサービスを提供しているのが、Shopify(ショッピファイ)です。Shopifyには、越境EC対応のための機能が備わっており、海外消費者向けのECサイトを簡単に構築できます。
本記事では、そんなShopifyを使って運営されている越境ECサイトの事例11選と、成功ポイントについて解説していきます。越境ECサイト運営を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
越境EC対応のShopifyサイト事例11選
ここからは、越境EC対応のShopifyサイト事例11選をご紹介していきます。
Fake Food Japan(ファイクフードジャパン)
画像出典:Fake Food Japan
Fake Food Japanは、日本では馴染みのある「食品サンプル」を、海外消費者向けに販売する越境ECサイトです。まるで本物の食品のように精巧に作られた商品は、ストラップやアクセサリー、小物類として販売されています。
海外消費者からは、「本物としか思えない」と驚嘆の声が出るほどの質の高いものとなっており、食品サンプルを使った小物類は、昔から来日外国人にお土産として人気の商品でもあります。
越境ECサイトとしては磐石な戦略だと言えます。
L&Co. JEWELS JAPAN(エルアドコー ジュエリーズ ジャパン)
画像出典:L&Co. JEWELS JAPAN
L&Co. JEWELS JAPANは、武田信玄や真田幸村など、日本の戦国武将をモチーフにした、シルバーアクセサリーを販売する越境ECサイトです。
世界から見れば、日本はやはり「侍の国」であり、戦国の偉人たちは海外からも高い人気を集めています。海外消費者からすると、日本独自のデザインには異国情緒が溢れ、大変魅力的に映るのだそうです。
日本人からすれば何気ないものでも、商品に取り入れることで、海外消費者の間で爆発的な人気を博す可能性があります。
GLOKEN(グロケン)
画像出典:GLOKEN
GLOKENも大変日本らしい商品を販売する越境ECサイトで、「けん玉」を販売しています。日本でも、数年前に小中学生の間で、けん玉ブームが到来しましたが、海外では一部のファンの間で現在もブームが継続中です。
GLOKENの特徴は、越境ECサイトで日本らしい商品を販売するだけでなく、けん玉の啓蒙活動にも積極的という点です。「KWC(けん玉ワールドカップ)」と呼ばれるオンラインイベントを開催し、世界中のユーザーが参加できる大会を実施しています。
TATCHA(タッチャ)
画像出典:TATCHA
TATCHAは、アメリカ発祥の、日本独自の自然素材を取り入れたスキンケアブランドです。2021年に日本に上陸しました、まさに「逆輸入越境EC」です。
単に、「日本風」に仕上げたのではなく、商品は東京にあるTATCHA研究所にて製造されており、発酵させた米、緑茶、藻類など日本ならではの植物成分を取り入れ、日本製にこだわっているのが特徴です。
越境ECサイトを運営するからといって、日本の商品にこだわる必要はありません。現地国民以上に、その国を深く理解すれば、海外製商品を取り入れるのも立派な越境EC戦略です。
RetroAsia(レトロアジア)
画像出典:RetroAsia
RetroAsiaは、中古のゲーム機を販売する越境ECサイトです。運営者はフランス人であり、ゲーム会社に勤めながら副業で中古ゲーム機を分解・綺麗にして、RetroAsiaにて海外消費者向けに販売しています。
これは、運営者が持つ技術と、外国へのパイプをうまく利用した越境ECサイトです。元々は、ゲーム機だけでなく、おもちゃ販売も行っていましたが、ゲーム機一本にビジネスを転換したことが功を奏しました。
CS TOYS INTERNATIONAL(シーエストイズ インターナショナル)
CS TOYS INTERNATIONALは、日本のおもちゃを海外消費者に販売する越境ECサイトです。特徴的なのは、外国人向けのYouTubeチャンネルを運営し、動画マーケティングによって集客していることです。
「英語が話せる」というスキルを活かせると、越境ECサイトでは、より戦略的なマーケティングが実践できます。流暢でなくても、原稿をスラスラ読めれば英語は通じるため、越境ECサイト運営を機に動画マーケティングを始めてみるのも1つの手段です。
BENTO&CO(ベントーアンドコー)
画像出典:BENTO&CO
BENTO&COは、日本の弁当箱や関連商品を販売する越境ECサイトです。運営者はフランス人であり、大学卒業後に来日。日本や京都について紹介するブログが、後に弁当箱を販売するビジネスへとつながりました。
越境ECサイトを立ち上げたのは、リーマンショック時期であり、海外でも外食をやめてお弁当を作る人が急増したことで、お弁当箱ビジネスは早々に軌道に乗りました。
日本には便利なものが溢れているので、世界情勢を読んで新しい商品を取り入れるのも、積極的に検討していくのもいいのではないでしょうか。
Emma Bridgewater(エマブリッジウォーター)
画像出典:Emma Bridgewater
Emma Bridgewaterは、イギリス発祥のテーブルウェアブランドです。Shopifyでの越境ECサイト運営を始めたことで、新規顧客が32%増加し、モバイル経由の収益は13%増加しています。
越境ECサイトでは、プラットフォーム選びも大切です。簡単にデザイン性を高められたり、マーケティングに強いプラットフォームほど、収益性が高くなる傾向があります。
Koala(コアラ)
画像出典:Koala
Koalaは、オーストラリア発のマットレスブランドであり、2017年に日本上陸を果たしました。日本の家具市場の大きさや、日本人の睡眠事情など、入念な調査を行った上で、日本市場に参入しているのが特徴です。
また、越境ECサイトには3Dモデルを活用し、商品のディテールまで確認できるため、消費者の購買を後押ししていると考えられます。
Kakimori(カキモリ)
画像出典:Kakimori
Kakimoriは、東京都台東区にある文具屋さんであり、オーダーノートや筆記具を取り揃えた越境ECサイトを運営しています。ノートだけでなく、筆記具インクのオーダーにも対応しており、海外だけでなく、国内にもファンの多い文具屋さんです。
Kakimoriの越境ECサイトは、世界観を全面に押し出しており、数々の商品を閲覧するだけでワクワクした気持ちになれます。こうしたブランディングは、商品購入を強く後押しする要素となるので、越境ECサイト運営時に参考にしたい事例です。
Face 3 Face
画像出典:Face 3 Face
Face 3 Faceはストリートウェアの越境ECサイトです。国内ECモール中心に販売を行なっていましたが、海外からの問い合わせが多かった為、自社の越境ECサイトを開設しました。
海外で取り扱いの少ないブランドを展開することで海外消費者を獲得できました。またシーズンに関係なく単価を高く維持できています。
TikTokでの宣伝が成功し、フォロワー28万人を獲得。ECサイトへの集客に繋がっています。海外ではShopifyが信頼されているため、消費者の信頼も厚いプラットフォームです。
事例から見るShopifyの越境ECサイトを成功させるポイント
ここでは、Shopifyで構築した越境ECサイトを成功させるポイントを3つご紹介します。海外消費者向けに商品を販売するだけでは、越境ECサイトに成功できません。ポイントを押さえ、「売れる越境ECサイト」を目指しましょう。
STPをしっかりと計画する
STPとは、「セグメンテーション(Segmentation)」「ターゲティング(Targeting)」「ポジショニング(Positionig)」の頭文字を取った市場分析のフレームワークです。STPには次のような役割があります。
- セグメンテーション:市場を細分化する
- ターゲティング:細部化した市場からターゲットを決める
- ポジショニング:ターゲット市場における立ち位置を決める
STPは、越境ECサイト戦略の基本です。Koalaの事例のように、入念な市場調査を行うことで、越境ECサイトの勝機を見つけ出しましょう。
アンケート調査でニーズを深掘りする
アンケート調査を実施すると、海外消費者のニーズや動向を把握できるようになります。自信を持って越境ECサイトを運営したり、海外消費者が本当に求めている商品を知るために実施する事をおすすめします。
近年では、海外消費者を対象にしたアンケートサービスも提供されているため、自社独自にアンケート調査を実施しなくても、効率良く調査を行えます。
海外向けのマーケティングを実施する
越境ECサイト運営と海外向けのマーケティングは、セットで実施するものとお考えください。素晴らしい越境ECサイトも、海外消費者に認知されなければ意味がないので、海外向けのマーケティングで、認知度を高め、多くの消費者を集めましょう。
英語が話せる人材がいれば、CS TOYS INTERNATIONALのように、海外消費者向けにYouTubeチャンネルを開設するのも良いのではないでしょうか。
ブログ記事を投稿して、SEO(検索エンジン最適化)に取り組むのもおすすめです。
Shopifyで実施すべきマーケティング施策に関しては、『今やるべきShopifyマーケティング11選!施策ごとにコストや効果もご紹介』にて詳しく解説しているので、是非こちらも参考にしてみてください。
事例から見るShopifyでの越境ECサイト作成におすすめのツール
それでは最後に、Shopifyで越境ECサイトを作成する際のおすすめのツールを3つご紹介します。
VRSHOPii(VRショッピー)
画像出典:VRSHOPii
VRSHOPiiは、3Dモデルとなる実店舗やコンセプトショップの撮影後、Shopifyの管理画面から設定作業をするだけで、無料で簡単にバーチャルストアを構築できる、Shopifyアプリです。
アプリ内にアップデートした画像(オブジェクト)や動画を、ストアに出現させることができ、VRSHOPiiとShopifyストアは、カート連携ができるため、購入画面までシームレスなページ遷移を実現し、ユーザーへ「新しい顧客体験」の提供が可能となります。
また、VRSHOPiiは多言語対応となっているので、越境ECにも強いのがポイントです。
▼VRSHOPii マンガ動画▼
※画像をクリックすると動画が再生されます。
Shopify Markets
画像出典:Shopify Markets
Shopify Marketsは、越境ECサイトに欠かせない機能をパッケージ化した、Shopifyのサービスです。消費者の国や地域に合わせた通貨・言語の自動変換により、世界各地に向けた越境ECサイトを作成できます。
国際ドメインを自動的に適用したり、関税・輸入税の正確な見積もりを行ったりと、越境ECサイトの運営を効率化する機能も満載です。
言語翻訳者‑LangSho
画像出典:言語翻訳者‑LangSho
LangShopは、Shpifyで作成したECサイト内にあるコンテンツを自動翻訳し、言語と通貨を変換してくれるShopifyアプリです。
プランに応じて追加できる言語数が異なり、月額9.9ドルなら1言語、月額33.9ドルなら5言語、月額67.9ドルなら20言語を追加できます。Shopifyアプリの中でも高い評価を獲得しているため、越境ECサイトを作成する選択肢として有望です。
【事例付き】Shopify以外の越境ECサイト構築サービス
ここまで、Shopifyでの越境ECサイト事例や成功させるポイントなどご紹介してきましたが、Shopify以外にも越境ECサイトを構築できるサービスがあります。
ここでは、3つの越境ECサイトが構築できるサービスと事例をご紹介します。
カラーミーショップ
画像出典:カラーミーショップ
カラーミーショップは、ネット上でお店を開きたいという企業や個人の方向けに作られた、ECサイトの開設・運営管理サービスです。
2005年のリリース以降、14万を超えるオンラインショップが開設されており、現在も高い人気を維持しています。
国内販売だけでなく、アプリを追加するだけで多言語表示や海外決済、発送まで対応ができるので、越境ECサイト運営も問題なく取り組むことができます。
【導入事例】猿田彦珈琲
猿田彦珈琲では、他社とのコラボ商品や企画もあり、海外の方にも購入できるようにと、カラーミーショップにて海外販売もできるサイトを作成しています。
猿田彦珈琲サイト
STORES
画像出典:STORES
STORESは、SNS感覚で簡単にECサイトを開設できるネットショップ制作プラットフォームです。無料プランや手数料が比較的安いので、低コストでスタートさせて様子を見たいという方にもおすすめです。
また、国内販売のみ・海外販売のみ・両方で販売したい場合にも、設定ボタンひとつで簡単に切り替えることができ、発送設定も同様に、海外対応のアドオンをONにすれば簡単に設定することができます。
MakeShop
画像出典:MakeShop
MakeShopは、手軽なEC構築サービスとして2004年からサービスが開始され、2013年よりショッピングカート流通総額国内1位をキープしています。
豊富な機能と自由度の高さが特徴で、手軽に操作ができECサイトに必要な機能がそろっている点が評価されています。
また、MakeShopは2022年4月より海外販売機能が追加され、MakeShopの集客サービス「アイテムポスト」の利用者のみとなっていますが、販売手数料無料・海外送料は購入者負担となるので追加費用負担が不要など、海外販売機の提供開始から約3か月で越境EC対応ショップ数が400店舗に到達しています。
【導入事例】有限会社マルヒロ
有限会社マルヒロは、長崎県の工芸品「波佐見焼(はさみやき)」のインテリア雑貨や食器を企画している陶磁器メーカーです。以前から海外からのお問い合わせがあり、海外販売を開始してからは、国内外のお客様に向けて波佐見焼の魅力を発信しています。
マルヒロオンラインストア
まとめ
本記事では、Shopifyの越境ECサイト事例や、成功ポイントなどをご紹介しました。越境ECは、継続的な市場拡大が予測されているため、今から始めても遅いということはありません。
まずは、ご紹介した11個の越境ECサイト事例から、どのような越境ECを実現したいかイメージを膨らませ、その後、必要なツールを検討し、越境ECサイト運営に向けて準備をしてみてはいかがでしょうか。
当社では、新しいショッピングスタイルとして注目されている「バーチャルストア」を、無料で簡単に構築できるShopifyアプリ「VRSHOPii(VRショッピー)」を提供しています。
こちらは、多言語対応となっているので、越境ECとしても活用していただけます。
▼VRSHOPii 紹介動画▼
※画像をクリックすると動画が再生されます。
VRSHOPiiは、お手持ちのスマートフォンに、3Dモデルを作成できるMatterportアプリをインストールして、デジタル化したい空間を撮影し、Shopifyの管理画面にて3Dモデルを読み込み、設定作業をすることで「バーチャルストア」を構築できます。
バーチャルストアは、画像(オブジェクト)や動画で、商品情価値を視覚的に訴求することができるので、ユーザーにブランドの世界観をより深く認識してもらう事が可能です。
Shopifyでの越境EC制作をお考えの方、VRSHOPiiを活用し「オリジナルのバーチャルストア」を制作してみてはいかがでしょうか?
また、当社では「SEO集客支援」も行っており、ご興味ある方を対象に「現状分析&競合分析」資料を無償でお作りしています。
▼「現状分析&競合分析」資料サンプル▼
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